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次元連結事変

「孝太郎っ! どうして、どうしてテメェが生きてやがるっ」


 次元の裂け目より現出した黒いステゴロオーを見上げ、落雁の轟声が響き渡り大気を振動させる。

 遙か彼方まで届かんとするその声を受けて、すると黒いステゴロオーは突如己の頭部の、人で言う口元に手を寄せ吹き出した。

 そして今度は腹を抱えると背を丸め悶えるようにまた笑声を上げる。それを見た落雁は愕然とするしかなかった。


「あははっ、キミは相変わらずバカなんだなァ……」

「っ……な、なんだと――」

「一緒に死んだはずのキミが現にそうして生きているじゃあないかよ! なァにが、イキテヤガル~……だよっ! おバカすぎて、はははっ……ああ、お腹痛い……」

「テメェ……」

「ていうかさァ……なんでキミまでそれに乗ってるワケ? 鉄拳重機は“主人公”の機体だろ? どうしてモブのキミがさァ……」


 黒いステゴロオーがその手のひらをステゴロオーへと差し向ける。そうした直後、そこから生じたのは衝撃波で、それを浴びたステゴロオーはその圧力により動きを封じられてしまう。


 コクピットでは機体からのフィードバックで肉体を押し潰されるような感覚に襲われる落雁が呻き声を上げ、検査を行う鹿子の声が忙しなく響いていた。

 彼女が見るホログラフィーモニターは全て真っ赤に染まっている。それは武装や機能の使用が困難という警告であった。


 息苦しく、吐いた息が己へと戻り蒸し焼きにされるような感覚に辟易する。窮屈で窮屈で堪らない。

 いつ前も潜っていたい布団の中が次第に熱くなって居心地悪くなるあの不快感にそれは似ていた。

 今すぐにでもそれから逃れたい。そんな思いが落雁の中に膨れ上がるが、彼は屈することはなかった。


「ぐぅぅ……っ」

「ラクッ、無理をするな! 今すぐ合心を解くのじゃ! 今すぐ妾に交代して――」

「意味、分かんねえ……ッ」


 呼び掛ける鹿子に対する返事ではなかった。

 落雁の言葉を疑問に感じ、眉間に皺を刻む鹿子。そして動揺にパイロットの動作をトレースしていると思われる黒いステゴロオーもまた彼の言葉に小首を傾げる。


「……落雁?」

「ら、ラク……っ」


 差し向けた手を握り込もうとする黒いステゴロオー。

 増して行く圧力に遂にコクピット内にも異常が生じ、モニターにはノイズが走り器機からは電流が弾けた。

 困惑する両者。ただ一人、うつむきがちにそう呟いた落雁が密かに握り拳を硬くした。そして――


「意味分かんねえことォ……言ってんじゃ、ねェェエッ!!」


 咆哮を挙げる落雁。

 黒いステゴロオーが無情にもその手のひらを握り込んだ。

 圧力は極限に達し、ステゴロオーの機体を圧壊させる――ことにはならなかった。


 身を捩り空を仰いだステゴロオーによって圧力は跳ね返され、握り込まれたはずの黒いステゴロオーの拳が解かれてしまう。

 それはその事態に言葉を発さなかったが、僅かな動揺が雰囲気のようなもので醸し出されている。


「鹿子ォッ」

「お、応っ! 双生火弓、天鹿児弓(アメノカゴユミ)! 天羽々矢(アメノハバヤ)っ」

「ダブルアーム・キャノン……ファイッアァァアッ!!」


 圧力から解放されたステゴロオーが突き出した両拳が展開した前腕部へとどんでん返しで格納され、代わりに飛び出したのは巨大な砲塔。

 赤い光が燻る砲口から、落雁の感情の爆発と共に巨大なビームが二条の彗星となって地上から天空に臨む。


「へェ……案外、使い熟せてるんだ」


