第11話 不穏な流れ
ギルドで、依頼の達成を報告した。
「依頼規定数達成おめでとうございます。昇格試験を受けますか?」
「受けル」
「受けます!」
「では、Eランク難易度の依頼を1つ受けてもらいます」
受付の女性が1枚の依頼の紙を取り出し、机に置く。
Eランクとデカデカ書いてあった。
ボクとアズサは、覗き込むように依頼の紙を見る。
「これが依頼、5体討伐!」
「レーアコボルド5体の討伐カ」
コボルド、狼が二足歩行になったような姿をした魔物。
賢くはないが、剣や短剣などといった武器を持っている。
戦闘能力は、スライムやレーアウルフよりも強いが、魔物の中では弱い部類。
Eランクにふさわしい魔物と言える。
……単純に武器を持つ魔物、危険性は増ス。
さらにコボルドは、群れを成す。
5体は、平均的な一つの群れの数。
ほぼ初心者が1人で戦うには難しい内容で、Eランクの昇格試験として見ると難易度が高い気もする。
今のアズサでは、おそらく勝てない。
……パーティだから群れの魔物になったのカ。まぁさっさと片付けてしまえば良いカ。
ボクなら余裕で片付けられル。
さっさと終わらせてランクを上げル。
「期間は今日から2週間です。依頼の中止はいつでも可能で、中止したとしてもデメリットはありません」
「分かっタ」
「5体……頑張る」
依頼を受けて、ギルドを出た。
アズサを見るとやる気に満ち溢れている。
これなら、今日中に依頼を達成させても問題はなさそう。
「レーアコボルドは、どこに出るんだっけ? 平原じゃないよね」
「生息地はレーア森林、東の大通りを抜けた先にある森」
「も、森かぁ。草むらからバッと出てきたり?」
「奇襲カ、有り得ル」
森に生息する賢い魔物だと、たまにやっている奴がいる。
巧妙に隠れて襲いかかり敵を倒す。
奇襲は良い、一撃を当てられれば有利が取れる。
「怖っ」
「あの森の魔物に、そこまで賢い魔物はいないから気にしなくて良イ」
「いない? コボルドは武器を使うのに?」
「振り回すイメージの魔物だナ。人のように自在に扱うわけじゃなイ」
「なるほど、なら気をつければ対応できそう」
コボルドについての会話をしながら、城門を抜ける。
城門を出てから、森の入口には数分で着いた。
ボクは足を止めずに、そのまま森へ入ろうとする。
しかし、森に入る直前、アズサが足を止めた。
何かあったのかと振り返ると、足が震えている。
……先程まではなかった症状。緊張とは違ウ。
表情を見た限り、緊張ではなく別の感情由来の物に見えル。
恐怖に近い何カ。
「緊張……ではないカ」
「う、うん、なんか嫌な気配がする」
「気配?」
「森の奥から……結構距離はある」
……そんな気配ハ……
ボクはそんなもの感じなかったが、注意深く観察をしてみる。
すると、森の奥で妙な魔力が感じ取れた。
……魔族の魔力カ。下位の魔族のようだガ。
魔族特有の魔力を感じる。
アルルス曰く、援軍が用意できない程度には前線の戦況は良くないと聞いていたから、ここにいるのは不自然。
そして、このタイミングで魔族と会うのはまずい。
ボクは仮にも軍団長、魔族には名や顔を知られている可能性が高い。
もし接敵してボクが下手に倒してしまったらアズサに怪しまれる。
かと言って、アズサが戦ったとしても今の状態では天地がひっくり返っても勝てない。
……引くべきカ。
ランクを上げておきたかったが、魔族との接敵のリスクが高すぎる。
そもそも倒してしまった場合、どう報告するべきか。
「わからないけど、今日はやめておこウ。依頼の期間は2週間あル」
「そ、そうだね」
アズサはホッと安堵をして早歩きで城門へ向かう。
森を一瞥したあと、アズサの後ろを着いていく。




