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4:夢の国から

「つまりあれがあーなってそうなってこうなるのか!具体的にはよーわからん!けど分かった!」


 ゲームを買った際、まずは説明書を読むタイプな俺は、概略を掴もうとパソコンを弄っていた。

 まるで神の様な力を手にして、思うままにそれを振るったら、よくあるゲームの魔王の如く何時かは身を滅ぼすだろう。

 慌てず騒がず、コツコツと、確実に、石橋を叩いて砕いて粉々にして作り直してから渡るというくらいの慎重さでいけば、どうにでもなるだろ。

 そして大いなる力には大いなる責任が伴うとかどっかのクモ男も行ってたし、物事の仕組みを理解するのは人間にとって当然の行為だ。

 分かった事は色々。

 まずは想像。そして創造。

 必要なのは材料と、媒体と魔力的なモノ。エネルギーと言うか、何事も燃料化何かを消費しなければ動かないのだ。

 それは魔力といったりマナといわれたり熱といわれたりと、三次元では捕らえきれないエネルギーの何かだ。

 材料とエネルギーがあれば、媒体が作れるし、媒体とエネルギーがあれば創造できる。

 材料と媒体があれば、改廃も可能だ。


「一から全を生み出せるとなっちゃあ……俺はメーカーを超える!」


 想像力は無限大。

 メーカーから与えられるものではなく、自分で細かく、自在に、容易に生み出せる。

 それはプラモデラーとして、クリエイターといっても過言ではない。


「僕は新世界の神になる!」


「なーにいってんだか、このどアホウが」


「冗談にきまってんだろサチコ」


「ここに死神のノートが一枚」


「やめてええ!名前かかないでええ!!」


「冗談も通じない男の人って……」


「うっせ!兎に角俺の隠された力の概要は理解した。あとはそれ以外だ!うぐっ、収まれ俺の右腕……!」


「まさか邪龍薩炎王黒破の呪いが右腕に……!?」


「うわああああああ!俺の腕がアアアアアアアア!!びっくりしておっきくなっちゃった!」


「はいあっと言う間の二時間半でしたーぱちぱちー」


「暇をもてあました」


「神々の」


「うっ!……ふぅ……」


「えんがちょ」


「さてまぁ、とりあえず俺の部屋の外を作らなければ!衣食住の住!」


「サーイエッサー!でもパソコンばっかりいじって私を弄ってはくれないのですね、ますたー」


「なにそれひy。まあ上手くできなかったらサチコに頼るからさ、まあ助手的な感じでよろぴく」


「つまりアイドルあんどマスコットと言うことでいいでござんすね!」


「そんな語尾じゃ売れないよ!もっと語尾ではなく媚を売るんだ!それがアイドルには必要なんだ!」


「分かりました一輝P!私頑張ります!」


「そういうわけだからとりあえず黙って寝てろ」


「いえっさー……」


 体育すわりを始めたサチコをよそに俺はモニターを見つめる。


「見取り図から、3Dから同時に操作しつつも滑らかでラグもない。入力も差し障りない……スパコン以上じゃねえのこれ……うひ……すげえこれ。しかも思った事が直ぐ反映されつつ修正も可能、リストアップからショートカットまで思い通りでメチャクチャはかどるうううううう!!これはかどるううううう!!未来生きすぎてるけどコレは脳汁もんですドゥフフフ!!」


 今部屋の外は簡単な木造式で、見た目的には一部屋しかない小さな小屋に見えるだろう。ロッジハウスとはいかないまでも、板で区切られた山小屋見たいな感じだ。


「これから俺は美しい建築家鈴木とでも名乗ろうか……へぶっ」


「峰打ちだ」


「おめぇ指弾とか打ってくるんじゃねえ!峰でもねえしヘボッ!」


「あんまりのめり込みますと周りが見えなくなるようですねマスター。これは忠告ですがまた囲まれています」


「なんやて!?ちょ、いまただの木造だから燃やされたらマジ燃える良く萌える!ダメだこいつ……早く何とかしないと!」


 兎に角慌ててモニターを見てみると、俺の想像を汲み取ったのか『索敵ユニット:ミッ○ー』と表示されていた。

 ネズミ型で山や川など自然の索敵が得意な様だ。さすがにやばいのでマジで伏字を入れる。


「と、とにかくこいつだ!索敵索敵索敵素敵いいいい!!!」


 クリックするとダンボールの中ががさごそと動き、ペカっと光るとモニターの右下に映像が表示された。

 地面を高速ですべるような、空が木が遥か高くそびえ立つような映像だ。

 そしてその映像の窓は多角的に更に数多く展開していく。


「俺の連打は高橋名人を凌駕する……まさかそれがこうなるとはな」


 連打しすぎて一杯でちゃったようです。

 あんまり多くのウィンドウが展開するのでまるでブラクラだと思っていると閃いた。

 そうだプロジェクターだ。

 そして壁の一面をスクリーンとして、パソコンからそちらへ映すようにする。原理?しらん!そうなるんだからそうなるんだ!コレでいいのだーそれでいいのだー!

