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明日に向かって  作者: 恩田しげる
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序章 二〇一〇年七月某日

都合2度目の進学に失敗した。なんてことはない。テストに受からなかったという事実だけが大きくのしかかる。これで大学には6年以上通うことになりそうだ。親にはなんて言おう。そもそもこの状態で卒業したとしても今の経済状況下で働き口はあるのだろうか。

「もう死のうかな」

夢がないわけではない。高校時代にはプロのサッカー選手になることに憧れてグランドを駆け回った。結果は市の大会で準優勝。到底プロからお呼びがかかるはずもなく・・・


 仕方なく進学を選んだ。高校3年生の夏。しかしそれまで勉強なんていっさいしてこなかったのだ。中学1年の内容から初めて、現役時に受けた大学には見事に全滅となった。そこから猛勉強・・・とはいかずにフラフラと勉強をしたり、ゲーセンに入り浸ったり・・・なんとか浪人1年目で私立の三流大学に引っかかったのでそこで手を打ったのだ。そして今にいたる。


大学生入学時、今度こそはきちんと勉強しようと思った。今までとは違う、大学は自分のやりたい勉強をひたすら勉強すればいいんだ。そんな思いで入った大学でも競馬、麻雀、パチンコ、、、現代社会の中では現実と誘惑は隣合わせなのだ。



「おばちゃん。日替わり定食ちょうだい。」

「はい、350円ね」

昼過ぎの学食。金があれば近くの定食屋にでもいくのだが、あいにく昨日は日曜日。下宿近くには競馬場がある。となれば結果は決まっている。そんなわけで学食だ。


「あれ、しげる。3限は?」

数少ない友人であるタクだった。タクとは中学の時からの付き合いだ。いまだに中学からの友達で交流があるのはタクぐらいだ。それはやつも同じだろう。

「ここにいるってことはどういうことになる?」

「サボりか」

「サボりだな」

「そういうおまえはどうなんだよ。あの授業おまえも取ってただろ?」

「どういうことだと思う?」

「サボりだろ」

「戦略的撤退と言ってくれ。授業には行ったがすでに出席カードが配られたあとでな。これ以上、長居の意味はないと考えたわけだ」

少し理屈っぽいところがあるやつだが悪い奴ではない。

タクとこんなしょうもない話をしながら米を胃の中に流し込む。ここの日替わり定食の中でも焼肉定食は中々イケる。何処産の肉かはかなり怪しいが。

「しげる、おまえこれからどうすんの?」

おもむろにタクがそんな言葉を投げかけてきた。

「これから?家帰ってゲームかな。昨日負けて金ないしな」。

「パチンコ?麻雀?」

「競馬」

「競馬なんかやるからだよ」

「うっせ。あそこで騎手がミスしなかったら今頃こんなとこで飯食ってなかったのになぁ」

「あたってたらとうせまたパチンコか麻雀だろ」

(さすがに4年目ともなると俺の性格を熟知してやがるな。)

「いや、っていうか別に今日の予定を聞いたわけじゃなかったんだけどな・・・」

「は?どういうことだよ?」

「いや、だからさ。・・・まぁいいや。こんなところでする話でもないし。おまえ今日暇だろ?俺の家来ない?」

「なんだよ、気になる言い方しやがって。まぁ別にいいけど。じゃあ行くか。」


大学から3分くらいのところにタクの下宿先がある。俺の下宿から徒歩20秒くらいだ。

「あれ、おまえこのゲーム買ったのかよ」

「あれ言ってなかったっけ。もう全クリしたから貸してやるよ」

「サンキュー。で、話ってなんだよ?」

「いや、だからさこれからどうすんのかなぁって」

「これからって何がだよ?」

「いや、だから人生的な意味で」

人生的な意味でとかいう意味不明な言葉を発した奴はそのままベッドに転がりこんだ。

「人生的な意味でという日本語はおかしいわけでだな・・・」

「やだやだ。これだから留年文学部生は」

「おまえだって留年文学部生だろうが」

タクが発した謎の言葉の意味を考えだした俺は、しばらくそばにあった本棚の本の背表紙をじっと眺めた。

「いや、そりゃ大学卒業して、就職してサラリーマンなって結婚して子供産んで・・」

「あ、大学卒業する気はあるんだ」

「うっせ。いちようあるよ。」

妙な間があった。長い付き合いの中でこれほどお互いの腹を探りながらの会話は初めてだ。

おもむろにタバコに火をつけておかしなことを言い出した。

「俺達で会社作らねぇか」

キャスターの甘ったるい香りが部屋に漂う。一瞬やつの言ってる意味が全くわからなかった。

「は?」

「いや、だから俺達で会社作るんだよ」

「なんで」

「俺達ってさ大学卒業しても多分ろくな就職先ねぇじゃん。それならいっそ起業した方がいいんじゃやないかなってさ。」

こいつは人間的に馬鹿ではない、と思っていた自分が馬鹿らしくなってきた。ここまで突拍子もないことをいう人間を他にはみたことがない。そういう意味では天才なのかもしれないが。

「あのな、そんな簡単に社長になれると思ってるのか。そもそもなんの会社作るんだよ。」

「それをこれから考えるんだよ」

「却下。話にならん。そんなことよりあの彼女まだ付き合ってるんだろ。もうヤッたのかよ」

「あぁもう別れたよ。カラダの相性がな」

いつもこんな調子だ。付きあってはすぐ別れ、それでもすぐ次の彼女ができる。これだからイケメンは得だ。おまけに高身長ときている。女がほっとかないのもわかるがもう少し中身を見れる女はいないのか。

「おまえはまだ彼女できないの。」

しれっと嫌なことを聞いてくるやつだ。

「俺は好きなやつとしか付き合わないの。君とは違うんだ。」

「まだ気にしてんの?」

「・・・」

「俺が言うのもなんだけどさ、早く忘れて次に・・」

「わかってるよ。でも違うんだ。こればっかりはしかたない。」

「まぁあんま気にすんなよ。なんなら女紹介しようか?」

「いや、いいや。また欲しくなったらお願いするよ。」

「とりあえずゲームすっか」


序章を書いてみて、正直自分の書きたいことの一割もかけてないと思います。小説って難しいですね。これからも精一杯がんばりますのでよろしくお願いします。

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