13:春のソナタ
自分で読み返したら書きたくなったった
「唐揚げ王に俺はなる!」
「あーはいはい、どうぞどうぞ」
「なんだよサチコ連れねーな。でもまあちょっと聞いてくれい。めちゃくちゃ受けがいいんだ俺の唐揚げ!」
そうだ嬉しいんだー生きる喜びー。たとえ唐揚げの腕が上手くてもー。
「もしや俺には唐揚げの才種があるのではなかろうか?」
「はあ、ただ単にこっちにない料理ってことでしょうけどねマスター」
「連れねーなサチコ……」
まあちょっとはそう思ってたところもあるけれどさ、ちょっと調子に乗っただけで、このサチコというオリエント人形は優雅に紅茶とクッキーをたしなみながら冷めた目で見てきやがる。我々の業界ではご褒美とは言えなくもないが、勘弁願いたいね!
「ま、ちょっとそう思っただけだよ! 本気じゃあないさ。そもそもさ……、あ、あれ、俺は一体何者何だ……、このうずく右目は……それは覚醒のとき、暗黒の組織に狙われておれの封印が溶けたらきっと奴等が……」
「ご愁傷さまですマスター。重度の中二病と確定診断します」
ふっ、だがまだ生きている。
ま、冗談はさておき、ちょっと冷静に考えることが必要だぜ。それもそのはず、気がついたら俺はノマノマウエイにて唐揚げ専門料理人になっていたのだ!
おかみさんは売り上げが伸びてウハウハらしいし、常連も増えた。ついでに人使いの荒いおかみさんから買い出しをさせられて、馴染みの問屋まで出来てしまった。俺の才能が怖い。
「しかもこんどまた別な料理も考えてんだよねー。いやー唐揚げ受けるんだから絶対に鯖味噌も受けると思うんよね」
にんまりと俺は顔がふにゃける。
浮かぶのは俺の出した料理に舌鼓を打ちながら称賛する常連の姿。褒め称えるおかみさん。たまに見張りの名目で来るロックにも食わせてやったら旨さに驚きすぎてドゲネしやがったし、実は少しおかみさんの娘さんに好奇の目で見られたり、そのこがまた眼鏡に密編みでどじっこと来たもんだから、ちょっと位イイ目見てもイイよね!
「父さん、性気です! ピンクの空気がマスターから溢れています」
「なんじゃあこの大きな性気は……まるでわしじゃのう……」by目玉の
「この、変態が……ぺっ」
「あぁサチコその見下したゴミをみるかのような目すごく絶望を感じるよ。だけど少し僕にはキツイ。だって女の子だもん! いやまじ泣きそうになるからやめて、死人が出るぞその目は! ついでにそこの目玉も目玉焼きにしてやんからな!」
大妖怪の冥土の土産は焼いてコナンにでも食わせたろ。つか俺にもちょっと位役得あっても良くね?
「まあそこはマスターですからいいんですが、当初の目的は覚えていますですか?」
「さあ……」
「まじで?」
「いやいや、嘘だよ嘘だよ覚えてるって。俺はこの町を牛耳る! ……んだっけ?」
サチコの目が……いや、なにも言うまい。
「そうですマスター。ついでに言えば別にこの町でなくても結構です。世界を! 世界を制服するのです!」
「うっわ悪役ー。サチコさんまじダークどれあむだわー」
「いや別にそう言うわけでは……空気読んだのに……くすん」
あらら、体育座りしちゃったよ。ずーんというふいんき(なぜかへんかんできない)を醸し出す。
しかしまあ思い出したぞ。俺は一体何をやっていたのか。他から見たらまあただのバイトだけど。俺には力があるんだ。「そすてあの路地裏のポーション少女を、ポーション少女見たいな子を無くそうとしたのだった。それが今や唐揚げでなんやかんや受かれているだなんて、俺は一体なにをやっていたんだあああああああ!」
「そんなこともあろうかとおおおおお! 不肖サチコマスターの為にこんなことをしておきました。はいどーん!」
なんとそこには俺とサチコの愛のメモリーがプロジェクターにて上映されていた。ヨーモニー。
『路地裏で下呂吐きそうになっているマスター。そこに一人の少女が現れる。彼女は深い闇をおっていた。金がないのだ。懸命に生きる彼女は病弱な母と兄弟を一人で支えていた。全うな生き方では家族は守れない。そこで路地裏で屋台食を度か食いした阿呆な男に既成事実でもって商売を押し付けた。彼女の予想外に男は払いがよかった。お陰で暫くは問題なく生活をおくれそうだったのだ。だが! ふいに彼女に不幸が訪れる! 母の容態が悪化したのだ。急激なことにより突然の出費が訪れる。しかし彼女にはその力がない。彼女はあのカモりやすそうな男を探した。そのほんの少しの希望をかけて……。To be continued……』
「かわいそうだばーーー」
「と言うわけでご本人様登場ですドーン!」
「おいサチコさすがにやり過ぎ「兄さんまたポーションカッテクレ」任せろ!」
俺は彼女に金貨を払った。これで少しでも良くなれば良いのだが。
「あ、お母さんはすでにドクターかばんで治ってますからね?」
あっけにとられる俺と彼女にサチコはドヤァ顔で告げる。
ついでにその様子をスパイカメラからの映像で見た彼女は泣き崩れた。俺はそれを宥めるのでまたひと悶着あったのだが割愛する。いやだってシリアスは苦手だもの。
「と、言うわけで兄貴! 一生ついていくぜ!」
困った。非常に困った。なんと彼女は俺にとてつもなく感謝し、なぜかついて回るようになった。それは義理なのかどうか。
「まぁ、イリンにとってはある意味白馬の下呂王子様ですからね」
「悪意しか感じんぞ」
たしかに俺だったから良いものの、奇跡的かつ偶然で母親の病状が回復して、しかもポーションの一括取引相手ができて生活も安定。金払いもよい。カーちゃんはもっさ元気になって今じゃ建築業界で働くだなんてイイハナシダナー。
「マスター遠い目してます」
「そりゃするさはっはっは」
そう、つまるところ彼女はもう心配事すらなくフリーダム。そんでもって目下俺を狙ってる。何て言うと高飛車なんだろうけど、目が眩んでいるといってもイイ。まとわり憑かれている。金貨二枚とはいったけど、兄、貴なら、イイゼ……なんて言い出す始末。
あえて言おう! 屑であると! でも変態でも紳士なんでまだ決めかねてますエヘヘ☆ミ
「まー宜しければ狭いうちですけど、地下の大アミューズメント施設のなかでも暮らしますか?」
どこでもいいぞ兄貴と居られるなら! なんて軽快な返事と共に、僕その地下室とか知らないんですけどサチコさんなんて言う空気はよめなかった。気がついたら俺の居ない内に地下にダンジョンできてたような気分だわ正に。
まあサチコはサチコだしいっか。と言うわけで家族が増えた強制的に。これ回避できたイベントなのかなぁなんてこっそり思いながら、俺は寝た。ぐー。
個人的に悪くないとおもうんですけどね。頭使わず読んでいただければ。むしろ読めるかどうか目に留まるかどうかが課題ですけどねw