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冬の物語  作者: 柳 空
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一頁目 「冬の童話」

童話を書くにあたって、家にある童話集なんかを漁ってみたのですが、なかなか量が多い上に、本当は怖いグリム童話、みたいなものが出てきて、はたしてこれを子供が読んでいいものなのかと思わず考え込みそうになりました。


楽しんで読んで頂けたら幸いです!

むかしむかし、このくにつの国にかれていました。

その四つの国には、四人よにん王様おうさまがいて、それぞれ名前なまえを、はるなつあきふゆいました。

かれらはながあいだ戦争せんそうをしていましたが、とある一人ひとり少年しょうねんによって、彼らはおたがいのことり、そして仲直なかなおりをしました。

そして、仲直りのあかしとして、それぞれの国に季節きせつとう、というものをつくり、その塔をさんげつずつまわる事で四つの国に季節をもたらしました。

季節は人々(ひとびと)の生活せいかつうるおし、めぐみをあたえました。

さらに、四人の王様は国をひとつにして、自分じぶんたちを仲直りさせてくれた少年をあたらしい王様にしました。

それからというもの、この国は平和へいわになったのでした。』


☆~☆~☆


「ウィリー?ウィリー!!」

階段の下からお母さんがウィリーを呼びました。

「なーに、お母さん。」

ウィリーは読んでいたお気に入りの本を閉じると、大きな声で返事をしました。

「朝ごはん、できたわよ!早く下りてきて食べてしまいなさい!」

「分かったよ!」

ウィリーは部屋から出ました。

すると、冬の寒い空気がウィリーに震え上がらせた。

「さ、寒い!お母さん、寒いよ!」

階段を駆け下りながら、ウィリーはお母さんにそう言った。

「仕方ないでしょう。今日はまだ冬なんだから。」

お母さんはキッチンから温かいグラタンを運んできてくれました。

「でも、もう冬も今日でおしまいだな。」

リビングで新聞を読んでいたお父さんが、そう言いました。

「そうなの?どうして分かるの?」

ウィリーはいつもの席に着くと、お父さんにたずねました。

「それはな、ウィリー。今日は冬の女王様が来てから二ヶ月と半分が過ぎたからだよ。」

お父さんは新聞をたたみながら、そう答えました。

「二ヶ月と半分が過ぎたら、冬は終わるの?」

ウィリーはグラタンを食べながらたずねました。

「そうだ。なんたって、冬の女王様が次の街へ行くまでは半月かかるんだ。だから、今日から寒い冬は終わって、温かい春がやって来るんだ。」

「へぇー。」

ウィリーは、ホットミルクを飲みました。

「今年も、春の女王様がいらっしゃったら、街の大通りでパレードが行われるから、また一緒に行こうな。」

お父さんのその言葉に、ウィリーは、

「うん!楽しみ!」

と、そう大きく答えました。


それから数日が過ぎました。

ウィリーはその日、いつもより早い時間に目を覚ましてしまいました。

外はまだ真っ暗です。

ウィリーはなんとなく、カーテンを開けて、まだ雪が積もっている街を眺めていました。

窓越しでも伝わってくる冬の寒さに腕をさすりながら、ウィリーは空を見上げました。

運良く晴れて星の見える空を眺めていると、窓の下の方がぼんやりと明るくなりました。

なんだろう。

そう思いつつ下の方を見ると、そこには、大きなトナカイが引っ張る、大きなソリに乗った、自分と同じくらいの年の小さな女の子がいました。

その周りには二つの丸を重ねた雪がぴょこぴょこと跳ねまわっていました。

「もしかして!」

ウィリーは急いで窓を開けました。

「ねぇ!」

ウィリーが女の子に声をかけました。

ソリは止まりましたが、女の子は辺りをキョロキョロと見回してばかりです。

「こっちだよ!こっち!」

ウィリーが呼ぶと、ようやく女の子はウィリーの方を向きました。

「おはよう!ねぇ、もしかしてその動く雪って、雪ん子?」

「え、えぇ、そうよ。この子達は、私の大切なお友達なの。」

突然のウィリーの問いかけに戸惑いながらも、女の子はそう答えました。

「そっか!僕、雪ん子なんて初めて見た!だっていつも、お母さん達は冬は寒いし危ないから、外へ出ちゃダメだって言うんだもん!」

「そうなの?」

ウィリーの言葉に、女の子は悲しそうな顔をして問いかけました。

しかし、ウィリーはそんな女の子の表情に気が付くことなく、

「うん、そうだよ!それにね、冬はどんな季節より寒いから、女王様もきっと冷たい人なんだろうって。だから女王様が来ても、冬だけはパレードをしないんだって。」

「そうなの。」

女の子は俯いてしまいました。

「どうしたの?」

ウィリーは女の子の様子に、心配になり、声をかけました。

しかし、女の子がウィリーの言葉に答えないまま、ソリはまた動き出してしまいました。

「あ、待って!」

ウィリーが止めようとしますが、ソリはどんどん遠くなって行ってしまいました。

そして、ソリが遠くなるほど吹く風は強く、冷たくなり、ウィリーはその寒さに慌てて窓を閉めました。


それからまた数日が過ぎた日、大変な事件が起きました。


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