 でも――驚異的な威力を秘める閃光を前にしても黒いステゴロオーのパイロット、落雁がいう毒嶋孝太郎の声から余裕の色は消えない。


 徐に両手を差し出す黒いステゴロオー。するとその両手もステゴロオーと同じようにどんでん返しで前腕へ格納され、そして例の如く砲塔が出現。


「……その程度、ボクだって出来るっ」


 ツインアームバレット、シュート――そう告げた孝太郎。砲口から放たれたのは先の火炎と同じ黒い閃光であった。


 空に臨む赤い閃光と、地表を目指す黒い閃光。

 二つは一直線に突き進み、挙げ句に激突。

 同様の兵装にして同等の威力を持つそれぞれは宙空で拮抗しせめぎ合い、巨大な光流の“淀み”を生み出す。


 淀みの内部に溜め込まれた膨大なエネルギーにそれを観測していたホログラフィーが真っ赤に染まり警報を鳴らす。


「いかん、もしアレが爆発でもしたら一帯が吹き飛ぶぞっ」

「コウタァァ……ッ」

「ラクッ、落雁ッ!!」


 しかし今の落雁に彼女の声は届くことなく、ただ目の前に現れた死者の再来に夢中であった。

 恐らく彼自身、何故彼に敵意を持って攻撃を行っているのかも分かっていないことだろう。

 もしかするとそれは件の毒嶋孝太郎の、死者としての魔力のせいとでも言うのか。


 出力を落とそうにもそんなことをすれば黒いステゴロオーに押し負け、それのビームに貫かれるだけ。

 だからといってこのまま照射を続ければ、いざ淀みが崩壊した時生じる破壊の規模は計り知れない。


 もし毒嶋孝太郎と黒いステゴロオーが敵だとするならばトウキョウごとステゴロオーを葬り去る絶好の機会なのだろう。


 そんな事になっては堪らない。一か八か出力を極限にまで高め、敵の出力を一気に振り切り押し切ればあるいは返り討ちに出来るやもしれぬと鹿子が手元にステゴロオーの出力調整用のメモリが表示されたホログラフィーを手繰り寄せた。

 そしてつまみの位置に指を添えた時であった。


「――調子乗ってんじゃないわよっ」

「今なら、がら空きっ」


 ステゴロオーの両脇より二つの影が勢い良く飛び出し、それは交互に入れ替わりながら天空の黒いステゴロオーへと向かって上昇していった。

 救った二機のメカたちである。


「やるわよ、ナイトっ」

「御意っ」


 その内の一機、金と銀に彩られた機体には少女が乗っているのであろうが、するともう一つ男のものと思われる声がそれからは聞こえた。

 しかしそれは内部から響いてきている少女の声とは違い、メカ自体が声を発しているように思える。


「コウタも、遅れないっ」

「り、了解……」


 気の強い声である。

 対して純白の機体から聞こえてくる男子の声は少々気が弱そうな感じだ。それでも戦う意思は感じられる。


 鎧装の形状は正反対であるが、どちらにしても騎士に似た二機は騎士らしくそれぞれ独自の剣を手に握る。

 金銀の機体は諸刃のブロードソードを、純白の機体は片刃で反りの無いサーベルを手に黒いステゴロオーへと勇ましくも斬り掛かった。


「やれやれ、主人公って忙しいな」


 満更でもない孝太郎の声。

 黒いステゴロオーはビームの照射を止め両手を通常形態に戻すと開いた手のひらより衝撃を放ち、宙空に残留した淀みを弾く。

 その先に在るのはステゴロオーだ。


 押し寄せてくる淀みにビームは飲み込まれ、押し返すことも避けることも出来ないステゴロオーは直撃。

 二人の悲鳴を轟かせながら淀みの爆発に突き飛ばされたステゴロオーは地面を弾みながら戦場に在って倒壊を免れていた幸運なビルディングの不幸となってそれに突っ込み、豪快にそれを倒壊させるとその瓦礫と煙の中に沈むのであった。


