第6話 初依頼
朝起きて、服を着替える。
昨日買った大きめの肉を魔法で火を出して焼いて、良い匂いがしたタイミングで手に取る。
そして、かぶりつき食い尽くす。
食事を終えた後、鏡を確認して表情の調整を行う。
依頼をしている間は、違和感を持たれないように振る舞う必要がある。
バレてしまっては、計画に支障をきたす。
「よシ、時間もちょうどいイ」
時計を確認すると、まだ集合時間に余裕がある時間だった。
……そろそろ出よウ。
あえて集合時間に少し余裕を持たせるために、早めにギルドへ向かう。
疑われないためには、印象が良いことが重要ダ。
変なところで怪しまれてしまえば、そこからほころびが見つかる恐れがあル。
勘が鈍ければ良いが、まだ分からなイ。
あの勇者に関しては、ちょろいということしか分かってなイ。
……道具を街で買えるか調べないト。
生活に必要な道具を買い揃える必要がある。
金は持っているが、道具は必要最低限しか用意していない。
依頼後にでも店で探す。
大通りは朝なのに賑やかで人通りの多い。
大通りを通って、ギルドへ向かう。
宿は、大通りにある程々の値段の宿に変えた。
「おぉ、リアさん!」
声がした方を確認する。
ギルド施設の入口から少し離れたところでアズサが立っていた。
こちらに向かって、手を振っている。
「早いネ、アズサ」
「ぐっすり眠れて、早起き出来たよ」
やる気満々といった感じのアズサ。
初めての依頼が、楽しみなのだろう。
「それは良イ。依頼を探そウ」
「良い依頼あったらいいなぁ」
「最初だから、簡単な依頼が良イ」
「そうだね」
施設の中に入る。
昨日と変わらず、冒険者たちが既にいた。
鎧を着た冒険者が動き、ガチャガチャと音が聞こえる。
ボク達は、昨日説明を受けた掲示板へ向かう。
掲示板には、ランクごとに挑戦できる依頼が貼り出されていた。
「Fはどこかな」
「右のかナ」
「これか! 結構ある」
ボク達は一番下のランクのため、端の掲示板を確認する。
10枚程度、依頼の紙が貼られていた。
採取系の依頼や弱い魔物の討伐依頼が並んでいる。
ボクからすれば取るに足らない魔物ダ。
張り合いもない雑魚ばかリ。
骨のある魔物は、上の方にしかなイ。
……まだ目立つ訳には行かなイ。ちょうどいいカ。
下手に強い魔物を倒せば目立つのは、避けられない。
目立ってしまえば、魔王軍に目を付けられる。
ボクの計画がバレては困るから、我慢の時間。
「どれがいいかな……?」
「この辺の魔物の強さは変わらなイ。ただ群れない魔物がオススメ」
群れないタイプの魔物が書かれた依頼の紙を、何個か指す。
戦闘において、数の不利はリスクが高イ。
ボクなら問題はないが、この勇者が大丈夫とは限らなイ。
「なるほど、物知り」
「魔物の知識は覚えた方がいイ」
「確かに、覚えないといけないよね。よし、ならこのスライム行く! 近いし」
アズサが指をさした依頼の紙を見る。
レーア平原に生息するスライム3体の討伐という内容だった。
スライムは、魔物の中でも特に弱く、群れていないことも多い。
初心者が狩るのにちょうどいい。
……報酬は微々たるモノ、仕方ないとはいエ……
「同じ平原に湧くレーアウルフ2体の依頼も受けとク。こっちはボク1人でもやれるようニ」
「早くEランクに上がれるようにってこと?」
「そウ、ボクは魔物経験はそこそこあるかラ、あと報酬少ないシ」
報酬が少ないのは、死活問題ダ。
金はいくらか持ってきているとはいえ、使えば減っていク。
魔王軍からの支給もなイ。
生活ができる程度の報酬が得られる依頼を、受けられるランクまで上げておきたイ。
……見た限りD程度でギリギリ、ひとまずDを目指ス。
アズサとともにDランクを目指して、ひとまず長期間の生活に耐えられる地盤を作る。
「確かにこのお金だと生活難しそう。リアさんは宿暮らし?」
「そウ、大通りの宿に泊まってル。金に余裕はあるけど集められるようにしたイ」
「なら頑張ってランク上げよう!」
依頼の紙を持って受付に行き、依頼を受けた。
ギルド施設を出て、大通りを通って平原へ向かう。




