現実逃避
気づけば部屋にいた。
閉じられた扉。
ドアノブを回すも扉は開かない。
窓は存在せず明かりは裸電球の頼りない光だけだ。
疲れ果てて扉に背中を預ける。
すると扉の向こうの空間から声が聞こえるではないか。
耳を澄ませると助けを求める声がする。
「どうした!?」
思わず叫ぶと声は止んだ。
ドアノブを再び回す。
開かない。
助けを求める声が聞こえたのだ。
もしかしたら手遅れになるかもしれない。
鍵を探している暇はない。
扉を叩く。
悲鳴が聞こえた。
「イヤァアアアアアア!!来ないで!来ないで!!」
気持ちが焦る。
扉はやがて軋みだした。
体重をかけて懇親の蹴りをお見舞いする。
固く閉ざされた扉は砕けた。
扉の向こうには様々なものが置かれていた。
「邪魔だ!」
早く助けないといけないのだ。
様々なものを蹴散らし声の主のもとへ駆けつける。
「ヒィっ!!」
「もう大丈夫だ!」
そう言って駆けつけたとき、鏡に自分の姿が映った。
そこには血まみれの自分がいた。
「いや!殺さないでえぇ…!」
そうして気づいた。
私は人殺しだったのだと。
「現実から目をそらしたらダメだよな…」
それは自分に向けたつぶやき。そして少女にとっては死刑宣告。
そうして私は自分のあり方を思い出し、実行することした。
「見ないふりはいけない。後戻りはできない。後悔してももう遅い。なら突き進もう。振り返ることも、目をそらすこともいけないね」
成功者がいえば決まるセリフも殺人犯の俺が言っても説得力に欠けていた。まあ、中途半端はよくないからとりあえず目の前の女の子は殺しとこう。
さあ、どうしようかな?