きっかけ
私はネコの知識が全くないのです。
でもネコは好き。
ネコについて調べる気はゼロなので、色々変な感じになると思いますが大目に見てくれるとうれしいです。
ニャア――
私の名前はクロ、黒猫だ。
父親の顔は見た事はない。母親は私が子猫の時に犬に襲われ死んだ。
私は運が良かったらしく、死ぬ前に人間に拾われ育てられた。
名前は育ててくれた人間、黒岩 元撤に付けてもらった名前だ。
元撤は昔、軍隊にいたらしく、その技術を無理やり私に教え込ませようとする困った人間だ。
そんな元撤も歳には勝てなかったのか先日死んでしまった。
元撤は奥さんを早くに亡くし、子供もいるにはいるが、一緒には住んでいなかった。
その為元撤の最後を見取ったのは私だけだ。
隣の人間を誘導して元撤の死体を発見させた後、私は家を出た。
これは元撤との約束でもある。
元撤は自分が死んだら私に野良に戻るようにと言っていた。
野良で私の技術がどれだけ通用するのか確かめてこい、と笑いながら言っていた。
私は夜の闇に溶け込みながら今まで住んでいた家を見る。
私の体は全身が黒いので明かりを避けていれば人間に見つける事はできないだろう。
これなら人間に捕まる事もないはずだ。
瞳は黒では無く薄い青なので、こう言う時は目を細めないといけないが、元撤いわく『透き通っていて宝石みたいな瞳』らしいので、私は気にいっている。
宝石がなんなのか分からないが、元撤の口ぶりからして何か良い物なのだろう。
もう一度家を見て元撤に礼を言って私は走り出した。
取りあえずは私の知らない土地・・・隣町辺りを目指すことにして。