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3:我、天啓を得たり

こっから本題 

まさかいないと思いますが、ここまで読んだ人、本当に有難う御座いました。

「じゃあ脱げ――ふゲレゲレっ!!」


 そうして濁した俺の神の声はサチコからのパンチで幕を開ける。


「そういうことではありません!」


「なんだよだってサチコラブドールやん。高かったんやで!」


「たしかに私は780,000YEN(税込み)でしたが、だがその道は3000年前に通り過ぎている!」


「中国じゃねえしバキ読みすぎだろjk」


「それはおいて置いて、つまりマスターの命令は確かに絶対的なものですが、私にもある程度権力が欲しいなぁと。拒否ったり命令無視したり、反抗したり」


「黒っ!欲望塗れじゃねえか!自分勝手にも程が有るぜ!」


「それはそうとマスターの命令は絶対なのであんまりそういうこと言わないでください。はい脱いだ!」


 其処にはシリコン99%で滑らかな肌触りと、程よいやわらかさによって限りなく人に近い、それよりも部分的には人よりも優れたラブドールの姿があった。

 肌は健康的に肌色で、染みや腫れ物など一切ない美麗な手足、掌に収まる程度に山を描く乳房は幼くも、張りがあり艶を持つ。

 身体のラインは非常に理想的で、クビレからヒップのラインなど世の女性が鬼のように求めるほど扇情的だ。まあそういう作りんなんだけどね。

 そして一番重要な部分には巨大な穴が。それは空虚に空間が広がるだけだった。


「ガッバガバやないか……がっくし」


「元々はマスターの所持していたドールですからね。殆どその時のままです」


「そういやホールは風呂場に置きっ放しだったな。そんでもって此処は俺の部屋しかない後は……分かるな?」


 一回だけ試しに使ってみたけどあんまりで……。くそっ!失敗した!こんな事になるんだったらと心の中で悪態をつく。


「何時まで全裸待機すればいいんですかマスター?そろそろしばくぞ、へぷち」


「何お前それで寒かったりすんの、変にリアルだな服着ろよ、もう」


「畏まり!言わば死神の擬骸だもんで、感覚とかもあるんよ。38度の真夏日とかマジ勘弁」


「ぶんしゃか()笑。でもなんかマジ人にしか見えないな。顔とか作り物臭いのに、動きが」


「ふふん、その辺は100Mを2秒で走れる程度の能力です」


「なにそれこわい。亀仙人よりはええぞ」


「まぁ、セル戦の某坊主程度ですね」


「その坊主がハゲか飯かで地球がヤバイ」


「でも残機もないので私が逝ったら一発アウトですからね!亀踏んでも増えませんし」


「大手から圧力が掛かっています。しばらくお待ちください」


「同じネタは二度と通用しない。もはやそれは常識!!」


「使ってねえし。間違ってもコスモ燃やすなよサチコ。マジチートスペックすぎて俺死ぬから」


「ご命令と有らば」


「してねえから!やるなよ!絶対にやるなよ!」


「……振りですか?」


「マジで」


「畏まりましたんこぶ」


「わーいなぐりたーい。……そうだ京都逝こう、いや風呂が欲しい。シャワー浴びたい。着替えたい」


「お召し物ははこちらで、そして湯治場は作らなければありません」


「なん……だと、俺のシャツを何故お前が持っている」


「……ふふ。普通にマスターの箪笥からです」


「意味深な笑いは何だよ!てか勝手にって下着もあるし、イヤン♪」


「黙れ小僧!」


「俺にサンは救えねえよ!まあ兎に角風呂が欲しいつくってー、ドラ○えもーん」


「トゥルトゥルットゥルー!ゆにっと・ばす~」


 青い狸の如く叫んだサチコは指を振る。そしてダンボールの中から便器が浮かび上がり、目の前の空間に出来上がった。


「何か……足りない」


「ううむイッタイなんだろう?」


「足なんて飾りですなんていうと思ったか!本体がねえよユニットのバスが!」


「しゃれも通じない男の人って……」


「あー汗かいたなー風呂はいりたいなー(切実)」


「砂風呂で宜しいですか?」


「いいや」


「マスターってば冷たい」


「あったかいのがいい」


「そういうことではなくて」


「もういいから早くしろ!俺は気が短いんだっ!!どうなってもしらんぞっっっ!!」


「ホイホイカプセルっと」


 投げやりにダンボールに手を突っ込んで、何を掴み、サチコは放り投げた。

 ぼうんと煙が上がり、晴れた頃にはそこにはヒノキの大きな風呂が出来上がっていた。

