永遠に咲き続けたひまわり
なろうラジオ大賞4の参加作品です。
むかしむかし。ある村の商店街の一角に、ひまわりが咲いていました。
そのひまわりは、ただのひまわりではありません。人の手入れがなくても咲き続ける、不思議なひまわりなのです。
そのひまわりはどんなに月日が流れても枯れることがありません。いつからか『とわちゃん』と名付けられ、村人から親しまれていました。
「とわちゃん、おはよう!」
ある日、ひまわりの前に赤いランドセルを背負い、じょうろを持った女の子がやってきました。
女の子はランドセルを電柱の下にそっと置くと、ひまわりに水やりを始めました。
「よいしょ、よいしょ。とわちゃん、おいしい?」
ひまわりは何も言いません。それでも、女の子は一生懸命水やりをしました。
「とわちゃん、こんにちは!」
ある日、ひまわりの前に、制服姿でじょうろを持った少女がやってきました。
少女は楽器ケースを慎重に置いて、ひまわりに水やりを始めました。
「そろそろあなたを追い越したいな。……とわちゃん、おいしい?」
ひまわりは何も言いません。それでも、少女は一生懸命水やりをしました。
「とわちゃん、こんばんわ……」
ある日、ひまわりの前に、ため息を吐いた女性がやってきました。
女性は水やりを始めると涙を流しました。
「仕事、上手くいかなくて。私を励ましてよ、とわちゃん」
ひまわりは何も言いません。それでも、女性は一生懸命水やりをしました。
毎日毎日、女性はひまわりに会っては話しかけ、水やりを欠かさず行いました。
何年、何十年も、水やりを欠かさず行いました。
しかし、ある日突然、女性はひまわりに会いに行かなくなりました。
それから数日、数週間、半年。そしてついに一年が経った頃。
「とわちゃん、おはよう」
ある日、ひまわりの前に、おばあさんがやって来ました。
おばあさんは車椅子に座っていて、後ろで孫が押していました。
「ばあちゃん、水やりなら私がやるよ」
「ありがとね。でも、やらせておくれ。親友だから」
「……わかった。気をつけてね」
おばあさんは孫からじょうろを渡されると、しわしわの手で、ひまわりに一生懸命水やりをしました。
数日後、おばあさんは息を引き取りました。
それから間もなくして、ひまわりは枯れてしまいました。……一粒の種を残して。
ある日、ひまわりの芽の前に、青いランドセルを背負った女の子がやってきました。
女の子はじょうろを持つと、笑顔で言いました。
「とわちゃん、おはよう!」
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