26A列車 東海道にとって敵なのです
「萌。ちょっとは我慢してくれたっていいでしょ。」
「なんでよ。いっつもナガシィが窓側でずるいじゃない。こういう時位譲りなさいよね。」
そんな会話をした。
僕たちは今新大阪6時00分に発車する「のぞみ200号」の中である。この「のぞみ」は新大阪を東京方面に向かって発車していく最初の列車であるほかに、2時間26分という俊足で結ぶ列車である。しかし、この列車が一番早いのではない。「のぞみ1号」、「のぞみ64号」などが1分だが、この列車よりも早い。
僕はまだ明るくもなっていない外を眺めた。
(今日は日本中寒くなるって言ってたけど、大丈夫かなぁ・・・。多分東海道新幹線は米原の雪で遅れると思うけど・・・。30分越えたら、アウトだよ・・・。)
というのは乗り継ぐ時間である。僕たちが乗る予定の「こまち19号」は東京を8時56分に発車する。今乗っている「のぞみ200号」は8時26分の東京着である。つまり、30分遅れれば、乗り継ぐはずの列車に乗ることができなくなり、秋田まで行くことができなくなるということである。問題がないのは通常通りいけばいいということだった。
列車は京都を発車して、問題の区間である米原と岐阜羽島の間へ向かって250キロ以上のスピードで突き進んでいく。空はまだ暗い。車窓には街の明かりがポツリ、ポツリと流れていく。
「本当に新幹線大丈夫かなぁ・・・。もしかしたら、「こまち」も大雪で遅れるんじゃないの。」
「さぁ・・・。でも、雪に強い東北新幹線だから、遅れはしないでしょ・・・。」
このとき、僕には東北新幹線に対する絶対的な自信があった。
米原を通過するとき、右窓にデジタルの大きな時計が見えてくる。その時計は時刻6時30分ごろと示していた。「こだま」が京都から米原まで来る所要時間は20分。ならば、米原を定刻の通過である。 米原を通り過ぎると雪のシーズンになれば、遅れる区間に入る。なぜ、東海道新幹線が雪で遅れることになるのか。それは高速で走行する新幹線は走行中に大量の雪を巻き上げそうこうすることになる。これが床下に付着すると結構厄介なのだ。この下に付着した雪がトンネルなどのか所で、解け落ちる。トンネルには逃げ場がないので、雪は雪塊となって、トンネル上部に跳ね上げられていく。このとき、窓を突き破る可能性があるのだ。もし、この時代になった窓側の席にお客様が座っていたら、一大事だ。言うまでもないが、高速走行する新幹線から落ちた雪塊は超強力の弾丸同然である。
「のぞみ200号」は途中岐阜羽島を通過する前に速度を落としたぐらいだった。名古屋には定時着。前回新青森に行ったときは名古屋手前で停車した。恐らく、走行中の減速によって、名古屋手前で止まる時間がなくなったのだろう。その先は何事もなく、東海道を飛ばしていった。雨の降る東京には8時26分。定時着であった。
これから北に向かいます。