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七十七話 農業エリアの秋



 ナワの村にも畑ができていた。


 宿屋作りが一段落して手持ち無沙汰になった村人たちが、隣のネルでは畑も作ってマギ様に喜ばれているらしいと聞きつけ、自発的に始めたらしい。


「それはいいね! 何を作っているの?」


「マギ様がポーション作りに精を出しておられたんで、薬草を栽培できたらお役に立てるんじゃないかといろいろ試しているところです。向こうの畑ではハーブやなんかも育てとります」


「おお、すごいね!」


 薬草の栽培は難しいが、成功したらとてもありがたい。


「良い薬草を育てるには土が栄養を含んでいることが大切なんだ。森の枯れ葉が混ざった土を使ってみたり、動物の糞を混ぜた肥料を使ってみたり、いろいろ試してみてよ。魔力草を育てるなら、魔物の骨の骨粉や捨ててしまう臓モツなんかを肥料にしてもいいかも」


 嬉々としてアイデアを出すマギの様子に、ふむふむと真剣なフベルト村長が頷いている。近くにいた村人に二、三指示を出したりもしているから早速取り掛かってくれるようだ。


「ハーブや香りの良い花も、今後使う当てがあるから育ててくれると嬉しいな」


「ほお、花も、ですか?」


 マギがとても喜んでくれたのでフベルトも村人たちもやる気を出していた。


「来年の春には、この村の一画に花畑ができているようにがんばります!」


 それも村の目玉となるかもしれない。春が楽しみだ。




 東神殿を過ぎて農業エリアに入れば、いよいよ南側でも増資を始めることになる。


 夏野菜の収穫に追われていたカポの村も多少は落ち着きを取り戻していて、今は残り少なくなってきた遅取れの夏野菜の収穫と秋冬野菜の種蒔きや世話をしているらしい。


 村長のアマルに増資の相談をしてみると、やはり農閑期のうちに水路の整備をしたいというのが村の総意のようだった。果ては畑を増やすことにもつながる。


「けっこうな一大事業になるよね? 人手は足りるか?」


「基本的には今ある水路を手直しして延ばす形で拡張しますからな。資金さえあれば村のもんでやれると思いますわい」


 マギとしては別のお願いもあったので、そちらに回す手が足りなければ人を手配することも考えないといけない。


「畑を囲う柵は簡易な木の柵だけど、村の周囲だけでももっとしっかりした柵にして欲しいんだ。ゆくゆくは町の規模に発展すると思う。そこまで想定してしっかり防備を固めて欲しい。それから北側でもお願いしたんだけど、旅をする者が安心してゆっくり休める宿屋を作って欲しいんだ。俺とか商人さんたちとかね。畑仕事を優先してもらって、無理しない範囲でこっちもやれるか? 北側のエリアには建築を得意としている人たちもいるから、ノースの町なんかに人を頼むこともできるよ。俺の方で手配しようか?」


「ありがとうございます。ですが、まずはコンサの町長にも相談して、こちらで何とかやってみますわい。今はまだ大規模には手は着けられませんのでな」


 確かに、畑仕事との兼ね合いもあるから、マギが先走ってもかえって迷惑になるかもしれない。


「わかった。アマルたちに任せるよ。俺に手伝えることがあったら、その時は遠慮なく言ってくれ。今回は金貨五十枚の増資金を渡すが、今後も増資は続けるから、上手く使ってがんばって欲しい。よろしく頼む」


 半月ほど前に三人もの勇者が同時に村に泊まったこともあって、アマルとしても宿屋は必要だと感じていたのだそうだ。カポでは快く引き受けてもらえた。




 キューレの町でも、家畜の繁殖と冬備えのシーズンが間近に迫ってきていたので、増資するにはちょうど良いタイミングだったようだ。


「家畜を増やすにはエサ代などもかかりますし、畜舎も増設しなければいけません。エサを保管する場所も。酪農には冬の間も休みというものはありませんが、それでも夏よりは手が空く者もおりますから。みんなの様子を見ながら少しずつ進めていきます」


 ここでも増資でやりたいことは明確に決まっているのだが、マギからのお願いも提案しておいた。しかし、下手に手出しするよりも任せた方がよさそうだったので、カポと同じようにいつでも言ってくれれば手伝うからとお願いだけに留めておいた。




 クワの村では絶賛小麦の収穫中で、村総出で助け合って各畑を収穫していっている真っ最中だったので、邪魔をしないようにとりあえず増資金だけ預けておいた。


「落ち着いてから考えてくれればいいから。今はとにかく自分たちの仕事をがんばってくれ」


「コンサの町長とも相談してみます。今回は碌におもてなしもできずすみません」


「今が一年で一番忙しい時期だろ? 仕方ないさ。俺たちのことは気にしなくていいから。当面は麦のことだけ考えてくれ」




 と言うわけで、翌朝そそくさと旅立ったマギたちは、クワの村の件も合わせてコンサの町長にお願いするべく南へ向かったのだが、ヴェンデリンも非常に忙しそうだった。


「いやはや、秋は金も物も動きが大きいもので、私もあちこち飛び回っておりまして……。今日はお会いできてよかったです。この忙しさももう少ししたら落ち着きますので。そうしたら各町村長ともじっくり話し合う時間も取れますので、エリアで協力して事に当たらせていただきます」


「いや、忙しい時に時間をもらって申し訳ない」


「マギ様のご要望としては町の防備を上げることと宿屋の建設ですね。こちらとしても必要だと感じていることですので、どの町村でも好意的に受け入れられると思います。その他の計画につきましても、以前にマギ様からお話しをいただいたことから、少しずつ計画自体はまとまってきておりますので。具体的なお話しも次回にはできるかと。少しお時間をいただけますか?」


 やっぱりヴェンデリンはできる男だなあとマギは関心する。この人に任せておけば問題ないだろう。


「一度にできる増資の限度額もあるから今回から増資を始めたんだけど。実際に動き出すのはまだ先でも大丈夫だよ。普段の仕事を優先してもらってかまわない。落ち着いてから考え始めてくれるんでいいから。タイミングも計画も、実際に動く皆さんの都合に合わせてやってください。逆に申し訳ないですが、各町長さん、村長さんたちにお任せしてしまっていいかな? 俺に手伝えることは協力します。事後報告でもかまわないのでエリア主導でやってください」


 恐縮するヴェンデリンとお互いにペコペコ頭を下げ合って、とにかくマギからの要望は聞き届けてもらえたので、ヴェンデリンには仕事に戻ってもらった。




「農業エリアで増資の話はちょっと早かったかな」


『めっちゃめちゃ忙しそうだったにゃ!』


『まあ、今すぐやれって無理言っている訳じゃないんだから、気に病むことないと思うわよ?』


 ルビーに追い打ちをかけられ、フェレに慰められたマギは、


「はあ……、やっぱり現場のことは現場に任せた方がいいな。増資自体は悪いことじゃないんだし……」


 と、うなだれかけた頭を上げてため息とともに呟いたのだった。





    収入利益 +12枚

      増資 -120枚

      寄付 -3枚

      納金 +5枚

    収入利益 +15枚

 ポーション買取 +12枚(良20、ハイ2)

      増資 -50枚

      納金 +10枚

 ポーション買取 +18枚(良30、ハイ3)

      増資 -100枚

      納金 +5枚

 ポーション買取 +12枚(良20、ハイ2)

      増資 -50枚

      納金 +20枚

 ポーション買取 +30枚(良50、ハイ5)

      増資 -200枚


 現在の所持金貨 1281枚

     町資産 6950枚分


 

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