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 七十四話 鉱山エリアの発展



 予想通り、ウェスターでも町長と話をすることはできなかった。納金を届けに来たゲオルグからは、


「あなたに報告するような話は特に何も……。忙しいので失礼」


 と鼻であしらわれ、さっさと部屋を出ていった。


 マギのことを勇者だなんて思っていない、子供が町のことに口を出すな、そんな雰囲気がビンビン伝わってきた。


『何にゃ! あいつ!』


 頭から湯気が出そうな様子のルビーが先頭に立って怒っているが、あの態度にはさすがに他の仲間たちもカチンと来たようで、みんなで閉じられたドアを睨み付けている。妙な気迫を感じるほどで、実はマギもイラッと来ていたのだが逆にそれで冷静になれた。


「まあ、俺は子供だからな。相手にされないのも仕方ないのかもしれないけど。信頼し合えないのなら増資はできないよな。城の西側はしばらく様子見だな……」


『町の奴らも嫌な目で見てたにゃ!』


『……変なこと言ってましたね』


 到着して早々、町のゴロツキたちが町民を脅している現場を目撃してしまったのだ。


『勇者様の命令だから金を出せって言ってたわね』


「俺はそんな命令してないぞ」


『我の勘では、他の勇者かも知れぬな』


 どうやら、マギの購入した町で好き勝手やってくれている奴がいるようだ。


「奴隷商……、いや、盗賊の奴かな? 領主が巻き上げているって線もあるか……?」


 ウェスターに入る手前の街道では盗賊をやり過ごしたのだが、タイミング的にあいつが関わっているのかもしれない。


『あの町長が勇者の名を勝手に使ってる場合もあるわよ?』


『チンピラたちの小遣い稼ぎに巻き込まれている可能性もありますよね?』


「そうか……。他の勇者たちとも限らないのか……」


 黒幕が誰であれ、勇者への印象が非常に悪くなっていることに変わりは無い。おかげで町民たちとも関係が悪くなってしまっている。直接的に何かされるほどではないが、遠巻きにヒソヒソと噂されている気がする。


 治安改善にも印象改善にも、ここでマギたちにできることはほとんど無く、せいぜい不足しているポーションを売ってやるくらいが関の山だった。モヤモヤした気持ちを抱えながらもマギたちは先を急ぐ。




 西神殿からは北へ進むことにした。ルビーはもちろん“お魚エリア”に行きたがったが、絶賛発展中の北側のエリアでは現在、金がかかってかかってしょうがないほど猛スピードであちこち手を着けてくれているので、先に増資金を渡して回ることにしたのだ。


 今回からは南側のエリアでも増資を始めていく予定なので、先に北側の様子をもう一度確認しておきたかったこともある。前回の訪問からまだ半月ほどなのであまり変わっていないかもしれないけど、今後南側にも目を向けていかなければいけないので、まとまった資金を先に渡しておいて町長たちに自由裁量で上手く回してもらえるようにお願いしたかった。


「北のみんなはがんばってくれているし、任せられるだけの信用もしているから良いよな。南は南でそれぞれ考えがあるようだったし、こちらも上手く発展してくれるといいんだけど……」


 西神殿には商人たちの姿が増えていた。早くも鉱山エリアでの荷運び屋が定着してきたようで、神殿までは馬車で荷を運んで来て、ここからは荷運び屋を雇う様子が見て取れる。商人たちの荷を引き受ける鉱山エリアの者たちの姿も見うけられる。慣れない交渉のやり取りにも前向きに、楽しそうに働いてくれているようでマギも安心した。シスター・マルタも訪問者が増えて忙しそうだが、心配していた北の者たちの元気な姿を目にできて嬉しそうにしていた。




 タテの町では馬車の前段階として、岩山の街道で耐えられる頑丈な荷車が作られていた。


 今はまだ荷運び屋が自力で引いて車体の強度を確かめているのだが、使ってみて強度に問題がなさそうなら、いよいよ馬車作りとなるらしい。荷運び屋側も自分で背負って運ぶよりも大量の荷物を楽に運べるようになって、ますます仕事に精が出ているようだ。


