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 四十七話 町長会議



 ショーキの町で行われていた町長会議はマギの到着によりやっと最終決定が下されることとなる。マギの意思を確認してから指示を出したいと大きく動き出すことができずにいたようだ。マギにも会議に参加してもらうために今はマギたちの泊まる宿屋に場所を移していた。この町でも納金をもらったマギだったが増資についても相談したかったのでちょうど良かった。


 ショーキの町一番の大きな宿屋には会議に使える部屋もあり、その会議室にはセンバの町長ゲルト、ショーキの町長ラインホルト、スピカの町長アンデレ、サウザーの町長フランチェスコが揃っていて、マギが入室すると全員から挨拶を受けた。一通りの堅苦しい挨拶が終わってからやっと席に着く。


「まずはマギ様、パーフェクトモノポリーありがとうございます」


「おかげ様で全てのエリアで流通が元のように戻ってまいりました」


「森林エリアに向かう行商人が一番大変な思いをしておりましたので助かります」


「城エリアを突っ切れないと大変ですから。とは言え、北の地は行商無しに復興はきついですし」


 挨拶に続き話に上がった森林エリアの話題。あそこにはもう少し力をつけてもらいたい。


「北側の方がどうしても小さい町や村が多くなるよね。もっと森林エリアにも隊商の頻度を増やしてもらうとか、思い切って店を出すとかできないかな? 増資をすればそういうこともできる?」


 マギの言葉に町長たちの顔が翳る。


「森林エリアはですな……。あそこに住む者は狩人が多く、食うに困ることはあまり無いでしょうし……」


 なんとなく言葉を濁すサウザーのフランチェスコに続いて他の町長たちもポツリと口に出す。


「その……、商人にとってはあそこは命がけになるエリアなのですよ」


「売れる物も買い入れる物も少なくて、儲けもあまり出ないのです」


「今は復興のためにできるだけ向かうようにしてますが……。この先もずっととなると……」


 確かに森林エリアでは食ってくだけならエリア内でなんとかできる。日用品などの生活必需品や武器などの道具も必要な時に買うだけで、常に必要としてはいないのだろう。さらに突っ込んで言うと住民と商人たちの関係もいまいち良くないのかもしれない。


「鉱山エリアには鉱石を買い付けに行くから頻繁に通うことになるけど、森林エリアにはそういった旨味が無いってことか……」


 町長たちが申し訳なさそうに肯く。商人たちも魔物に襲われるかもしれない危険を押してまで行商に行ってくれているのだから、旨味も無い土地に対して無理も言えない。勇者であるマギのお願いとの板挟みで町長たちも困っているのだろう。


「それで、俺に相談って言うのは?」


 それが感じられたので、マギは露骨に話を変えた。町長たちを困らせたい訳では無い。


「はい。マギ様にモノポリーしていただいたことによってできる“増資”についてです」


「ちょうど俺も聞きたかったんだよ。やっぱり納金はそのまま増資に回した方が良いよな?」


 町長たちはお互いに顔を見合わせると揃って頭を下げ、嘆願を始める。


「商業エリアは後回しで大丈夫ですので、北側の復興からお願いしたいのです」


「商業エリアは流通が戻ったことで、すぐにも活性化します」


「逆に今は皆、外を回ることに重点を置いておりますので、自分たちの町に新たに手を加える余裕はありません」


 今回、被害が大きかった北側のエリアに金を使ってくれた方が、商人たちの懐も潤うのだと言う。今の時期、どこもかしこも儲け時なので公共事業などをしても人手を出し渋られてしまう可能性が高い。みんな商いに精を出したい時なのだ。


「ですので、北側がある程度落ち着きを取り戻してから増資をしていただける方がありがたいのです」


「同様に農業エリアも、今の時期は多忙で日々の仕事に追われていると思います。収穫後の農閑期の方が動ける者も増え、町を発展させやすいと思います」


 ただ金を渡せば、勝手に町が大きくなっていく訳ではないものな……、とマギは理解に及んだ。自分に町を発展させるような知識がある訳でもない。実際に動き、知恵をしぼって働いてくれるのは町の人々なのだ。それが普段の生活を圧迫して負担になってしまっては本末転倒だ。


「わかった。教えてくれてありがとう。農業エリアの方でも一応確認はしてみるが、その方向で増資させてもらう。まずは北からだな」


 北側が発展して南北の差を縮められれば良いなとは思っていたのだし、町が大きくなることで危険が減り、さらに森林エリアでも何か特産品のような物、商人たちが手に入れたいと思うものを用意できれば、今までよりも立ち寄ってくれるようになるかもしれない。


 それにしても、前回もそうだったけど決死の覚悟を決めたような顔でお願いされるのはなぜなんだろう。もっと気軽に何でも相談しあえるようになりたいが、それにはまだ信頼関係ができていないのかもしれない。無理強いすることではないので、これから少しずつでも良い関係を築いていけるようにがんばるしかないのだろう。


「城エリアはじゅうぶん発展しているように見えたけど、あそこも急がなくていいよな?」


「はい。城エリアは放っといても人も物も集まりますので」


「逆に他町村からの若者の流出で人口過多になっているのではないですかな?」


 エンタの町なんかは人が溢れかえっていたと、マギは最近通った町の様子を思い起こす。


「確かにそんな感じだった。エンタなんてえらくごった返していたよ。了解した。これからもいろいろ教えて欲しい。みんなの助けが無いと、俺一人じゃわからないことばかりなんだ。何でも遠慮なく言って欲しい。俺も少し考えてみて、北側のエリアを発展させるようにがんばるから、町長たちも復興の支援をよろしく頼むよ」


 マギがペコリと頭を下げると、町長たちが恐縮して急いで頭を上げさせられたが、上げた顔で見た町長たちの表情は最初よりもずいぶん明るく柔らかくなっているように見えた。


「マギ様の了承が得られて良かった!」


「これで商人たちにも指示が出せます」


「北側が今後伸びる前提があれば、大きく動けますね」


「待機させていた者たちにも動いてもらうぞ!」


 今後の方向性をマギと確認し合えた町長たちは、ようやく本格的に動き出すことができるようになり、各々嬉しそうなやる気の漲る顔で町へと帰っていった。




「じゃあ、俺たちもリサーチでもしようか?」


 会議から解放されたマギは部屋で静かに待っていてくれた仲間たちを誘い、「森林エリアの発展のアイデアになるものを探してみよう」という名目でショーキの町に繰り出すと、珍しい輸入品の数々を見て回ったり、屋台のメニューを調査したりと異国情緒溢れるショーキの町を楽しむ時間も作れたのだった。






      納金 +20枚

    収入利益 +20枚

 ポーション買取+36.5枚(良50、ハイ5、毒5、魔5)


 現在の所持金貨  539枚

     町資産 3400枚分



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