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4話 パーティ結成

「うん? どうかした?」


 ボクの漏らした声に気づいた勇者が、こちらを見る。

 しかし、視線が合った瞬間、勇者はすぐに顔を逸らした。


 ……怪しまれたカ? それとも見られたカ?


「あぁいヤ、前にレンガの落下に巻き込まれてたの見たから無事だったんだねト」


 咄嗟に言い訳を考えて言う。

 だいぶ、無理やりな言い訳。

 レンガの落下に巻き込まれたことと、今ここにいることは関係もない。


 ……動揺カ、不味いカ?


 ここで勇者に会うなんて想定していなかっタ。

 冒険者になった後に、こちらから接触を想定したから油断しタ。

 動揺が声に出ていないのがまだ救イ。


「あぁ、見られてたんだ。うん、偶然当たらなかったみたいでさ」

「それは良かったヨ」


 何とか今の言い訳で、切り抜けられた。


「お知り合いだったんですね」

「いや、知り合いではなくて」

「一方的に街で見かけたことがあっただケ、それよりも説明をお願いしたいナ」


 ボロを出さないように、すぐに話をそらす。

 特に広がる話でもなく、時間の無駄。


「わかりました、では説明をします」


 勇者と2人で冒険者カードの説明を受ける。

 色んな人向けの長い説明だった。

 簡潔に、身分証として使えること、無くしたら身分証ができなくなる、再発行には金と時間がかかる。


 カードの説明のついでに、パーティの説明もされた。

 最低、2人いればパーティが組めると。


 ……ならパーティを組む提案をすれバ……


 偶然の出会いから、パーティを組むというのは不自然ではなイ。

 むしろ、ちょうどいい理由付けになル。

 なぜ、勇者が冒険者になろうとしているかは分からないが、パーティを組まずにいるとは考えづらイ。

 見た限り、他に仲間がいるようにも見えなイ。

 絶好のチャンス。


「説明は以上です」

「ありがとうございました」

「ありがとネ」


 説明が終わり、席を立つ。

 どう話を切り出すかと考えていると、横から声がする。


「リアさん、パーティ組まない?」


 勇者にパーティ勧誘を受けタ。


 ……エ?


 今度は声に出さずに済んだ。

 振り返ると、勇者がこちらを見ていた。

 リアという名前は先程説明を受けていた際に、女性が言ったから知っていて不思議ではない。

 まさか、勇者側から勧誘を受けるとは思っていなかった。


 いや、知り合いがいなければ、偶然会った者と組むのは不自然ではなイ。

 先程の出来事に比べれば想定可能、有り得ル。

 むしろ、都合がいイ。


「いいのかイ? キミは人気者だろウ?」

「あぁ……知ってるんだ」


 勇者は少し目をそらす。

 先程とは違う逸らし方。


 ……今の質問は失敗カ。


 反応的に聞くべきではなかったかもしれなイ。

 これからパーティを組むつもりなのに、ここで印象悪くすると不味イ。


「あまり知られたくないことだったカ。無遠慮で済まなイ」

「いや、そうじゃなくて……あの空気がちょっと苦手でね」


 勇者は、苦笑いをする。

 異世界人という話から、こちらの世界に馴染めていないようだ。

 あるいは、人間種の持ち上げる扱いに慣れていないか。


「分かるヨ。慣れてないときついよネ」

「そうなんだよね。まだ時間かかりそう」

「ならそういう扱いはしないヨ。パーティを組もウ」

「良いのか?」


 勇者の顔がパッと明るくなる。

 断られなかったことが、嬉しいと表情からわかる。

 そこまで嬉しい理由は分からないが。


 表情の変化がわかり易すぎル。

 ちょろいナ、この勇者。


「ボクも組む相手、いないかラ」

「良かったぁ。1人で依頼受けるの怖くてさぁ」

「魔物討伐経験ハ? もしかしてなイ?」


 念の為に聞く。

 勇者なら魔王討伐のために、訓練を積んでいるはず。

 すでに召喚されてから1ヶ月近く経っていて、経験がないとは思えない。


「弱い魔物なら何体か……強いのはまだ」

「安心しナ。このランク帯なら依頼は弱い魔物だヨ」

「それは良かった。あぁ、俺の名前は獅子神(ししがみ)梓沙(あずさ)


 そう言って勇者は手を差し出す。

 握手だ。


 ……不味イ。

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