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12:目玉焼きには醤油だろ?

「おう!シーナさん!ちょっとこれ3番テーブルに夜露死苦!」

「あいよ!ついでに4番あがりましたよっと」

「おいおせーぞシーナ!!あ、でも別に忙しいならいーからねっ!」

「おっさんのツンデレとかいらねーwwうげーw」

「良く分からんが適当になんか追加してくれー!」

「あーくそ、了解、畏まり、はい喜んでー!!からあげでもいーい?」

「まじか! あれでいい! むしろあれがいい! 夜露死苦たのんだしーなちゃん!」

「うっわきもっ! おっさんまじ止めてくれ! 作ってくるから近寄るなはげ!」

「うるせぇ! 髪に悪気はねーんだ! 可哀想だろうが! 俺が!」

「やかましい!! ハゲにハゲって言って何が悪いんだはーげ!」

「ゴルァ! シーナ! 仕事しろ!」

「りょ、了解だ女将さん!」


 今何をしているのか。それはバイトだ。

 俺はスラムで何でも屋を始め、民衆の心を誘導し国家転覆を図ったはずなのだ、が!

 今はなんでか下層の飲食店にてバイトをしている。

 まあ何でも屋への依頼っちゃ依頼なので、バイトなのか本職なのか良く分からない所なんだが。

 まあぶっちゃけ、いきなり見ず知らずの奴らが何でもやりますっていっても、誰も怪しんで近寄らないよなー。

 しかも急に騎士に連れられた魔法使いとか言われたら。俺だったら絶対近寄らないし、話しかけないし、出来る事なら一生お世話になることはないね!

 なんて客観的に自分を見てると泣けてくるぜ! 信用ってお金じゃ変えないんだよね。

 そんな風に黄昏ていても、時間は無常に流れる。

 今俺はこの居酒屋『呑ま呑ま上井』にてから揚げを作らなければいけないのだ!

 え? シムシティ? そんなの知らん! 今はおかみさんに怒鳴られないように仕事をしなければいけないのだ!

 べ、別に決して仕事が来なかったからとか、拾われるようにお前ウチにくるかい? なんて言われても無ければ、日本にいた時の染み付いた接客業へ抵抗無くなじんでいく自分をなんとなく感慨に耽っていたりなんかしたりしていたりなんかしないんだからねっ!


「えいよっ! シーナ印のから揚げ特盛酒摘仕様おまんたせ!」

「おうっ!これがまた独特なんだが癖になる旨さでな……」


 だなんて、おっさんはから揚げを持っていくとまるで自分の事の様に得意げに一緒にいる仲間にこれが美味いんだと絶賛している。

 へへっ、ちょっと嬉しいじゃねぇかよ……。

 思い出せば、何でも屋を立ち上げた次の日はドキドキわくわくヌルヌルテカテカしていたが、一日待っても何も反応はなし。

 だれが戸を叩くわけではなく、アイテムバッグから屋台の串焼きを少しだけ摘んだ記憶しかない。

 二日目は初日よりも気を大きく持って、果報は寝て待ての勢いでサチコに任せてベッドに横になりながら、wktkしていたら寝てた。

 三日目は更に反省を生かそうと、パンデモニウムについて今後の為に把握するべく色々とパソコンを弄っていたら、一日が終わっていた。客は勿論なし。

 四日目、かゆ、うま この先は敗れていて読めない。正に敗者だ。


「だあああああ!!! もう限界だあああああああ!! ちくしょおおおおおお!! 滅べ! 滅んでしまえこんな世界!!」


 暴れる俺を押さえつけたのは勿論サチコ。彼女もまた私にとって大切な存在なのです。ヴぇるだーすおりじなる。


「まぁまぁマスター。宣伝もなしにスレ立てとな?!」

「zipでくれ……せやな」


 まあ人知れず開業したとして、何もしなければ誰にも知られる事は無い。そんな自明の理。

 ただし。


「めんどくs」

「さちこおっぱいみさーいる」

「ぷげらっ! っておいサチコみたいなヒンニューじゃ威力も高が知れているじゃないか」

「そんなことは有りません。コナン君なんかは鼻血だして倒れましたし」

「いたいけな少年になにセクハラしてんだよ! サチコのジャンルはとりあえずアダルティックに分類されるんだから自重しなさい! お父さん怒りますよ!」

「服が破けてしまいました」

「あーもう! 手が焼ける娘だ! ほら作ってやっからちょっとまってろ! ほい出来た! 着ろ!」

「サチコ七変化ーやまとなでしこー」

「大和撫子はそんなじゃない! そんなんじゃないんやで!」


 俺は服製造機を作り上げ、速攻でサチコサイズの服をオーダーし、作り出す。大和撫子とか言っているが着物ではない。ただのワイシャツだ。裸ワイシャツ。いいよね。


「はぁ、取り合えず頭冷えたわ。んま、サチコの言う事も一理ある」

「一理所か真理ですけどね」

「サチコお口にチャック。 ブチャラティるぞ?」

「はいはい」

「ハイは一回でいいの!」

「はいはい」

「むっきー!」


 兎に角もぼんやりと看板を掲げてただパソコンいじってるのじゃニートと変わらんのだ。お陰で色々伏魔殿について分かったけどな!

