第8話 報酬
「早く終わったね」
「近くにいたのが大きい理由かナ。ギルドに戻ル?」
「戻ろう。報酬貰いたいし」
「分かっタ」
平原から街に帰る。
城門を通ろうとした瞬間、槍を持った門番に止められた。
「冒険者であれば冒険者カードの提出をお願いします」
「冒険者カードネ。どうゾ」
ポケットから取り出して、冒険者カードを見せる。
街から外に出る場合は問題ないが、入る時は基本冒険者カードの確認が入るようだ。
……往復する時、面倒くさいナ。
楽々通れた温い検査を、こまめにやる必要があるのか疑問に感じル。
この行為で実際に食い止めれているのならともかく、ボクのような魔族が侵入できたのだから、やる意味があるか分からなイ。
検査を終えてカードが帰ってきた。
城門を抜けて街の中に入ると、アズサが見えた。
先に終わって待っていたようだ。
「初めて通ったけど、セキュリティ厳重だね」
「そウ?」
「入るために冒険者カードの提出があるし、怪しければ荷物検査あるみたいだし」
「普通でハ?」
この世界では、基本的にどの国も同じことをしている。
ボクからすれば、当たり前な話だと思っていた。
異世界では、普通ではないのだろうカ。
「こっちだと普通なの? 俺の世界だと……いや、国の出入りと考えたら空港の検査と同じなのかな」
「クウコウ?」
聞き覚えのない言葉、おそらく異世界の名称ダ。
城門と同じ物なのだろうカ。
「あぁ、似たようなものがあるって話」
「なるほド」
雑談を交しつつ、ギルドに戻った。
その足で、真っ直ぐ受付へ向かう。
「討伐依頼達成の報告をしに来ましタ」
「報告ですね。素材もしくは魔素の提出をお願いします」
「はイ」
スライムの核3つとレーアウルフの牙2つを、受付の机に置く。
討伐依頼の討伐の証明は、その魔物の一部を切り取り提出するか、魔素と呼ばれるものを回収する道具で回収して提出する2つがある。
今回ボクは一部を切り取り提出する方法を取った。
理由は勇者に素材を取るやり方を教えるため。
売れる素材なケースが多いから、小遣い稼ぎになる。
今回は楽なパターンのため、ボクがさっさと済ませたが、アズサは後ろでちょっと引いていた。
「確認終わりました。これが報酬です」
銅の硬貨10枚ほど机に置かれる。
一番下の依頼2つではこんなモノ。
出店の安い物限定なら、一日分の食事代にはなる。
5枚に分けて、アズサに手渡す。
2人なので、半分。
「俺あんまり活躍してないけど良いの?」
「パーティの取り分は均等の方が安定すル。それに微々たる物だから取り分ずらしても誤差」
「それは……そうだね」
アズサは納得したようで5枚を受け取る。
10枚を少し多く、少なく分けたところで1、2枚。
微々たる物。
その上ボクは、そこまで金に困ってはいない。
「まだ時間あるけど、どうする?」
「もう1回依頼を受けよウ。回数こなス」
「わかった。さっさと上げちゃおう」
「また2個受けル」
往復の時間の方がかかったくらいには時間がかからなかった。
もう一度や二度くらいなら余裕でできる時間。
アズサとボクは、依頼を受けるために掲示板を見に行く。
ちょうど先程と同じ依頼があったので、2つ受けてまた平原に向かう。
その道中で出店で食べ物を買い、昼飯として食べる。
時間的に昼にはまだ早いが、気にしなイ。
昼飯を昼に食べるルールはなイ。
アズサは、視界に入った美味しそうなものを見つけると購入して食べる。
勇者だから、金は多く支給されて持っているのだろう。
「美味しい! こんな美味しいのが安く買えるなんて……」
庶民的な食べ物を、幸せそうに食べている。
こういう料理は、珍しいのだろうカ?
孤児や貧民育ちのようには思えないガ。
ボクは、串焼きを串ごとさっさと食べる。
城門を抜けて、平原に着いた。
「スライム倒し行く」
「なら、レーアウルフ仕留めてくル」
アズサがスライム3体を狩ってる間に、レーアウルフを見つけて仕留め牙を回収する。
先ほどよりも早く討伐が終わり、またギルドに戻って報酬を受け取った後、今日のところは解散となった。