 画面一杯に映される夢の国のネズミ達の視界は、恐らくこの家を中心に360度すべてを見渡すように配置されている。そしてそれは放射状に広がりながら、30メートル先位まで映し出す。


「人間……か?」


 スクリーンに映し出される姿はまるで中世ヨーロッパの騎士。ありきたりだが各々が鎧を着込んでいる。

 そして一番先にいる騎兵は他の騎兵よりも少ない面積の、青い軽鎧を纏っており、風に靡く髪は男の癖に肩まである。金髪碧眼と外人の様に整った顔と相まって、それはまるでファンタジーの美形キャラの如き様相を醸し出す。筋の通った鼻は凛々しくも高々と、軽鎧から垣間見れるその肉体は隆々と、その男の勇敢さを物語る。

 男たちは何かしゃべっているのだが聞こえない。そして音声が足りないと思っていると、パソコンからスピーカーから伝わってくる。便利便利。


「以前、こんなモノがあったか?ハルク」


「いえ、私の記憶には御座いません。ロック団長。しかしながら、周囲の焦げ付き、及び死臭からは恐らくこの辺りで間違いないかと」


「ふむ、そしてこんな動物もいたか?」


「いえ、見たこともありません。黒く丸い耳のネズミなど、この辺どころか大陸ですら……」


「ふむ、簡単に捕まるしな。逃げようとも暴れようともせん。まるで此方を伺っているような目だ。お前は何がしたいんだ?……話は流石に分からんか」


 むんずと掴みあげたネズミを覗き込むロックとやら。画面いっぱいにイケメンが映る糞、爆発しろリア充が!イケメンハミナゴロシデス!

 ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!どうしようこれ絶対第一村人発見的なあれだよ!出て行ったら捕まるか、尋問されるか、拷問されるか、なんかあんだろ!

 そうだ京都逝こう!いやいや先ずは友好的であると伝えるのが先だ、そしてただの一般ピーポーであることを伝え、むしろ保護とかしてもらえる方向に行かなきゃヤバイ。

 頭を抱えた俺は名案を思いついた。

 それはドラゴンたちのようにレーザーで皆ころ……ではなく、我らがアイドルさっちーに説得に行ってもらうのだ!見た目幼女だしいけんだろ!これでなんかあったらソイツは社会的に死んだほうがいい。てか一石二鳥だから絶対にぬっころちゅ。イケメンだから一石三鳥か!俺上手い事言うわー!


「君に決めた!いけっ、サッチー!」


「ドギャラゴゴルギゲガアアア!!!」


「泣き声こわ!絶対みゅうつーより強いだろお前!」


「いってきますマスター」


「逝ってらっしゃいサチコ。応援してるよ」


「そこは字が違うんじゃありませんこと?マイマスター」


「ソンナコトナイデスヨ?まあ兎に角なんとかしてくれ!」


「ラジャ!」


 俺の希望は今巣立っていった。その後姿はまるでアルマゲドンの親父達。かっけーっすサチコさん!

 普通にガチャって扉開けていったんだけどね。機密性重視ってことで、扉は開けても中は見えません。仕様です。

 そこからは夢のネズミこと、○ッキーから間接的に状況を覗く。


「誰か出てきたぞ!全員、警戒しろ!」


 ガチャガチャと大勢の人間が鎧を鳴らし、動作する音が岩山に響く。それは豊かな自然と相まって一層奇妙に聞こえてくる。


「ゼム、デストローイ」


 サチコてめえええええええええええええ!