「感動の再会を満喫する時間も無いっ」

「アンタは――」

「――邪悪だっ」


 二機の剣。その白刃が漆黒に迫り煌めく。

 左右からの挟撃はしかし、黒いステゴロオーの両手にいとも容易く握り締められ、文字通り受け止められてしまう。

 如何に力を込めようと、押しても引いても彼女らの刃は敵の五指を切り裂くこと叶わず、その様はまるで繋ぎ止められた犬のようであった。


「――コウタァァアッ」


 だが今の黒いステゴロオーは両手が埋まっていて防御は防護電柵のみ。

 それは無防備も同義であった。少なくともステゴロオーに於いては――


 幸運だったビルディングの不幸は続く。

 倒壊し、崩れ落ちようとしていた上半分。それを瓦礫の中から起き上がったステゴロオーが両手に受け止め、騎士の二機を相手取って無防備を曝している黒いステゴロオーへと落雁の咆哮と共に投げ付けた。


 そして動くことのない黒いステゴロオーへとそれは見事に直撃を果たし、飛び散ったコンクリートなどの破片と粉塵による煙幕が黒いステゴロオーの周囲に充満する。


「羽撃け、八咫烏(ヤタノカラス)っ」


 そして地表では鹿子による承認により、ステゴロオーが有する飛翔能力が解除され、その背面に不可視の翼が広がる。

 背中や両足の背面に設けられた推進器からの噴射により地表から巨体を射出し、その見えざる翼を羽ばたかせ宙を駆けるステゴロオー。


 猛進し目指すは映し鏡かの様な同等の存在と、そして孝太郎。

 右拳を握り、それを振り上げながらステゴロオーと落雁はそれに向かう。


「来たな、落雁っ」

「“ラク”って、呼んでみろォォオッ」

「……はっ、ヤなこった」


 迫り来るステゴロオーに対し、黒いステゴロオーは両手に捉えていた二機を振り回し、悲鳴を上げるそれらを投げ付ける。

 五十メートル級のステゴロオーの半分にも満たないその二機はばく進するステゴロオーと激突すれども蹴散らされるだけ。


 そして突き出されるステゴロオーの金色の拳。


「――大将ばっかり楽しむのはズルじゃあねえの?」


 落雁の拳が孝太郎へと迫り、今まさに届こうかという時、天空の裂け目から吹き抜けた一陣の風三つがその拳を弾き、ステゴロオーの機体の姿勢を崩し、そして墜落させる。


 虚しくも伸ばされた、墜ち行く落雁の右手は虚空を掴む。

 その時彼が見たのは黒いステゴロオーの周囲を舞う三色の翼。

 しかしその光景もすぐに地面に叩き付けられた衝撃で乱れ、巻き上げられた砂塵に埋もれてしまう。


「まだ万全じゃねえだろ? こっから先は俺たちに任せてくれよ。な? 大将っ」

「……仕方ない、か。もどかしいかぎりだ」

「時が来れば、さ」

「分かったよ。あ、それとボクの知り合いだからって手加減とか要らないから。もうボクにはどうでも良いし」


 殺しちゃって――それは外には漏れない、機内同士での会話であった。

 孝太郎と思しき“少年”の声は、ひょうきんそうな男性へと伝えられ、その男性の声は彼にやはり軽々と肯定で返される。


 そんなやり取りを終えると黒いステゴロオーは上を向き、裂け目の中へとその巨体を消し去る。

 同時に閉ざされた裂け目。再び元通りの夜空の中、大きく白銀に輝く満月からの明かりを受けて煌めいた三つの翼が翻る。


「ラク! ラクっ! しっかりするのじゃっ! ラクゥッ」


 大地に横たわり沈黙するステゴロオーのコクピットに明かりは電源による非常灯の頼りないもののみ。

 壁面モニターは一部の後付けしたものが固定カメラでの映像を荒く映すばかりで全て停止し、モーショントレース及びアーミラリースフィアーの機能も止まっていた。


 床に落下した円環を跨ぎながら天球儀内から出てきた鹿子がトレーサーサークルの内側でステゴロオーと同じように横たわる落雁の元へと駆け寄り、彼の元へと滑り込むように縋り付くと必死に呼び掛けながらその身を揺する。


