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18話 彼女の始めたゲーム

 スタジオに残された3人は言葉を探していた。最初に口を開いたのは琥珀くんだった。

「葵さん生きてます」

 生存がわかったことはとてもいいことだが、しかしどうして会いたくないんだろうか。ここにいるから会いにきてちゃダメだったのだろうか。いや、両親が手紙という通信手段を遮断していたんじゃないか。

「……あれ?結局あのメールは誰が送ってきたんだ」

 私は慌てて携帯でメールを開くと差出人を確認した。しかし適当に設定されているアドレスなのか人物を特定できるようなアドレスではなかった。そもそも私のこのアドレスを知っている人物はこっちにはいないはずなのだ。私があっちにいってから作ったアドレスなのだから。

「誰がどうやってこのアドレスを入手した?」

 そもそも今時メールで連絡を取り合う人は少ない。私はこのアドレスを知っている人物で葵の知り合いを結びつけることができなかった。

 私2人にこのアドレスを知っているか確認した。しかし2人とも首を横に振った。

「そのアドレスにメール返してみればいいんじゃないの?」

 胡蝶がそんなことを言った。

「そうねその手があったわ」

 私はメールの本文にあなたは誰ですか。お会いして話をすることはできませんか。と記載してメールを送信した。

 

「葵姉様はどうしてこんな回りくどいことをなさっているのでしょう」

 胡蝶が嘆いた。

「彩芽さんはゲームっておっしゃっていましたね。陽花さんは何か心当たりあるのでしょうか」

「……ない訳じゃない。でもそんなに何度もやった遊びでもない」

 だから思い出せなかった。葵はなぞなぞが好きだった。私に謎を提示しては探させた。それが本当の謎の時もあればただの迷子の猫を探し時もあった。思い起こしてみれば葵はその頃から人を巻き込んだ謎を出すのが好きだった。元はと言えば私がある人物を追っていたのを見つかったところから始まる。

 

ーーー

 私は自販機に隠れながら、小説を読んでいるふりをしてある人物の後ろ姿を追った。

「ねぇこんなところでなに読んでるの〜」

 頭上から声が聞こえて初めて。彼女が立っていることに気づいた。

「……」

 本当は本なんで読んでいなかった。しかしなんとなくそれがバレるのが嫌だった。

「ワトソンくん。静かに」

 後を追ってることがバレたら困るので、静かにしてもらいたくて咄嗟にそういった。

「なになに?探偵ごっこ?ホームズ目的の人物は彼かい」

 葵がふむふむと彼の後ろ姿を見た。

「ちょっとバレるでしょ静かにして」

 葵が嬉しそうにニタニタした。

「好きな人?」

「ばかっ違う」

 持っていた本を鞄にしまう。私は彼を追うのをやめ彼女の手を取って一緒に走り出した。

 人気のカフェに入ると葵に好きな人はいないのか聞いてみた。

 葵が固まったのをみるどうやらいるようだ。葵と恋バナしたことがなかったが、案外こういうのも学生の醍醐味なのかもしれない。

「クラスメイト?」

「内緒」

 そういう彼女の顔はとても楽しそうであった。

ーーー


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