表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

4 ロミオの青い空 空へ






(とも)、お母さん、そこのスーパーで夕飯の買い物してくるから、(かえで)とここで待っているのよ」


 智のお母さんが、ストリートピアノの前で2人を残すと、激安スーパー目指して歩いて行った。




 智は小学生5年生のお兄ちゃん。妹の楓は5歳で保育園に通っている。




 ストリートピアノには先客がいた。楓と同い年くらいの男の子がピアノの前に座って片手で何やら弾いている。




「あっ、ロミオ!」


 楓が知っている曲らしく、その男の子に近づいて行った。




 智はそういえば、お母さんと楓が家のピアノで弾いていたなあと思い出した。勿論、楓はお母さんの膝にのせてもらって少し鳴らすだけだ。




「かえでもひきたい!」


 楓はその男の子に向かって言った。男の子は、


「いいよ。ここにすわって」


 と、楓に笑顔を向けた。




 智は、


「ごめん。妹がわがまま言って」


 と、男の子に言いながら、楓を男の子のとなりに座らせた。




 男の子は、さっきと変わらず片手だけで、ロミオの青い空の空へのメロディーを弾いている。




 楓はキョトンとして、


「ロミオ、うまいね」


 と、男の子に話しかけた。男の子は楓にほめられて気分が良くなったのか、


「なまえは?」


 と訊いた。楓が答える。




「あきやま かえで」


「かえでちゃんていうのか。ぼくは、えのもと ひろき」




「ひろきくん!」


 楓は、広樹の名前を繰り返した。




「かえで、ロミオ、すこしだけひける」


 楓は、少し鍵盤をたたいた。






 レラ、レソ、レミーファミレド♪






「へえ」


 と、広樹は言いながら、今度は両手で、ロミオの青い空の空へを弾き始めた。






 たたたたた、たたたたー♪


 …………………………………………♪


 …………………………………………♪






 広樹が両手で最後まで弾くと、




「ひろきくん、すごい!」


 と、かえでがもみじのような手で拍手した。




「りょうて、しゅごいね」


 楓は感心して言う。広樹は少し赤くなって、




「さっきのかたては、ゆびのれんしゅう」


 と、頭をかいて言った。






 楓は、後ろで待っていたお兄ちゃんのことは忘れて、広樹と楽しくストリートピアノを弾いた。






ー☆ー






 7年後、楓と広樹は、同じ中学校の音楽室で再会することになる。





再掲載です。


AIなしで書きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