7:DQのようなイメージ
「なんだか良く分からないけど……なんだか、おもしろいですね!」
どうなっているのか分からないと思うのに、ポコタンは俺たちの様子を見るだけでも楽しかったようだ。
手の甲を口に当てて上品にクツクツと笑う様子はまるで本物みたいだ。
ああ本物か。
その時プロジェクターが動き、壁に映像が浮き出された。
「ん?なんだ○ッキーか。どうしたんだろうな」
「さて?」
そこには魚眼レンズよろしく、上から顔が遠近法によって歪に歪んだロックこと、イケメン改め魚眼イケメンが居た。
「ふぅむ、やはり不思議な生き物だなこれは」
音声がスピーカーから漏れてくる。
「その声はロック!……にしてはなんだか……おかしいですわね……」
魚眼レンズなんてこの世界にはないのか。そうかそうか草加。イケメンを陥れるためには必要だ、メモしとこ。
まあどうもファンタジックな世界だからプロジェクターもスピーカーもカメラも電気も知らないんだろうなぁ、なんて一人でしみじみしていると、どうやら映像が俺んちの前まできているようだった。
本当にタイミングがいい。良すぎる。測ったのかと言うほどにタイミングがいい。くそ!イケメンはもげろ!
「失礼、シーナさんいらっしゃいますか?」
少しの間をおいてロックが一人、玄関を軽く叩く。
「サチコ、どうする?」
「ああ、間違いない……使途だ」
某司令官の様に手を組んでいつの間にか椅子に座っている幸子に向かって、俺は机に手を置き話しかける。確かに使途であることは間違いない。
「おっとポコタンはそのままだ!落ち着け、まだ慌てる時間じゃない」
ノックの音に反応したのか、この家の前に居る事を察したのか、ポコタンが動こうとする。
それを俺は押し留める。まだだ、まだ終わらんよ!
これ以上厄介なことにされてたまるかってんだ。
「サチコ……あとは、分かるな?」
「サーィエッサ」
ビシと敬礼をしてサチコは玄関へとロックを迎えにいく。
「ポコタン、少しだけ待っててくれ。もう少し演出してやるからよ」
ニヤリとほくそ笑む俺の顔は、ヤバイ悪役顔だった。
「はい、どちらさまですか?」
「先ほどは失礼しました。ご無礼かと思いますが今一度訪問させていただきました」
「はい、どちらさまですか?」
「改めて私はロックと申します。サチコさん、どうかシーナ――」
「はい、どちらさまですか?」
イケメンの顔が引きつり始めたあああああああああ!ここで強烈なボディボディボディ!そしてッタックルで山崎君吹っ飛ばされたあああああ!!
「失礼、私はシンバ王国・商業都市エルス・特別護衛軍・バルス騎団・団長のロックと申します。以後お見知りおきを」
「なげえ」
ウイニングザレインボオオオオオオオオオオオ!!!
勝負あったか!?サチコさんまじぱねえっす。まじ鬼畜。
「うぐ、サチコサン、ご冗談を。シーナさんはいらっしゃいますか?」
このイケメンやるな本当に。
むかついてるだろうけど顔にあんまり出さないように堪えている。
その所為でゆがんでる姿を見るのは逆に面白いけど。
「マスターはいまポコってます」
「ぽ、ポコ……?」
「はい、ポコッてます」
「それはどういう……」
「ポコタンINしたお!」
「! 少し中を窺わせて貰っても宜しいでしょうか?」
「だ が 断 る !」
「くっ……」
うひ、ロックがあからさまに動揺している。
二文字じゃあ分からなかったようだが、ポコタンの四文字で察したようだ。
例えそれがふざけて居る様子でも、今のロックには見逃せない情報だ。
ふ、どうやらここまでか。
クックック。サチコは我々四天王の中でも最弱……俺たちの出番だな。サチコ全然負けてないけど!むしろさらに追い討ちになる形だけど!
「やれやれ、シツコイ男は嫌われるぜ?ロックさんよ……」
片腕で淵に寄りかかり、手には太い葉巻に火をつけ、紫煙を燻らせながらハードボイルドに決めてみた。
松田?ゆうさく?いや、ちがう。
「ふっ俺か?俺は、宇宙刑事だ」
ギャバーン!あばよ勇気!……違うか!