 結果、服製造機とからくしょーでした。けど同時にめんどくさい制約もちょとあったり。

 ちょと纏めると、ユニットと呼ばれるモノを作製し、それを何かしらの力で実体化、実用化できる。

 その何かしらの力っていうのを魔法の力と言う事にして、俺はクリエイトと呼ぶ事にする。所謂創造だな。

 そしてその創造はユニット自体は創造できない。

 あくまでもユニットは己の手か、もしくは現物を持って作製、手に入れるしかない。

 まあ下手したらユニットを創るユニットなんてものも出来るのかもしれないがまだ未確認だ。今度やってみよう。

 そしてクリエイトしたモノは、その内容を材料に戻して撤去可能だ。その際に幾らかは損壊がでる。

 それが分かってから一応コロニーは材料に戻した。何時でも空から攻撃可能であるのは圧倒的なまでに俺の力になるが、強力すぎた。

 そんでもって戻ってきた材料は、デモンスティーニから届いたダンボールにいつの間にか戻っている。あれこれもしかして一番大事にしなきゃいけないの段ボールじゃね?

 砕けたり破損したり、ぽっかりと中身がなくなっていたりするがまあ形は残ってる。それにより大事なのはまさかのダンボールの方だった。おいこれなくしたり萌えたら、燃えたらどうなんだよ。どこにもどんだよと。問い詰めたい。

 小一時間問い詰めたかったが、兎に角も危ない橋は渡らないようにして、ダンボールを完全に火熱水に完璧なまでにメッキを施し、万全に備えた。もはや鉄よりも硬く、木材よりしなやかで、軽い万能金属みたいになってるけど、それだけでスネークみたいに被れば銃弾すら弾き返すだろう。ナニこの最強装備。ダサい以外には最強すぎるおれのオモチャ箱。実際今有る中身のユニットだけあれば所謂『世界がヤヴァイww』状態な訳なんだけども。

 とにもかくにも、必要なのは我々が有能且つ万能であるという事を喧伝する事だ。そして信頼というステータスを勝ち取るのだ。


「というわけで仕事です」

「あの、話が繋がらないんですけどサチコサン?」

「何時まで経ってもぐーたらなマスターでは何時まで経っても仕事なんてきませんよ? なんで貰ってきました」

「GJといいたい所だが、色々つっこませてもらってもよろしいか」

「だが断る」

「だが断るを断る」

「だが断るを断るを断る」

「いいから働けニート」

「YESまむ!」


 そんでもってそれが巡り巡って『呑ま呑ま上井』なわけですけど。漢字は俺の当て字です。意味は……後はわかるな?

 まさか仕事が郵便配達で、地理はカメラ使って地図作ったから大丈夫だと思いながら町を歩いていたら、気付いたら地図なくしてて今自分が何処にいるのかもわからない常態で焦ってしまって、更に歩き回っていたらどんどん世界が暗くなっていって、さらに雨が降り始めてしまい、更にヤバイなと走った所で滑って転んで足挫いて、ついでに悲壮感で思わず泣きそうに成った所で、買い物帰りの女将さんに見つけられて、さらに次いでの次いで次いでに手紙のあて先が丁度その女将さんの手紙であったりしてなんだりで、保護されたとか大の大人がそういうことなんて言わないんだからねっ!泣


「ほんと、ずぶぬれで手を引かれて返ってきたマスターのあの時の姿は忘れられません。お笑い的な意味で」

「わ、忘れてくれ! シーナ・ヴィ・ヴリタニアが命ずる! 全力で忘れてくださいお願いしますサチコサン!」

「で、ナンボ出す?」

「くっ、ま、まぁ偽造だけど金貨くれてやんよ! これっきりだぜ! あとはまっとうに稼いだらな!」

「ばんじゃーい」


 一度味わった甘い蜜は早々に毒を含んできているけれど、きっとそれは自重でなんとかなる、でしょう、きっと、たぶん、もしかすると……。

 そんなこんなで取り合えず走馬灯もとい過去話はおいておいて、兎に角書き入れ時な夜にかけて俺は必死にから揚げを作り続ける。完。


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