級友――クラスメイト
――1年1組そこが俺たち(崎も同じクラスである)の教室だ。
北西棟の北校舎、その一階入り口から見て左手最奥に教室はあった。
「お好きなところにお座りくださいってことかな?」
「そうなんじゃないかしら?」
白い机――ただし一人で座るようなものではないらしく、四人分の長さが続いている。
またイスは映画館のように引きおろして座るもののようで、上に上がった状態がデフォルトらしい。
とはいえ、白に塗装された木製のイスである時点で座り心地は映画館とはくらべものにならないだろうけども。
「四席全部開いているところはないみたいね」
縦4列、横3列――40人のクラスメイトを収容するには十二分な席数だけれど、なるほど見渡してみても完全な空席はないようだ。
席は半分ほどしかうまってないけれども――好き好んで知らない人の隣に座りたいような人ばかりじゃないってことか。
と、入り口側最前列の席から活発な声が聞こえた。
「――ってさっきからちゃんと聞いてんの?」
問うは赤髪ツインテール――赤の瞳がやや釣り目で、その、なんだ、座っているのにも関わらず、身長が低いということが分かる。
たっても150ないんじゃないか、あれは。
問われた茶髪のショートの男が、その女の子の方を向きもしないで頬杖をつきつつけだるげに答える。
もっとも、気だるげな表情だというのに猛禽をイメージさせるような雰囲気なのだけれども。
「あァ?ったく、ちゃんと聞いてるっての。
べつに顔みながらしゃべんなきゃいけねえっつールールはねえんだし、別にいいだろ?」
声色がなんだか特徴的だなー、語尾が高いというかなんというか――などと思いつつ同時にこの二人に対して好印象を持った。
自然体、こうであるのが当たり前なのだといった雰囲気だ。
「ルールっていうより最低限のマナーで――?」
「……あァ?」
こちらに気づかれた、いやまあ入り口前からずっと見てればそりゃ気づかれるか。
ああいや、といいつつ崎と一緒に正面まで歩く。
「隣、いいか?」
「――っハ、好きにすりゃあいいだろ?」
右隣の女の子の顔をうかがった後に茶髪の男が口の端をニィと吊り上げてそういった。
挑発的な口調ではあるもののそのつりあがった唇がおもしれえといっているように感じられる。
「それじゃ、お言葉に甘えて」
「失礼するわ」
男の左隣に俺が座り、さらにその隣に崎が座った。
左から順に、岬、俺、男、女の子。
頬杖をつきながらこちらを見、男が名乗った。
「御堂 修介だ。
んでこっちのちっこいのが上野 由井」
ちっこいと修介が指差したと同時、ボディブローが由井から放たれた。
それを無視しつつ、修介が訪ねてくる。
「――ンデ?そちらさんはなんていうんだ?」
「ああ、俺は神野 森人――それでこっちが、」
「霧島 岬よ、どうぞよろしく」
「神野に霧島な、よろしく頼むわ」
――ところでな、と修介はいった。
「よくもまあここを選べたなお前ら?」