表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/50

苦笑する斉藤先輩

―――――――――――――


「とは言っても俺自身、友達というのがいなかったのでな。

 何をすればいいのか、いや、何をしていいのさえ分からなかった。

 それは彼女も同じようで、だから、その、なんだ?

 お見合いのように見詰め合って、暫くして殿下に爆笑された。

 暫く笑いこけた後に、殿下が意見を言ってくれた。

 一晩考えたらどうだ?と。

 それに従い、では明日と言って俺は部屋を退室した。

 ……さてこれで彼女との出会いは終わりだ」


 斉藤先輩の父親のことや現在の斉藤先輩のこと、気になることはいくらでもあるが、今はすべて捨て置く。

 そして話しを聞くうち、一つだけ分かったことがある。

 結末、だ。

 俺はその物語の結末を知っている。

 それに斉藤先輩が関わっていたかは知らなかったが、その少女の結末は知っている。




 死んだ、殺された、生贄になった――その全てが答えだ。



「今でもはっきり覚えている。

 ああ、そうだ。

 ワクワクしながら家へと戻り、使用人に遊びを聞きまわった。

 あまつさえあの父親にさえ訊ねたな。

 もっとも仏頂面で私に聞くより使用人に聞いたほうがいい、などと言われたがね」


 そう苦笑しつつ言う斉藤先輩。



――だが、少女は死んだ。

 それだけは変わらない。

 死んだのだ、名前さえ残っていない魔法使いは。

 故にここにあるのは悲劇だ。


「…………」


 沈黙、言葉はない。


「……終わり、すか?」


 修介の言葉に斉藤先輩は首を横に振り、いや、と言った。


「どう話したものかと思ってね。

……そうだな、端的に言って――初めからこけたというべきかな?

 ふふっ、いやなに、今話した通り――何せ待ち合わせ場所を決めてなかったのでな。

 一日かけて城を探し回ったさ。

 お昼前から探しまわったというのに、見つかったころには日が落ちていたよ。

 それが傑作でね、彼女の話を聞くにお互い入れ違いに探し回っていたようでな。

 ああ、そこ回ったんですよー!と言った感じで悔しがる彼女の姿がとても魅力的だった。

 あーだこーだと探した場所と時間を言い合っているうちに、ふと彼女が笑って言った。

 これってかくれんぼみたいですね?と。

 俺は闇に染まりきった空を、城の中庭から見上げながら違いないと笑った。

 お互いにひとしきり笑ったあと、ふと気づいた。

 百合というのは花で、その花言葉を知らないということに。

 だから俺は彼女に訪ねた、貴方の名前の意味はなんですか?と。

 そう訊ねると彼女は苦笑して、しかしその苦笑も一瞬後には消えて――また先ほどまでの笑顔に戻ると、秘密です、とそう答えた。

 そういわれると余計に気になるもので、しつこいくらいに訊ねたのだが、それでも答えてくれなくてな。

 その……それで俺はふてくされてしまってな。

 そんな俺に対して泣きそうな顔でごめんなさい、と言った彼女にあわてていやいやぜんぜん気にしてませんからなどと言ったあたり、単純だったのだろうなあ……

 その、話しがずれたな――話しを戻そう。

 その日は解散、明日こそちゃんと遊ぼうと誓った。

 今度は集合場所と時間を決めて、な。

 ああ、これから四日間は何もない。

 彼女とただ遊んだだけだ。

 鬼ごっこ。

 かくれんぼ。

 かけっこ。

 オセロ。

 大富豪。

 レパートリーとしてはこれだけだったがね。

 ああ、それでも本当に楽しかった。

 初めての友達、初めての遊び。

 朝から夜までずっと二人で遊んで――とても、たのし、かった」


「……、その、あとは」


 言葉に詰まった斉藤先輩にそういってしまったあと、言うべきではなかったと後悔した。

 俺は、答えをしっているじゃないかっ――!


「いや、すまない――これで初日を含めて六日間がすぎた約束の一週間まであと一日。

 この日をやり直せたらと何度も、思う」

予約掲載していた文がのっていなかったということに驚いておりますorz

タイムアウトしてたのに気づかなかったんですかねorz

こういううっかりはへらしたいです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