 地面からパイプが伸び、そこから竹を通して、湯が湧き出ている。

 そして溢れる水は整備された溝を通り、壁の外へと伝っていく。


「おめぇ、やれば出来るじゃねえか!うちにきていもうとをふぁっくしていいぞ!」


「ひゃっはー、よく訓練された蛆虫共!まぁさっさと入りやがれ」


「おうよ。やっべぇ温い……キモティー!」


 ベッドから飛び上がり、ぺたぺたと風呂まで行くとルパンダイブ(仮)で一気に沈み込む。


「染みるー、ちょー染みるー。日本人は風呂だよ。風呂こそリリンの生み出した文化の極みだよ……」


「そうですか、それではゆっくりとオタノシミください」


 すたみながあがった!


「そして風呂上りにはラッキーヨーグルト!うまい!」


「残念、招き猫の激運はつきませんでした」


「あ、おかわりくれ」


「はいにゃ~」


「クールドリンクでさっぱりしたわー……ってすげえな……マジかよ」


 ビンを片手にマジマジと見る。

 まさか効果もそのままの様な、ゲームのアイテムがリアルに生み出せた。

 そしてついでに生み出す機械も生み出せた。

 と言うことは。


「マジでやりたい放題……望んだものを生み出す機械やもろもろを生み出す能力パワーS……俺の時代キター!」


 両手を天に向けて掲げる。

 漫画みたいな世界感だが、それがリアルに御都合主義がまかり通る。


「オラァ……わくわくしてきたぞ……」


「それではマスターこれから如何なさいますか?」


 そうしてたたずむサチコは結構真面目な顔だ。

 湯上りの状態で、ほかほかしてる俺は、うんうんと唸った。


「ア・イ・ス・が・食・べ・た・い!」


「ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリクン!!!」


「ヴォレーラヴィーーーーア!!!ぼーの」


「それはよかった」


「ん、んまいよ、ありがと。さて……」


 やりたいことやりたいことっと。

 まずはアレだな。


「なんかこうサチコがやってくれるものいいけど、感覚的過ぎるからさパソコンでやらせてくれよ。ゲーム感覚でさ、なんで電気きてるのか分からないけどコンセントささってねーし」


「エア電気がきてるのでだいじょーぶい」


「俺はもう突っ込まないぜ!海賊王に俺はなるんだ!」


「つまりダブルボケでいくと言うのですか……。それは茨の道ですが」


「いいからできるのできないの!?」


「今やろうと思ってたのにーマスターの所為でやる気がなくなっちゃいましたよ」


「けどしっかりやるのな」


「か、体が勝手に……!?命令ですので」


「大儀であった。ほうほう、デスクトップは変わらんな。そんでもってCPUは意味分からん文字化けしてる。けど動くから問題なし」


 どんなものかと覗き込んだパソコンは見慣れた使い込んだパソコンだった。

 それでも不思議なのは、頭に想像した事がパソコン内で表現されるという事だ。

 サチコ曰く俺の想像の中、感覚的なものを視覚化しているという。

 つまり念じればパソコンは感じ取り、視覚化して、さらに細かくプログラムや数値を打ち込めばどうしたいかを選べるようになるのだ。

 さらにこうなって欲しいなーって思うだけでも勝手にしてくれるオート機能付き。もうサチコいらなくね?笑


「くすん……」


 のの字を書いて体育座りするサチコがガチへこみだったのを何とか宥めて、とりあえず現状打破を試みる。小さい子苛めてる気持ちになっちゃったじゃないか。


 カチャカチャ、ッターン!


 打ちなれたキーボードの音がミサワの如く響く。

 そして周りを見れば、其処は雪国……ではなく、俺の部屋があった。床にあったものたちだけではなく、壁も、扉も全てが元通り。天井のシミまでってのは覚えてないから無理だけど、木造建築10年目の古めかしい感じが実にいい。


「やっぱ俺の部屋が落ち着くわー」


「ほんと汚い。いえ、いいお部屋です」


「おいこら、掃除させんぞ」


「もーほんにいっきったらなんばしょっとー!こげなちらかさんとちゃんとせんてばっちゃー!」


「早く来てくれー!!!おかーん!」


 まあそれもエンター一つで解決できちゃう。なんでもできちゃう。


「うひひひ……何しようぜこれから何しようぜ!」


 神にもなった気分で、俺はこれから何をするのか考え出すのだった。



細かいネタを知るものよ集え!

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