Vol.10(エンドロール)
命あるのものの“エンド”といったら?
多くのものがこう答えるだろう。
「死んだ時」
それは命あるもの全員に必ず訪れる。
しかし、俺にはエンドは来ない。
なぜなら、俺は不老不死だからだ。
俺が不老不死になった原因は定かではない。
気がついたら歳を取らなかった。
致死量の血を流しても首を切り落としても死ぬことはなかった。
それに気がついてもう何百年と経っている。
しかし原因すら分かっていないのだ。
何度か原因を探ろうとしたことはあるさ。
その時代に仲良くなった子に事情を話し、協力してもらったこともある。
でも、分からなかった。
その子たちの方が先にエンドを迎え、結局私だけが残される。
もう何人の子を送ったか覚えていない。
それだけ長い年月が経ったんだ。
さて、君に問おう。
君は私のことが怖いかい?
今、君の目の前でエンドを迎えそびえた私が怖い?
彼女はそう言い、僕に手を伸ばしてきた。
怖い、恐ろしい、化け物。
そんな考えが脳裏に浮かぶ。
彼女の首が落とされ、再びくっついた光景を目にしたのは僕だけだろう。
彼女は多くの群衆の中心で首を刎ねられた。
いわゆる公開処刑。
彼女は魔女だと噂が立ち、処刑された。
でも、首を刎ねた途端に血液が囲む群衆に飛び散り、当たった人々はまるで酸をかけたかのようにその部分からグジュグジュと溶けていった。
この広場にはもう僕以外に立っている人はいない。
僕は運が良かっただけだ。
にこりと笑い手を伸ばす彼女と目が合う。
「私と共に行かないか?」
僕は震えるてで伸ばされた手を取る。
彼女は少し目を見開き一層笑顔を咲かせた。