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僕らのスクールライフ  作者: 銀杏
3/4

俺の脳内妄想が大量宿題を邪魔している。

期限まで残り2日。プリント数は27枚。宿題は好調のように思えたが、僕の顔はやつれきっていた。

「もう今日はやめにしよう?御願いだから。」

「何言ってるの?あと2日しかないんだよ。」呆れかえったような顔で由美が言ってくる。

「でも、こんなんじゃ僕死ぬかもしれないし・・・。」

「じゃあ、ご褒美をあげましょう。」ニヤニヤと由美が笑いながら言った。

「なんのご褒美なの?」僕は由美に疑いの目を向けながら言った。

「今日、明日と私の家で泊りでやります。」由美は大々的に言っていたが、僕は衝撃が大きすぎて何を言ってるのかわからなかった。

「何ボケっとしてるの?早くいくわよ。」僕は特に何も考えずに由美について行った。





                ☆ ☆ ☆






「さ、ついたわよ。上がってって。」由美の家は4人家族にしては少し大きめな一軒家で庭のあたりには盆栽等が並べられていた。

「お、お邪魔します。」そう言って玄関から上がると奥から大きな音を立てて走ってくる人がいた。

「お前は由美の何なんだーっ!?」すごい大きな声で叫んでくる男性がいた。

「お父さん静かにしてくれる?ただの友達だから。」そう付け加えて気をなだめていた。

「お父さん?」僕はついそうやって呟いてしまった。なぜならその人はまだ30前半位の見た目をしていた。

「お前にお父さんなど呼ばれたくないーっ!?」そう叫ばれて僕はいつの間にか謝っていた。

「す、すいません。」

「お父さん。勉強するからどいて。」少し冷たく言い放ったように聞こえたがそれが普段からなのか特に気にした様子もなくお父さんも居間に戻って行ってしまった。

「ごめんね。うるさくて、いつもなの。」

「別にそんなこと気にしてないよ。」そう言ってあげると由美は安堵の表情を浮かべた。

2人で階段を上がっていくとドアに由美と書かれた板がぶら下がっている部屋があった。今気づいたけど、女の子の部屋に入るなんて初めてだった。それに気づくとなんだか気恥ずかしくなりドアの前で止まっていると、由美が声をかけてきた。

「なに、緊張してるの?」そう言いながらニヤニヤとしてくるので、僕もつい見栄を張ってしまった。

「そ、そんなわけないだろ。」少し赤面していたかもしれないけど気にせずに入った。入った瞬間女の子の匂いのようなものが鼻孔をくすぐった。

「なんかいい匂いがする。」ついそうつぶやくと、由美が恥ずかしそうにしていた。

「馬鹿。何言ってんの?変な事言ってないで早く勉強しましょう?」

「あぁ、そうだね。」そうはいってみたもののやはり女の子の部屋というだけで気になって勉強どころではなかった。

「で、ここがこうなって。こうなったときにこの公式を使って・・・・」由美が一生懸命説明しているが何も頭に入ってこなかった。いつもあのベッドでねているんだとか、ここにあるクローゼットに下着とかあるのかなとかを考えてしまうせいで気が気じゃなかった。

基礎を教えてもらい1人で黙々と解いていった。

それから2、3時間位過ぎたところでふと由美の方を見てみると、由美が寝ていた。普段ならなんで寝ているんだと思い苛立つけど、女の子の部屋にいるということも相まって今は変な気持ちになっていた。

そんな誘惑に負けそうになりながら、宿題を進めていった。でも、やはり気になりもう一度由美の方を見てみると由美はこちらを見ていた。僕の視線に気づき慌てて目を閉じて寝たふりを始める。

「ねぇ、起きてるなら宿題手伝ってよ。」バレてしまっては仕方ないという感じで起き上がる由美。

「なぁ、なんで・・・」寝ていたの?と聞こうとしたところで由美が口をはさむ。「さて、ここまで頑張ったならもう十分よ。あとは私のを見ていいよ。」僕はその言葉を聞いた瞬間に嬉しくなり思考を止めた。

「本当!?ありがとう。由美。」由美は顔が赤くなりながらも、強がっていた。「べ、別にいいわ。」

そうして宿題は終わった。







                ☆ ☆ ☆







僕たちは金曜日に宿題を提出した。先生たちはものすごく驚いていた。

「ま、まさかおわるとは・・・。」「まさかカンニングか?」「いや、きっと優秀な生徒を脅したに違いない。」

そしてついでに僕たちの信用のなさを再認識した。

「やっと終わったね。柊?」

「ま、俺は由美にやらせただけだけどな。」

「先生の言うこともあながち間違ってなかったね。」

「ああ、そうだな。」

「解放された気分だね。すごい清々しいよ。」

「でも、お前は明日由美の付き添いだけどな。」

「え、あれってマジで言ってたの?」

「おう。そりゃマジだろ。まあ、俺らの宿題も無事に終わったしそれぐらいいいだろ?」

「それを言われると弱いなあ。柊は僕になんか奢れよ。」

「おう。ジュースでいいか?」

「ん。いいよ。そういえばなんか忘れてない?」

「なんかあったか?」

「まあいっか。コンビニでも行く?」

「おう。そうだな。」

忘れ去られて宿題も終わらなかった田口であった。







                    


                ☆ ☆ ☆









                 次回予告

土曜日に由美とデートすることになった直哉。そして、このデートを機会に物語は動き出す。

次回「ノーデート・ノーラバー」

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