27A列車 小柄な女の子
東京駅に入線してくるJR東日本の新幹線はバライティーにとむ。全車2階建てのE4系。ミニ新幹線と呼ばれるE3系。「あさま」、もしくは「はやて」として、長野・新青森に行くE2系。そして、「グランクラス」を備えたE5系だ。今回乗るのは後ろにくっついてるE5系ではなく、E3系。E5系と比べると一回り位小柄な身体をしている。
「「こまち」かぁ。ミニ新幹線に乗ることも初めてなんだよねぇ・・・。」
他の新幹線と違って、安全柵から車体までの距離は結構ある。さらに、傘を抱えている腕を思うように延ばすことができない。なかなか届かないという感じで萌が手を伸ばす。
「ふぅん・・・。」
「そっけない返事。ナガシィだって「こまち」に乗るのは初めてなんだから、もうちょっと喜んでもいいんじゃないの。」
「・・・。」
それよりも、相変わらずすごいと思う。まず、切符を買ったのは1月8日だ。それでよく窓側の席が取れたものである。しかも、僕の隣の席は空席だったみたいで、往復とも萌は僕の隣の席にいる。「はやて19号」の時も「はやて28号」の時も、それは変わらなかった。さらに、それだけならまだ驚かなかった。今回も座る席が往路がA席、復路はD席なのだ。つまり、また反対の車窓を見ながら、帰ることができるのである。
「こまち・はやて19号」は車内清掃を終える。そして、業務放送として、乗客の乗降許可が出る。
ようやく「こまち」のドアが解放され、並んでいた人が一斉にE3系、E5系の中に入っていく。「こまち号・はやて号」は全列車指定席。自由席という考えがないため、席は予約すれば必ずある。また、「こまち」はさっきも言ったとおり、小柄な身体。乗車するにはステップを必ず踏む必要がある。これを踏まないと、ホームと車両の隙間に必ず落ちる。
「えーっと。15号車、3番A席とB席。」
車内に入って、その席を探る。今回は秋田方面に向かっていくであろう、ご年配の方の8人ぐらいの集団がいた。そのために、車内はにぎやかだ。
まず、席に腰掛けたら、リクライニングだ。しかし、黒いボタンを押しても、何にもならない。
「ナガシィ。ここに何か書いてあるよ。」
前の席のテーブルを見てみると車両案内ではなく、ボタンのことしか書いていなかった。どうやら、僕が押していた黒いボタンはただ、座席の座面を前後させるためのもので、リクライニングはないようだ。しかし、近くについている白いボタンでリクライニングができる。さらに、前座席の下にはフットレストがついているし、雑誌もささっている。ここまでのサービスを見ると、どうも普通車指定席に乗っている感じがしない。後で調べてみたが、このような設備を整えているE3系「こまち」は「こまち」の中で結構後に製造されたグループのようだ。編成番号はR23となっていた。
8時56分。「こまち19号」秋田行き、「はやて19号」新青森行きが定刻で発車する。東北新幹線は一度上野の手前でトンネルに入り、地下駅である上野に停車。また発車し、今度は20分かけて、上野から大宮までをゆっくりと走る。大宮を発車すると、E3系の本領発揮である。