 しかし手足をなげうち大の字に寝そべった落雁はまぶたを閉じたまま、彼女の声に反応したり閉ざしたまぶたを開くことはなかった。


 そんな無防備極まるステゴロオーへと急降下して行くそれぞれ三原色をした巨大戦闘機。

 逆三角形を描く編隊は標的を狙うヤジリが如く、その切っ先を担うのは赤い機体だ。


「寝込みを襲うのは趣味じゃあねえが……行くぜ、ハニーズ?」


 そのコクピットではよく焼かれた肌をした男性が白い歯を見せた笑みを浮かべ、HUDの照準にステゴロオーを捉えていた。

 そんな彼の左右のモニターは天蓋がそのままそれとして機能しており、そこに表示された窓から顔を覗かせたのはそれぞれ白と黒の髪をした女性。


「はっ、はい! がんばり、ますっ……は、はにー……」

「戦闘中! リタ、忘れない! デミウスもふざけないで」

「ご、ごめん……ルカ姉……」

「まあまあ、カタいこと言いっこなしだぜ。戦場ならなおさら、な? 征くぞっ」

「了解っ」


 色や髪の長さだけでなく性格も真逆の二人であるが、その合間にデミウスという男が割り込み己へと手繰り寄せることでそれを纏め上げ、最後にトリガーを引き絞るタイミングは三人とも寸毫違わず一緒であった。


