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11話 やっぱり自分の意思で姿を消したのかもしれない

 ーーー

 彼女は辿り着けるだろうか。

 私は目の前で寝ている彼女の頭を優しく撫でると星に願った。

 どうか幸せな道が待っていますように。

 ーーー


 ペラペラと葵の日記を見返す。

 夏休みの学生はどこへ行くのか。私は木澄と一緒に図書館へ足を運んでいた。

 葵が失踪した後新聞に何か記載されていないのかと探してみる。

 しかし行方不明の少女のような見出しも記事もなかった。

 どういうこと?施設の人は行方不明になったことを届けていないってこと。

「木澄くんって葵の学校の人?」

「……いや。オレは違うよ」

 私は心底使えないこの木澄という人物のことを無視して、葵の学校の後輩である霧峰に連絡を入れた。

「単刀直入に聞くわ。葵のこと学校ではどういう扱いになっているわけ?」

 来て早々そんな質問をされた霧峰は目をしばたたかせた。

「俺学年が違うので特に知らせはなかったんですが、3学年の間では退学したって噂になってました」

「退学……」

「生徒会長を務めていた(あかつき) 黒恋(かれん)さんはいつもテストで葵先輩に勝てなかったみたいで、周囲からは彼女が何かしたんじゃないかって言われてます。よく葵先輩に食ってかかっていたみたいですし」

 初めて聞く名前だった。葵の日記にはそんな人の名前は出てきていなかった。

「その生徒会長さんから話聞くことできないかな」

 私は霧峰くんにダメ元でお願いしてみた。

「うーん今夏休みなんでどうなんでしょう。塾とかに行ってるんですかね」

 言われて見れば、受験生の夏なのだ。勉学でピリピリしているに違いない。

「お願い。なんかこうツテを使って少しでいいから話聞きたいんだけど。ダメかな」

 霧峰は「俺知り合い少ないんですが、天文部の先輩に聞いてみます」と言ってくれた。

 

 木澄が何やら携帯をいじっていたので質問した。

「君って普段はどんな写真を撮ってるの?」

 携帯をいじっていた手が止まる。

「えっ?急にどうしたの?」

「えって君普段は写真撮っているんでしょう」

 木澄は何かを言いたそうにじっと私の目を見た。

「……どうしてそう思うの?」

「あら?あなたの写真を撮るときの表情を見てればわかるわよ」

「いや、そんなにあなたと過ごしてないと思うんだけど」

「まぁ今のは冗談よ。ライブの時動画も撮っていたけど、自前のカメラで写真撮っていたわよね」

「そっかぁ。一瞬だったのに見られちゃったかぁ〜」

「えぇ私こう見えて視力はいいのよ。それに何かあると胸の前らへんでカメラを持つような仕草をしていたしね」

「そんなこと見てたんだ。恐ろしいなぁ〜」

 オーバーに両手を広げるも大して驚いていない様子だった。

「葵の写真も持ってるの?」

 木澄は笑った。

「もちろん」

 彼に葵の写真を見せてもらった。どれもよく笑っていた。こんなに笑うようになっていたんだ。嬉しさとなんとも言えないモヤモヤが心を掠めた。

「君と葵との出会いは?」

 この謎の人物と葵の関係を今なら教えてくれるのではないかと思い聞いてみた。

「……。そうだなぁ」

 彼はどこか寂しそうに遠くを見つめながら話を始めた。


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