表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

3話 ギルド

 朝に宿を出て、ギルドに向かう。

 人混みに紛れて、普通に歩く。

 下手に隠れようとするより、自然体で歩く方が自然に見える。


「その串1本欲しイ」

「はいよ、ほら」


 出店で売られていた串焼きを購入する。

 焼かれた肉と野菜の匂いが鼻腔(びこう)をくすぐる。

 食べながら、ギルドへ向かう。


 冒険者の巣窟であるギルドに行くのは、リスクが高いが、そのリスクを踏むメリットもある。

 1日前にとある情報を手に入れた。

 それは、勇者が冒険者になったという情報。


 ……信ぴょう性は低イ。だけど、パーティに入り込めれば計画が進みやすイ。


 情報が確かか、これから確認するところ。


 半月の調査の結果、アルルスはボクを始末しようとしていると見えタ。

 露骨に、国を相手取るように促ス。

 失敗した場合、どうなるかをほのめかス。

 途中から援軍や支援に関しては、聞く耳すら持たなくなっタ。

 清々しいくらい、怪しさしかなイ。


「勇者を味方にすル」


 串焼きの串を噛み砕いて飲み込む。

 この国には勇者を殺す目的で来ていたが、その逆を行う。

 つまり、勇者の仲間となること。

 それ即ち、魔王軍への反逆行為。


 ボクは魔王軍に所属しているが、元々忠誠心は高くない。

 魔物や魔族というのは、基本的に野良で暮らすか魔王の配下になるかの二択。

 まれに例外がいる程度。

 だから、ボクにとって魔王軍は、都合が良かっただけ。

 故に命の危機を感じた今、魔王軍に居座る方がリスクになル。


「平常心、擬態は出来てル」


 扉を開きギルドの中に入った。

 ギルド内部では、冒険者達の様々な声が聞こえる。

 聞き取れる限りでも、色んな話をしていて統一性はない。

 中央付近に冒険者ではない人がいれば、目立ってしまうから端に移動する。

 だから、端に移動してから周りを見渡す。

 目的は勇者のみ、勇者の姿は既に確認済みだから見つけるだけ。


 ……居なイ。


 この場にいる全員の姿を見たが、今この場に勇者の姿はない。

 服装は当てにならないから、体格、髪型、髪色、顔の形を正確に見た。

 いないとなると接近ができない。


 ……ここにあまり滞在したくはなイ。


 何もせずに長く滞在していると、冒険者タチに怪しまれてしまウ。

 それはリスク、勘のいい奴に気づかれル。

 何日も通うのも危険ダ。

 何度も視界に入れば、歪みに気づかれかねなイ。


 適当に近くにあった椅子に座る。

 長く思考するのに座っていると楽。

 どうするべきかと思案する。

 何かリスクを回避できるものが必要


「冒険者になるべきカ?」


 冒険者になれば、ギルドに通っていても不自然ではない。

 多少、身元が怪しくても冒険者には成れるという話も聞いたことがある。

 その上、冒険者の肩書きがある方が怪しまれづらい。


 ……一度試すカ。この手の施設の場合、あそこに行けばいイ。


 カウンターが置いてある受付に向かう。


「どうしましたか?」

「冒険者になりたくテ、どうしたら良いかを教えて欲しいんス」


 顔を上げて、相手の目をしっかりと見ル。

 表情を笑顔に変えて、声の声量と抑揚を増やス。

 口調もゆっくり落ち着いた感じではなく、少し早くして人に近づける。


 視線を合わせると、受付の女性の顔がなぜか赤くなっタ。

 人間種特有の何かだろうカ。

 怪しまれたでなければ良いガ。


「冒険者登録でしたら、こちらの書類を書いてもらうことになっています」

「なるほどねェ、ここの理由ってなんでもいいノ?」

「はい、なりたい理由ですので、有名になりたいでも、金が欲しいからでも」

「それなラ」


 紙には名前や出身地、冒険者になりたい理由、役割希望などと並んでいた。


 ……名前はリアにするカ。出身地はソルキ、なりたい理由は金稼ギ、役割希望は前衛攻撃職。


 魔族や魔族に詳しい者に気づかれないように、名前を変えル。

 出身地は、聞いたことのある国の名前を選ブ。

 なりたい理由は適当。

 役割はボクのスタイルに合っている前衛。


「はい、確認します。出身地はソルキ王国ですね。はい、大丈夫です」

「他に書類ハ?」

「ありません。冒険者カードの説明だけです。あっ、ちょうどいいのでもう1人の冒険者希望の方と一緒に説明したいんですが大丈夫ですか?」

「もう1人? 問題ないヨ。2人同時の方が楽だもんネ」

「ご協力感謝します」


 ……冒険者希望なら気づかれなイ。


 受付の女性が呼んでくるというので、カウンターの椅子に座って待つ。

 数分後、受付の女性に連れられて、冒険者が来るがやってくる。


「遅れてすみません」

「いえいえ、忙しいでしょうし……隣失礼するね」

「どうゾ……エ」


 その姿をはっきりと見た瞬間、声が漏れた。


 隣の椅子に座った人物に、見覚えがあル。

 黒髪のこの世界の人間種とは、わずかに違う顔立ちをした青年。

 その姿、体格、顔の形は間違いなく勇者だっタ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