とある国が侮辱されたので
とある国の夜会パーティー。
犬耳、もふもふの尻尾、青いきらびやかな正装を着た15センチの小人は台に乗ってチマチマと料理を食べていた。
此処は海に囲まれた国。
大海には魔魚や魔怪魚達が居て危険なので、この国では有力な魔獣王国に庇護を受けていた。
だが、魔獣王国の貴族や王族を今まで見たことがない変わりに、度々国が襲われた時に空を駆ける魔獣達に守られたことがあった。
恐らく魔獣こそが魔獣王国だと思ってもてなそうとしたが、いつも断られていた。
その変わりにいつからか、小さな小人達がパーティーに来るようになる。
小さいくせにうろちょろと邪魔で目障りだった。
見付け次第、貴族や王族、使用人達は小人を蹴り跳ばして城から叩き出していた。
「痛いガオ!!やめてガオ!!」
今日も勝手に料理を食べていた小人を、使用人は蹴り付けて城の外へと出した。
「うう……王族になんたる非礼を……これは我が魔獣王国として判断するガオ。
魔獣王国の王族や貴族に対する非礼、それは許されないガオ。
ずっと我慢していたガオ。
10年間は我慢して疲れたガオ。
私が父上に直訴して盟約を破棄して貰うガオ」
傷だらけの小人は、使用人に言うと目の前で魔獣に変わった。
「まっまさか……魔獣王国の王子!?」
尻餅を着いた使用人。
『……』
美しい翼狼は、睨み付けた後翼をはためかせて空に帰って行った。
それからすぐだ。
国が魔獣王国との盟約を破棄されて早々、クーデターや内乱で滅んだのは。