聞かれても居ない返事をしながら俺は男は背中で語るもんだと、ロックに語る。
「シーナさん……ですか……?」
「ふん、余りのハードボイルっぷりに言葉もないだろう」
「帽子とマスクとカツラとグラサンと葉巻とスーツじゃここじゃ誰にもわかりませんよ、マスター」
はっ!うっかり!どこぞの海賊漫画の将校じゃあないがうっかりだった。
「どうやらツキは私にあるようだ。サチコさん、シーナさんとお話させてもらいますよ」
彼は麻薬をry、ロックは打って変わって強気な態度で、勝ち誇ったような顔で、コロンビアで、ドヤ顔でサチコにほくそ笑んだ。
「ああ、そうだな『お話』しなきゃあなぁ。ククク……こいっ!ガン○ーム!」
めんどくさいのでボイルドな格好は脱ぎ捨て、Tシャツにトランクス姿になる。
ついでにフィンガースナップすると、ゴゴゴゴゴと鈍く大きな音が響き、少し離れた地面が裂け、人口的な裂け目を作りながら、左右に地割れを起こし、さらにそのなかからある白い人型の何かがせりあがってくる。
そして競りあがってきた人型兵器が全貌を見せると……。
「かもん!ダビデ像!」
ギリシャ時代、もっとも美しいとされる人間の身体バランスは7頭身だった。
尚且つ傅いた悩ましい頭部に、少しだけかかったパーマがキュートで、全裸であるがゆえにその実を晒された男性の象徴は愛らしくたたずんでいる。程よく鍛えられた筋肉は生活に必要な要所要所、実用的な筋肉をつけており、それらは実に合理的で魅力的だ。
「これは……どういった冗談ですか?シーナさん!」ぐにゃあぁぁ
「なんとなくだ!」どーん
「……ぽっ」byサチコ
「ざわ……ざわ……」黒服
もう一回指を鳴らすとシュンっと全部無かった事に!遊びのためだけにさっき作りマシタ!
「冗談はSATEOKI。お茶でもどうだいロックさんよ。招待しよう……我が城へ……ククク……」
「ぐっ……。ご招待、恐れ入る」
ロックとサチコを引き連れて、普通の玄関を開けて、最初の角を右に曲がり、突き当りのタバコ屋の角を左に曲がった先にある魔王の椅子の後ろのやたら長い階段を降りる。
え?そんなもんあったかって?さっき作った。
そして開けた空間に行き着くと、そこはただの広い空間。東京ドームおおよそ150分の1程度の大きさだ。分かりにくいのは気にスンナ。
そして等間隔に並んだ蜀台に青い炎を焚きつけて、敷き詰められた石畳の先大きなキングサイズのベッドにはポコタンが純白のドレスに身を包みながら横たわっている。
イメージとしてはラスボスまでの一直線的な感じで創りました。スクエニ……匠が。
それを見た瞬間、ロックの顔が強張り、同時に駆け出していた。
「姫様!ご無事ですか!?姫さっヴぁ!」
サランラップって結構丈夫なんだよね。
腕を伸ばして走ったロックは透明な膜に気が付かないまま、ポコタンの目の前で壁のように張られた膜へと突っ込んだ。
「ブッ!」ポコタン
「ブヒャヒャヒャヒャwwwwwwww」俺
「m9」サチコ
「ぷげら」ダビデ像
「……(怒」いけめんのろっくさん
グイイイイイインと柔軟性と剛性を兼ね備えたマイナス20度まで堪えられる超強力なビニールの壁は、イケメンの顔をストッキングをかぶせたかのように醜く歪め、ベッドの上に居てこちらを見ていたポコタンは必死に腹と顔を抑えて笑いを堪えていた。
俺らは勿論遠慮なしにぼっこぼこに笑ってやりましたとも。
「シーナさん……少し、お話が……」
その顔は俯き、こちらへゆっくりと歩きながら、さらに背から黒いオーラを出しつつ、腰に手をやり挿した剣をキィィと金属音をだしながらもスラリと抜きつつ、カツカツと靴音を響かせながら明らかな殺意を持って近づいてくる。
「冗談も分からない男の人って……ヒソヒソヒソ……」
「なんなんですか貴方は!!」
そんな怒号と、何かの光が煌いたと思ったら、目の前には驚いた表情のロックと、ATフイールドによって止められた、銀色に自分お顔が映りこむほどに研ぎ澄まされたロングソードが滞空していた。未だに剣とATなんたらの波紋が揺らめいているので若干力を入れているらしいこのイケメンは。
「な、なんだこれはっ!?」
ドキドキドキドキドキドキ!!
吃驚した死ぬかと思ったてかまじこいつキレタのかよまじかよ真剣かよしかもまじかよころすきかよ!
早鐘のように脈打つ心臓とは裏腹に俺の表情はシタリ顔である。だと思う。できてるか不安。だれかぼすけて!
「ずいぶんな挨拶だよね。ポコタンにあわせてあげたって言うのに、それが恩人に対する礼儀なんですか?」
「失礼。寸止めにてお灸を据えようかと思っていた所存」
「まあちょっとした演出?ポコタンはごらんのありさま……ご覧の様に無事だよ。騎士様」
指パッチンするとサランラップの壁は取り払われ、さらにポコタンの爆笑もどうにか落ち着いたようだ。
目の端に涙が少し見える意外は普通にベッドに座っている。
「ロック。ご苦労様です。いえ、有難うと言うべきですね。不甲斐ない姫でごめんなさい……」
「い、いえそんな!姫もったいなきお言葉……」
まさしく何か昔話のファンタジックな騎士と姫の様な。まあその通りなのかもしれないが、絵面的には感動の再会なんですかね。
さあってこっからどうするかねー。
何時しか冷静になってしまった俺は、この先を考えるとどうしても悩んでしまうのだった。
ネタも何も無くなってきたよね如何しようね!