間章――少女は言った
「分かって……たまるかっ!」
ぐっ、と恭司を見据え、恭介が吼えた。
「最善!? 最善って何ですか、女の子に全部押し付けて、自分の無能をひたかくしにしてっ!
そんなものが最善の訳がない!
ああ、分かってます――これが子供の言い分だってことは分かってます!
それでも、それでも、だ!
そんな大人の都合のために、大切な友達を差し出すなんてことは出来ない!」
吼える、吼える、ただ吼える。
蛮行なのは百も承知、無謀なのも百も承知。
恭介はただ一つ心に決めた。
彼女を救う、と。
「…………そうか、分かりたくないか。
それで、どうする恭介?――のた打ち回るのは簡単だが、現実は変わらない。
現実を変えるためにどうする?
もし戦況を変えうるだけのアイディアがあるのならば、私は地に頭をつけてお前に請い、彼女を解放しよう」
そういった父親に対して息子は答える。
「――決まっています、ああ、決まっている!
知った事か!
私に、いや、俺にとって大切なことは彼女だけだ。
だから、決まっている。
アンタを倒して彼女を連れだす」
それは初めての反抗だった。
否、反抗という言葉は生ぬるい、それは敵対だった。
拳を構え、半身になり、恭介は左足を半歩踏み出した。
「お前が、俺を……か?」
「俺が貴方を……だ」
対する恭司は拳を構えることさえしない。
なによりする必要さえもない。
何故ならばそれほどまでに恭介と恭司には差があるからだ。
中将たる恭司は、人脈や策略なども用いてそこまで上り詰めた。
だが恭司が中将たる由縁は何よりもその実力だ。
対する恭介は子供だ。
才能はあるだろう。
努力もしているだろう。
師にも恵まれているだろう。
だがそれでも、実力も経験も何もかもが恭司に劣っている。
桁が違うのではない、位が違う。
「無理だ」
恭司が断言する。
「それでもだ」
恭介もそれは理解している、だが、それでも、だ。
不屈、不退――絶対に認められるものか、と。
そんなことは絶対に認められない。
「……そうか」
構える必要はない――しかし恭司は拳を構えた。
半身になり、右足を半歩踏み出し――それはまるで恭介の鏡のようで。
だがだからこそ、とそこにいた兵士は思った。
経験、実力――そのどちらも劣っている恭介に勝機はない。
「――ありがとう、恭介君」
張り詰めた空気、少女がそういった。
呼ばれた恭介は、しかし、泣きそうな顔をした。
……おわりませんでした(土下座
いろいろとすることができちゃいましてorz
ものすごく短いですが今回はこれで。
次回は簡潔する……はず