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第二廻「這いずり女の怪」


這いずり女の怪


とある学校に絶世の美少女と呼ばれる女子生徒がおりました。

成績優秀、文武両道、才色兼備、完璧超人。

まさに、天が二物どころかあらゆる才を詰めた様な少女でした。

男子には引く手数多、雑誌はこぞって取材に来る、大会に出れば学問でもスポーツでもトップ間違いなし。


ともあれば、妬む者も星の数。


ある時、少女は謎の転落死を遂げます。

手足は反対に折れ、それはそれは無残な姿だったそうです。


多くの人は少女の死を悲しみました。

しかし、その死にほくそ笑む者も、また居ました。


ある時、彼女を妬んでいたグループの女子が標的を変え別の女子を虐めようと夜の学校に忍び込んだ時です。


彼女達が三階の教室で虐めの準備をして帰ろうとした時。


ズルッ……。


階段の方から何かが引きずられる音がしました。


グループの一人が声を挙げます。

早く帰ろうよ、と。


すると声を挙げた瞬間、音が激しくなりました。


ズルズルと言う音は、ガサガサとなり何かがこちらに向かってものすごい勢いで這ってきているようです。


パニックになった女子生徒達は走り出しました。

しかし、教室は三階。

外に出るには下に降りなければ。


生徒達はパニックになりながらも階段を駆け下ります。

しかし、先頭の生徒がバランスを崩しました。


もつれ合い、階段から転げ落ちる生徒達。

生徒達が最後に見たのは階段の上から笑う彼女でした。




******




ってのが僕が知る、這いずり女の怪なんだけど……。


「あっはっはっはっはっはっはっ!!!」


なんで、よし子さんってばそんな爆笑してるんですかねぇ……。

てか、汚い、笑うならせめて食べた物を飲み込んでから笑ってよ!

飛び散ってるよ!


「ぜ、絶世の美少女(笑)……っぷ、ぶぁっはっはっはっは! ひ~っ、ひ~っ……くくっ、くぁっはっはっはっは!!!」


ほら、笑うから這いずり女さんめちゃくちゃ機嫌悪そうだし。


あ、ここは調理室。

今、僕はよし子さんにしこまた蹴られながら料理を作り上げ、そのよし子さんが胃袋に料理を納めていくところ。

因みに、這いずり女さんもしっかり机についてご飯を食べている。


「……怒るわよ?」


這いずり女さんは面白くなさそうに頬杖をついてよし子さんを睨んでいる。

対してよし子さんは言い返そうと這いずり女さんを睨むが……。


「……っぷっ! ぷす~っ! ぷす~っ!」


笑いをこらえる方で一杯なようです。


明らかにこのままだと流れが悪いのでとりあえず話を振ってみる。


「あ、あの。平澤 広太です」


自己紹介をした僕を一瞥した這いずり女さんはぷいっと横を向いてぶっきら棒に答えてくれました。


波井沢はいざわ 麻実あみよ」


「は、はは……」


僕は苦笑いを返すしかありませんでした。


「ふーっ! ふーっ! ま、まったく、この変態女がどうやったら、ひひっ、そんな伝わり方すんだろな、くくくく……」


なんとか復活(?)したよし子さんが入って来ます。


「大体、コイツが人を追っかけ回す理由知ってるか? 趣味だぜ!? 趣味!」


「いいじゃないの! もう死んで化け物になってんだから、驚かせるのが仕事みたいなもんよ!」


でも、趣味はどうかと思うなぁ。


「しかも、私が死んでから編み出したバックブリッジ走法は最高瞬間時速150kmを超えるのよ! どう!?」


いや、どう、じゃないよね?

もうそれ車と一緒だよね?

高速乗れるよね?


「まぁ、トイレに住み着いてる便所女には理解出来ないでしょうけどね?」

「へっ、逃げ足だけはいっちょまえのゴキブリ女が、よく言うぜ」


「でも、なんでバックブリッジなの?」


喧嘩に発展する前に必死に話題を振る僕。


「…………」


あれ?

答えにくい事?

すると、よし子さんが。


「女子生徒のパンツ覗けるからだもんな?」

「……っ!」


あ、図星っすか?

一緒で顔を真っ赤にしてしまいました。


「う、うるさいうるさい!! そーよ! なによ! 文句あんの!」


凄まじい開き直りを見た。

あれか、美人さんだけど残念なあれか。

残念美人ってやつか。


あ、あと。


「……ねぇ、二人とも? 壁の鏡からすっごく視線を感じるんだけど?」


「見るなよ(見ない方がイイわ)」


二人ともに即答されました。

いや、料理作ってる時から視線は感じてたんだけど、やばい超見たい!


「……ちょっと! 無視しないでくださいまし!!」


僕が誘惑に負けそうになったとき、調理室に少女の声が響きました。

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