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永遠の少年と近所のお兄ちゃんが好きだったお姉さん。

作者: 白瘡
掲載日:2026/03/08

ある日、大好きだった近所のお兄ちゃんが忽然と消えた。


12歳の少年が行方不明になった朝、街は小さな騒ぎに包まれた。

神社の境内に残されたのは、仮面ライダーの変身グッズだけ。


6歳の田中百合は、初恋の相手を一瞬で失った。

大人は、必死に付近を探したが、足跡が神社の社で不自然に途切れていたそうだ。


今でも思い出す。

お兄ちゃんの柔らかな笑顔。

目の下のホクロ。


私は、田中百合。

社会人に今年からなったばかり、上司に叱られてしんどい足取りの中、私は帰路につく。


夜の住宅街。

雨が上がったばかりで、アスファルトが濡れて光っている。

スマホの通知音がひとつ鳴り、私はポケットから取り出す。


その瞬間、背後に微かな気配。

振り返ると、雨粒の残る街灯の下に

――少年が立っていた。

見覚えがある、ホクロが目元にあった。


「さとるくん……?」


思わず声が震える。

少年は笑っている。だけど、体はふわりと宙に浮き、髪も服もほんの少し透明で、風に揺れるたびに雨の水滴がくすぐるように弾ける。


「久しぶりだね、ゆりちゃん」


その声に、昔の温かさと、どこか不安定な違和感が混じる。


「……どうして、こうなったの?」


手を伸ばすと、指先は空気を掴むだけで、冷たい霧の感触が残る。


「変わっちゃったのかもしれない。でも、ここにいるよ」


さとるくんは雨に濡れた自転車の横にふわりと座り、私を見上げる。

小さな路地からカランコロンと自転車のベルが鳴り、遠くで犬が吠えた。


――現実の音と、彼の異質な存在が混ざり合う瞬間、胸がきゅっとなる。


「覚えてる? 夏祭りで一緒に金魚すくいしたこと」


「……覚えてる。あなた、金魚よりも私の手をつかもうとしてたよね」


笑いながら言うと、さとるくんの瞳が微かに揺れる。


「うん、でも手は届かなかった」


霧のような体を揺らし、彼はそっと近づく。

手が触れられない代わりに、耳元で微かに呼吸の音がしたような気がして、私の心が高鳴る。


「会えて、よかった……本当に」


私は小さく呟いた。

さとるくんは、にっこり笑って、雨に濡れた街灯の光に溶けるようにして消えていく。


だけど、靴の底に残る水の音、濡れたアスファルトの匂い、そして胸の奥に残る温もりは、そのまま消えなかった。

あの少年は、怪異になったとしても、現代の街角で、私の中で永遠に生きているのだ。

触れない

触れれない

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