 熱中し過ぎているのではないかと心配していた蒸留装置の開発も、ギヨームがほどほどにがんばってくれているらしい。相変わらず目の下の(くま)は取れていなかったが、他の職人を巻き込んで無茶をするようなことはしなかったようで安心した。


「他の職人は……、残念ですがそれぞれの仕事がありますから。でも、これは私が責任を持って完成させます! だいぶ見通しは立ってきたのですが、如何せん時間が取れず……ぐぐっ、悔しい。あと少しお待ち下さい。いやはや、楽しみですな!」


 ()()、という言葉は飲み込んだようだ。


「体を壊さないようにちゃんと寝てくれよ……」


 今回の増資金、金貨二百枚を渡してしっかりお願いした。




 増資により村から町へと発展したチカの町では、ハドルがかなり大規模になった荷運び屋を上手く回してくれていた。


「荷車が導入されましたからな。すれ違いの時刻表も作り、タイムスケジュールの管理もばっちりですわい! これは馬車になっても使えますから、今からしっかり考えておかないといかんのです。いやあ、毎日楽しくやっとります!」


 女たちのアクセサリーも商人たちに人気があるとかで、ここも順調なようだ。誰も彼も忙しくともやりがいを感じていると明るい笑顔で話してくれた。仕事内容が負担にならないように助け合える地盤があってのことだと思える。




 トガリのベルナフも忙しそうだった。荷車のすれ違い場所の整備まで手を回さなければならず、人手はいくらあっても足りないそうだ。


「マギ様からしっかり資金をいただいておりますから、整備に当たる人夫たちにも良い給金を払ってやれています。一攫千金ばかりを狙ってうだつの上がらなかった者たちも、安定して収入を得られるこの仕事ならやりがいを見つけられたみたいでして、忙しくともやる気を出しておりますよ。良い傾向です」


 ベルナフの視線の先を見ると、一日の仕事を終えて現場から帰ってきたやんちゃそうな若者の姿があった。これから酒場に繰り出すのだろう。まだまだ元気な様子で頼もしい限りだ。


「ノースの者とツチの者に話を聞きまして、町の壁もしっかりしたものに作り替えましたし、町はどんどん発展しています。マギ様のおかげですよ!」


 岩山の鉱山に町を作っているトガリは土地の関係で広さはさほど大きくはなっていないが、外壁も設備も以前とは見違えるほど整っている。今回の増資金、金貨四百枚で町資産八百枚の町になったのだ。商人の出入りも激しく、好景気に町も沸き返っている。それでも町の雰囲気は明るいままだ。治安が乱れたりもしていないように見える。城エリアとの違いは何なんだろう。




 ツチではみんな楽しみにしている湯治場に寄ったが、マギたち専用の建物の他にも公衆浴場のような大きな建物が増えていた。


 近くには飲み物や食べ物を売る屋台や、ツチ名物陶芸品という(のぼり)を立てた土産物を売っている者、ちゃっかり一緒に商売をしている行商人もいて、とても賑やかになっている。


「すごいな……。もう、けっこう人が来てるんだ」


「今はまだ町の者や近隣の者がほとんどですが、商人さんたちにも好評をいただいておりますんで。これから宿も建ち環境が整えば、遠くの町からもきっとたくさんの人が訪れてくれると思うんでさあ。人が集まれば本職の方の焼き物にも目がいくようで工房の売り上げも上がっとります。職人たちも張り切っとりますし、今までは手伝いくらいしか仕事のなかった家族の者たちも働く場を手に入れて喜んどります。もちろん、町の者たちも湯治の虜になっとりますから、こんな良いものを教えてくださったマギ様にみんな感謝しとりますんでさあ」




 鉱山エリアは極めて順調に発展していっている。後はしばらくエリアの人たちに任せても大丈夫だろう。協力し合う人々のパワーとはこんなにもすごい力を生み出すものかと、マギの予想を上回る成果にびっくりしきりのマギであった。






      納金 +50枚

    収入利益 +50枚

 ポーション買取 +93枚(高100、ハイ10、毒10、魔10)

      寄付 -3枚

      増資 -200枚

      増資 -200枚

    収入利益 +40枚

      増資 -400枚

      増資 -200枚


 現在の所持金貨 2304枚

     町資産 5750枚分



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