第10話 計画
「最低限、下位の魔族と戦えないと話にならなイ」
魔族の中でも魔力総量が少ない、あるいは魔法が弱い魔族はまとめて下位の魔族と呼ばれル。
魔族の中で一番数が多く、戦線に立ちやすイ。
下位の魔族と渡り合えなければ、魔王どころか中位、上位魔族には勝てない。
……加護の障壁強度によるガ、魔族の猛攻に耐えられるほどカ。
熱は近距離でないと、効果を発揮しない。
障壁は攻撃されれば自動的に発動する。
けれど、壊されないとは限らない。
下位の魔族は他の魔族に比べると弱いが、そこらの魔物とは比べ物にはならないほどの強さを持つ。
ひとまず、聖剣の力は使用不可と考えル。
今使えないものは、計算には含まなイ。
素の戦闘能力で下位の魔族と渡り合えるまで実力を引き上げる。
そのために必要なもの、それは身体能力と魔法。
「魔法のセンスは調べないと分からなイ。身体能力は並程度、戦闘センスは高イ。少し強い魔物と戦わせるのもありカ」
魔物との戦闘が手っ取り早い。
訓練も大事、しかし実戦に勝る訓練はない。
パーティメンバーを集めるのも手だが、連携が取れなければ烏合の衆。
取るに足らない存在にしかならない。
……バレるリスクもあル。
勘のいい冒険者だと、ボクが魔族だとバレる可能性があル。
勇者の考え方次第になるガ、こちらからはパーティメンバーを増やすことは勧めなイ。
「ひとまず、冒険者ランクを上げル」
Eランクへの昇格条件は、Fランク依頼6回の連続達成した後、昇格試験でギルドが出す依頼の達成。
今日の時点で依頼を4回達成来ているから、明日2回クリアした後、昇格試験を受けて合格すれば上がれる。
通信石を使い、アルルスに定期報告を済ませる。
定期報告を怠れば、怪しまれてしまう。
報告だけで通信を終えて、寝る支度を済ませベッドに入る。
平時に睡眠を削るわけには行かない。
明日に備えて眠りにつく。
翌朝
目を覚まし服を着替える。
そして、鏡の前で表情を確認して外に出る。
時間に余裕を持って、ギルド前に着く。
……早イ。時間は間違えてないはズ。
集合場所にはアズサの姿があった。
今日、ボクは昨日より少し早めの15分前に来ている。
「今日、少し早く来たつもりだったけド、早いネ」
「俺は早寝早起きがモットーだから! リアさんは集合時間に来てくれればいいよ」
「ボクももう少し早くても大丈夫だけド」
今の集合時間の時点で早い時刻だけど、もっと早くても問題はない。
朝早いどころか眠れないくらい魔王軍ではよくあった。
「このくらいの時間がちょうどいい。少し寝坊しても問題ないし」
「確かニ」
ギルドの中に入り依頼を確認して、楽な依頼を選び討伐対象の居る場所へ向かう。
今回はレーアウルフ2体討伐×2。
昨日はボクがレーアウルフを仕留めていたから、アズサは戦闘経験がない。
「スライムより強いよね?」
依頼の紙を見て、アズサが聞いてくる。
レーアウルフは、スライムより強い。
「強イ。とは言っても誤差だかラ」
「それならいいけど」
「むしろ、瞬間的な速度は薄青スライムの方が高イ」
「そうなんだ」
「大振りにならないように気をつければ勝てル」
「大振りにならないように……気をつける」
平原に着いて、探索していると3体組のレーアウルフを見つけた。
レーアウルフに、気づかれない距離で会話をする。
「ボクが2体やるから1体ヲ」
「分かった」
地を蹴りボクが先に突っ込む。
ナイフを取り出して、素早く接近。
途切れず流れるような攻撃で、2体の胴体を真っ二つに切り裂く。
1体のレーアウルフは、ボクに気づき唸り声を上げて視線を向けた。
ボクはナイフを構えるだけ、構えて動かない。
……経験にはならないけど、良いカ。
今、レーアウルフにはボクしか見えていない。
そして、アズサがレーアウルフの視界に入らない位置。
背後から接近したアズサが、聖剣を軽く振るい首をかっ切る。
倒したレーアウルフの牙を回収する。
「1対1をやりたい」
「残り1体だから、ちょうどいいのを探そう」
少し探索した後、ちょうど1体のレーアウルフを見つけてアズサが単独で挑んだ。
先にレーアウルフが動いたが、アズサは聖剣で噛みつきを防いだ。
「ぐぅ……せぃ!」
足で腹を蹴り上げる。
レーアウルフが怯んだところに、一撃を叩き込み倒した。
「よし、倒せた!」
「1対1なら余裕っぽいネ。次は昇格試験ダ」
「昇格試験、頑張る」
牙を回収して、依頼の達成をギルドに報告するため、戻る。