「なんだと?どういう意味だ、お譲さん?それと君はあそこから出てきたが、あれは一体なんだ?」


「それよりもあなた方はどちら様ですか?」


「質問に質問で答えるなあああああ!!」


「落ち着けザルバ。興奮するんじゃない。次やったら減給な」


 そうして吉良とは似ても似つかない、どれかっていったらボブサップに似てるごついおっさんはイケメンにさらっと宥められて、肩を落としている。


「失礼、お嬢さん。部下の非礼、お詫び申し上げる」


「構いません、それであなた方は?」


「私達はシンバ王国・商業都市エルス・特別護衛軍・バルス騎団と申します。私は団長のロックと言います。そして今の状況ですが、パトロールの最中、大きな光がこの竜の巣へと空から降ってきたので、見回りに来たのです。それもドラゴン達に会わないで普段よりも遠くへきたのですが、そこで見慣れない物を見かけましたので、様子を見ていた所です」


「それはそれは大変お疲れ様で御座います。ですがこの通り此処はただの私達の家です。お帰り願えますでしょうか?」


「ふむ、いつの間にかこの様な所へ、あなたの様なお嬢さんが住んでいたというのは、あまり納得いきませんが、それよりも私達とは?他にも誰かいらっしゃるので?」


 やべえ、コイツ冷静だ。イケメンの癖に、頭いい奴くさい。それは厄介だ、失言だぞサチコおお!!


「はい、マスターと二人でこの家に居ます」


「そのマスターとはどのようなお人ですか?」


「マスターはマスターです」


「お嬢さんが嘘を言っているようには見えないのですが、このような場所で貴方の様な美麗な方と二人きりの状態とは非常に訝しい。お嬢さん、どうかそのマスターとご連絡を取らせてもらえませんでしょうか?」


「それは……」


 直ぐに判断できないとしてサチコは口を淀ませた。そして意を決してか、口を開こうとした所で俺がとめる。


「はいはい、スイマセンにー、ちょっとウンコしてて……で、サチコさんや、この方たちは?」


 マスターと叫ぶサチコを尻目に、宅配便を受け取る感じでTシャツにスウェット姿のまま、ボリボリと頭を掻きながら扉を開ける。リアルにウンコしてたとは誰も思うまい。。まあ自他共に認める慎重な俺のこと、万全とは言えないが偏向した知識を総動員してチョッパヤで準備しました!どんな事があろうが人間にゃ負けんレベルでの備えだ。そいつには自信がある。


「貴方が、マスターとやらですか?」


「はいはい私がマスターとやらですよ。ロックさん」


「! 幾つかご質問をしても宜しいでしょうか?危害は加えないことを神に誓いましょう」


「あんた本当に頭回るねシネバイイノニ……あ、何でもありません、答えられる事なら何でも答えましょう。サチコはコッチ来ときな」


 サチコに手招きすると、ササッっと俺の影に隠れるサチコ。まるで脅える少女のように見えるその様子にあいつ等は心居た堪れない事だろう。ザルバだけはぁはぁしてるけど。

 俺の考えを読めると言うか汲めるサチコは、俺の思うように動いただけなんだけどねテヘペロ。

 ロックの一言で敵対する気持ちは無い事が確定した。これは場合によっては友好的とも取れる。最悪でも無干渉だろう。

 あとは質問の内容だが。


「貴方お名前は?」


「椎名一輝と言います」


「シーナ・カズキさんですか。珍しいお名前ですね。それではもう一つ。此処へはいつから?」


 厄介だなコイツはと心の中で独りごちた。曖昧な言葉を使い含みを持たせる。いつから住んでいるのか。いつからサチコといるのか。いつからこの山に来たのかとも取れる。深読みしすぎかもしれないが。


「さっきですね」


「ご冗談を。それでは次です。この辺りにはドラゴンが出ます。ご存知ですか?」


「知っています」


「ほう、では何故今こうしておられますので?」


「私がヤりました」


 団体さんが驚愕に目を見開く。それは客観的には意味不明だろうが、今のこの状況と、どんな奴かわからない俺に、その言葉の真意すら見えず、真実がつかめないだろう。そして含みを持った言葉は様々な変容を遂げつつ、各隊員へと伝わる。たとえこの世界がゲームの世界だったり、ファンタジーだったりしても、それらは恐らく勝手に脅威に映るだろう。

 そしてそれは大体が同じような意味へと収束していく。俺がドラゴンを殺したと。極太のあの光で。

 気持ち的には刑事さんに白状してカツ丼を奢られる犯罪者なイメージでしたが。笑


「それは……どうやって?」


 流石のロック団長も眉間に皺を寄せ、複雑な表情を見せる。


「もういいでしょう?あなた方は如何なさいますか?」


 汲み取れ、俺の真意を、頭のいいロックさん。








 俺はもう帰りたいんだよ!!



さあ、ありがちな展開でいきますよ

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