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潰れた空き缶

前回のあらすじ


学校での僕の話。今水さんに放課後、声をかけられたのだ。





 暗い倉庫の照明が点くと、ホコリっぽい部屋の全貌が見えてきた。

隣には、今水さんがおり、紙を挟んだバインダーを手に持っている。


まぁなぜ僕までここに来たかと言うと。


ー数分前



「ごめん急だけど手伝ってくれない!?」


一番最初に思った疑問は「なんで俺なんかに?」である。

だがその理由も次の発言であっさり分かった。


「みんな、部活とか委員会で忙しくてさ…」


うん。なるほどね。僕が暇そうに見えたからだろう。

いやまぁ、事実暇なんだけど。


こんな時に前田とかを使ってほしいのにな。

一丁前に部活とか言いやがって。部長だかなんだか知らねえけど。


断る理由もないし、すぐ終わりそうだし、今水さんだし行くか。


「うん、まぁいいよ。どうせ暇だし」


「ほんと!? ありがとね洋太くん!」


 久しぶりに関わるのにもかかわらず、今まで通りに話してくれることが嬉しかった。

本当にこの人は最高に良い人だよ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「それで? 何をすればいいんだ?」


「あっ! そうだね。藤崎先生に頼まれたやつなんだけど」


まぁ僕が説明しなきゃいけないか。

藤崎先生はうちのクラスの担任で体育教師のオジサンだ。まだ40だっけか?

まぁ、あまり生徒から好かれてはいない人だな。無害だけど、頼りにならないんだよな。


「でも今水さんは委員長じゃないでしょ?」


「むぅ~!!」


えっ? なんだ突然。急に不機嫌になったけどなんか踏んだのか?


「もう! あたしのことは羽織でいいって言ったじゃん!」


なんだこの人。天使か!? そんなことを気にしたことねえよ!

むう! って、可愛すぎないか? 落ち着け。彼氏がいるんだぞ? 


あー。「器」って言う字がQRコードに見えるな〜。落ち着け〜僕。



「うつわ?」


やべ。漏れてたーーー!


「そ、そっか! で、羽織? 今からどこに行くんだ?」


「んっ? えーとね。第三倉庫って書いてあるね」


「どこだよ。第三倉庫って」


「ねっ! どこにあるんだよ!って感じだよね!」


 ただ隣で歩いているだけで明るい暖色の雰囲気が漂う。

廊下の風が転ぶ虚無感も消えて、庭園のアーチをくぐっているみたいだ。



 倉庫の前についた僕は辺りを見渡した。

旧校舎の裏側、駐車場の近く。生徒が存在も知らなそうなところだ。

僕たちも先生に場所を伺ったのだ。


ギシギシと傾きながら開く扉に僕たちは不安を感じた。

そこは予想通りの汚さだった。


「うわぁ〜、だいぶ年季が入ってるね?」


「そうだな、嫌がらせレベルだ。ちなみに着いたけど何をするんだ?」


「えーと、備蓄の確認と安全性?使用に問題ないかだって!」


「ここのやつ全部か?」


「まぁそうだね……。でも!がんばろう!!」


「今日一日で終わる量じゃないって〜」


「ほらやるよ? 洋太くん!」


「あ、うん」


 僕らは作業に取り掛かった。

ホコリまみれで触りたくないようなやつがほとんどで、僕が全部使って試した。

作業は円滑に進んでいき、なんとか二時間くらいで終わらせることができた。


 暑い中で疲れた僕は「先生に報告してくるね!」と言った今水さんを見送って、ヤンキーが溜まりそうな段差に腰をかけて休んでいた。

今水さんの役に立てたことが少しうれしかった。そう思うと僕も少し生きている感じがした。



 帰宅をしようと教室に戻ると、友達と前田に話しかけられている今水さんがいた。


そう、本来はこういう関係なんだ。手の届かない遠い所にいる存在なんだ。

僕みたいな地味な見た目のやつとは関わってはいけない。

そう思っていたその時。


「洋太くん!!」


「えっ? って冷た!」


「あはは! 今日はありがとねっ! お疲れ様!」


「あ、うん。ありがと」


 彼女は振り返ると僕の話をしなくなった。

僕を忘れたかのように明るく笑う。


僕が廊下に出るとそこはとても暖かかった。

だから、手に持っている冷たい缶ジュースが何よりも嬉しかった。


「いてっ!」


「おいおい、誰かと思えば…w。前見て歩けよ! カス野郎!w」


「……悪かったな」


「そっかそっかw もう前に進めないのか!!w」


「ははは!wめっちゃ上手いこと言うやん!www」


「ははは!w まじ笑う!」



僕は速歩きでそこを去った。段々遠のくなっているのにまだあいつらの声がまだ聞こえやがる。

最悪だ。ってあれ?


僕の指は嬉しさを感じなくなっていた。

ひんやりとした感覚がなく、どんどん指が温まる。


「缶がない……」


あいつとぶつかって落としてしまったんだ!



僕は急いでその場所へ戻ったがそこに缶ジュースの姿はなく、どこかへ消えてしまった。


僕は……。






そのまま帰宅をした僕はリビングに転がる。

すると、キッチンから覗き込んだ姉が声をかけてきた。


「おかえり〜、今日はどうだった?」


「どうって……何がだよ」


「んー? あんまり暗い顔をすんなよ? いつものことじゃないの?」


「ああ、そうだな。いつものことだ」



僕は本当にゴミクズ以下なのだろうか。




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