 そしてデミウスの乗る赤い戦闘機は機首から、リタが黄色、ルカが青色をした戦闘機は主翼からそれぞれの色と同じビームを放つ。

 五条もの輝きはうねり、絡み合いながらも向かう先はステゴロオーのみ。

 命中すると三人が思った。


 だが直後さく裂した三色に先頭を行くデミウスは眉をしかめた。早過ぎると、そう思ったからだ。目標まではまだあった筈。


「倒れたものにまで手を掛けるのか、貴様らはっ」


 閃光が晴れた先に在ったものは純白の盾を構えた騎士。

 それの青き双眸が三機編隊を睨み付け、勇ましき少年の声が空を震わせる。


「ここからは、アタシたちが相手なんだからっ」


 そしてそれらの合間に割り込んだは金銀の騎士。

 これまた勇ましい少女の声と共にそれは背中の巨大な推進器二つと一振りの剣で虚空を切り裂き三人へと切り込む。


「俺と踊りたいのかい、子猫ちゃん。良いぜ、何時でも何人でも相手になってやる。女の子なら、ね」

「散開っ」

「り、了解っ……また別の子誘ってる……」


 金銀の機体の刃が振るわれた時、そこに居た標的は翼を翻し刃から逃れ、編隊を組んでいた三機はそれぞればらばらに散った。

 騎士が追い掛ける標的を見定めんとしている合間にも、それの死角。つまり背後へ青いルカ機がビームの連続射撃を浴びせた。


「うひゃあっ!? っ……このっ! ひゃあっ」


 襲い来る衝撃に剣を薙ぎながら振り向き背後のルカ機を狙う騎士であったが、そうすると新たに浮き彫りになった死角に今度は黄色のリタ機が攻撃を加える。

 その度に攻撃してきた機体へ逆襲しようとする騎士。だが今度は赤いデミウス機がビームを浴びせまた彼女に悲鳴を上げさせた。


「姫っ、落ち着いてくだされ! 敵は複数、此処はコウタ殿と連携して立ち向かうべきでござるっ」

「うっさい! ナイトのクセしてアタシに命令しないっ」

「しかし――後ろっ」


 恐らくパイロットであろう声の主たる少女を、もう一つの声が姫と呼ぶ。

 少女に冷静さを取り戻させようとしているらしいその声の主だったが、少女はそれをまるで聞き入れることをしない。

 そしてデミウス機を追おうと彼女がした時、騎士の背後を取ったリタ機。だがそれを突如振り返った騎士の諸刃が襲った。


「きゃあっ!? う、嘘……っ」

「無事か、リタッ! やってくれたなあ」


 間一髪、リタ機は機体を傾け騎士の刃から逃れる。

 だがそれに乗っていたリタ自身は躱せたことを奇跡的と感じて、白く長い髪と同じく顔面蒼白していた。

 死角であり、意識すら向いていなかったはずのそこへの突然の奇襲。何故という疑問の嵐が彼女の呼吸を乱れさせる。


 だがそんな彼女のモニターにデミウスの顔が映り、彼は彼女に笑い掛けると機体を寄り添わせた。

 そうしてリタがモニターを見ると、その先にはデミウスの赤い機体があり、そして透過された天蓋からモニター越しではない現実としてデミウスの笑みとウインクが彼女の目に映る。

 それを見ると彼女の胸は落ち着きを取り戻すのだった。


「リタ、デミウス! ここはドッキングして――」

「いや、退くぞ」

「え、え? 良いんですか? あっ、下からっ」


 そうして見詰め合う二人を邪魔するわけではないのだろうが、そこにルカからの通信が入り提案が成される。

 リタがそれに賛同しようとして口を開きかけるが、それよりも先にデミウスが彼女のその提案に却下を降した。


 二人とも彼の言葉に驚愕した顔色をするが、議論を交わす暇も無く敵の接近を察知したリタが声を上げ、するとすかさずデミウスが己の機体の翼を隣の彼女の機体の主翼に潜らせ持ち上げる。

 そうして二機は縦になって飛翔し、間隔も空き、そうなることで不意を突いたはずの純白の騎士の刃が二機の合間をすり抜けていった。


「……器用な奴っ、良い反応をする」


 上昇を止めた純白の騎士が体勢を立て直し敵を見下ろすが、そこにルカ機が接近し攻撃を試みる。

 ちょうど自らの強襲を回避され気を取られていた純白の騎士は僅かに反応が遅れてしまうが、そこに金銀の騎士が駆け付けた事でルカ機は離脱。


「どうやら数的有利は見た目だけらしい」

「しかし、デミウス! ドッキングすれば……っ」

「いいのいいの、ちょっとだけ時間かけすぎたことだし、もしあのデカいのまで動き出したら流石に不利は覆せんからな。何、次があるさ」


 二機の騎士が睨みを利かせる中、デミウスの言葉を受けたルカはモニター越しに小さく頷く。しかし納得はしていない様子だ。

 だがデミウスはそれで良いと、リタにも目配せをした後迅速に編隊を組み直し機体を翻す。


 そうして去って行こうとする三機を追おうと金銀の騎士がするが、それを純白の騎士が止めた。


「ああっ、もうっ! 調子狂うじゃない。なんなのよあのハエみたいなヤツらっ! 真っ向勝負しなさいよっ」

「落ち着いてくださいよ、フレアさん。退いてくれたんですから、今は……それよりも――」


 純白の騎士の青い双眸が見下ろすのは、今もなお大地に倒れたままのステゴロオー。

 彼、コウタの言葉にその真意を悟ったのは少女ではなく、彼女の機体から聞こえるもう一つの声、恐らくナイトと呼ばれた方で、それにも説得される形でフレアと呼ばれた少女は渋々と了解の意を示す。


 そして結局、二機が降り立ち、集結した合計三機を防衛軍の車両部隊が包囲するまでの時間が経過しても、倒れたステゴロオーもとい落雁は起き上がることはなかったのだった。

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