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ストリートピアノ   作者: 村松希美


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7 天国と地獄





 小学6年生の諒太りょうたがショッピングモールの激安スーパーで、3日後のバス遠足のおやつを買っていたら、偶然、クラスメイトの茜あかねと遭遇した。茜あかねは気軽に諒太りょうたに声をかける。






「諒太も今、おやつ買ってるんだ。私も。塾があったから、美沙ちゃんたちと買いに行きそびれちゃった」






「へえ、そうなんだ」


 諒太は、茜ともっと喋しゃべりたかった


が、上手く言葉が出てこない。






 どうしてかというとそれは、諒太にとって、ある重大なことが、諒太の心を占めていたからだ。






 茜の話に出てきた美沙が、バスの中で、諒太の隣に座る健二の隣に座りたいから、席を替わってというものだった。美沙がそう諒太に頼みにきた。






 美沙の隣は茜が座ることになっている。諒太は美沙の申し出に、心の中でスキップして喜んだが、後から考えると、とても不安なことが頭をよぎった。






 断られたらどうしよう?






「諒太、何突っ立ってるの? 私たち、レジを済ませたんだから、途中まで一緒に帰ろう!」






 茜の突然の申し出に、諒太はまたもや面食らったが、これは、チャンスだと思った。








 帰り道、諒太と茜は無言でショッピングモール内をとぼとぼ歩く。






 諒太は中々言い出せなかったが、美沙に言われたことをおもいきって茜に切り出した。






「茜、今度のバス遠足で、美沙が、僕と席を替わって欲しいって言ってるんだけど、良いかな?」








 2人はストリートピアノの前まで来ていた。ストリートピアノからは、






 タタタタタタタタタタタタ~




 タタタタタタタタ、タタタタ




 …………………………………………………♪






 と、中学生くらいの男の子がメロディを奏でていた。






 これは、運動会でよく流れている曲だと、諒太は思った。






 諒太の近くで、母親らしき若い女性が幼い男の子に、






「この曲は、天国と地獄っていうのよ。でも、ミツルはまだ覚えなくてもいいわ」






 と、話している声が聞こえてきた。






 天国と地獄か……






 諒太はそういう曲名だったんだと思ったが、






 それって、今の僕じゃん。






 と思い直した。






 茜は黙って、天国と地獄のピアノを聴いている。






 茜は何て言うかな?




 ああ、ドキドキする~






 諒太は足が速かったので、運動会で、この天国と地獄を聴いた時は爽快感があったが、今は何てハラハラする曲なんだだろうと、内心ドキドキした。








 天国と地獄を中学生の男の子が弾き終えた。周囲は拍手喝采はくしゅかっさいだ。






 茜は、諒太に振り向いて返事をした。






「バスの席、替わってもいいよ。諒太の隣だね」






 茜のまぶしい笑顔が諒太を包む。






 諒太は、たかが、遠足のバスの席のことなのに、どうして、自分はこんなにも、ハラハラドキドキしたんだろう?と、内心戸惑っていた。






 自分の気持ちがよく分かっていない、小学生男子のとある一日。






 

再掲載です。


AIは使っていないです。

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