HR 授業
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いつも通り廊下から手前側の最前列に座り、岬達と話していると信一先生が教室に入ってきた。
俺たちのときとは違った意味でシンと静まる教室。
「おはよう、出席の確認を取るぞ」
教壇の前にたち、そうつげるなり点呼を始める。
自分の番になりはいっ、と答え手を上げる。
やがて信一先生は生徒全員の点呼を終え。
「連絡事項だが……今日のところは特にない――が、今日は模擬戦もあるので気を引き締めておくように」
いやー、意外に先生らしいよなと最近は思い直した。
初見の印象だと、怖い人っていうか厳しい人というかそんなイメージしかなかった。
第一印象っていうのはあてにならないもんだなあ……いや、怖いとか厳しいとかはあながち間違ってなさそうだし、それも何か違うか。
……ふむ。 怖かったり厳しかったりするだけじゃないってことかな。
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3時限目、教壇に立っているのは基礎魔術の先生である。
顎にひげを蓄え髪をオールバックにした30台半ばの竹中先生は、その眼鏡をかけた顔がダンディーだと一部の女生徒から人気……らしい。
個人的には先生のほうが男らしいとおもうのだけれど、いやまあ……あの人は獣的な感じがするけども。
「さて、基本的なことを確認しよう。
今回は君達がもっとも用いている固定魔術の魔術障壁だ」
固定魔術とは詠唱無しで発動できるものであり、その最たる代表が魔術障壁である。
というよりもこれ以外はほとんどがオリジナルの固定魔術なのだ。
けれど、俺はこれを発動することが出来ない――といよりも発動してはいけない、魔力の無駄使いになってしまう。
「皆も知っていると思うけど、魔術障壁とは魔術の効力を己が体内魔力によって減衰するものであり、これによって僕達魔術師は一度の攻防のミスによって死ぬような確立をグンと減らしているね?
だけどこれって実は結構なデメリットがあるんだ。
もっとも今ではそのデメリットが当たり前といった感じで、そもそもにしてデメリットとして扱わないようになってきているけれど、ね?
さて皆に質問だ、何がデメリットなのか分かるかい?」
尋ねる竹中先生、隣を見れば修介が俺を顎で指していた。
なるほど、これは俺が答えるのが適任だろう。
右手を挙げて竹中先生の顔を見据える。
どうやら他に手を挙げた生徒はいなかったらしく、俺に視線が集中する。
「なるほど……そういえば神野君、君はある意味そのことを僕より知っているね。
では神野君、よろしくたのむよ」
言葉に、はいと答えて続ける。
「その効果が魔術に対して無差別なことです。
医療魔術を受けたければ魔術障壁が発動しないようにしなければなりませんし、俺のように肉体を強化して戦うのであれば魔術障壁自体を諦めなければなりません。
何故ならば肉体強化とは自らの肉体を強化するのであって、当然のように魔術障壁の範囲と重なってしまいますからね」
その答えに竹中先生はその通りだといって微笑んだ。
「このようにデメリットはある。
だけどまあ命に代えられるものはないからね、魔術障壁を使うのは当たり前で、それに伴う弊害も当然のことと受け止められているのが現在の常識だね。
ところで神野君、あくまでこれは興味本位なのだが――固定魔術は固定魔術であるが故に一つしか使えないのだけれども、君は魔術障壁を使わない代わりに何をつかっているんだい?」
問われ、苦笑した。
ある人はこういった。無詠唱とは詠唱をしないという詠唱をしているのだと。
炎という言葉が一つなら、何も言わないというのまた一つなのだ、と。
さてはて、ではそれを魔術障壁につかっていない俺は何をつかっているのかというと……
別段隠し事をするほどのことでもないのだけれど、どうにも恥ずかしい。
「……いや、実は固定魔術をつかってないんですよ。
魔術障壁は使いたくても使えないし、かといってオリジナルをつくるような技量もありませんし」
「ほう、いやそれはすまなかった。
しかし神野君、確かに固定魔術を作るのは技量を要求されるがね、それはあくまで魔術障壁と同レベルのものをつくろうとした場合に限るよ。
効力の小さなものであればさしたる技量がなくとも作ることが出来る……もちろん効力は低いものだから、使い方は限られるのだけれどもね」
「……なるほど、どうもありがとうございました」
本当に参考になった。
簡単なものでもいいのか、要は自分にあうかどうかで……
けれど、まあ……簡単といっても一朝一夕でできるものではなし、ゆっくりと考えていく事にしよう。
まだ短い感じですし、どうしたもんでしょうかね……
ある程度区切りのあるところでおわらせたいですしどうしたものか。




