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転生勇姫  作者: 万十朗
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おいでませリンネ観光ツアー・2

「リンネの観光案内って言ってもなあ……」


 一旦話を持ち帰ることにした俺たちは、中庭に置かれたテーブルについた。


「まさか勇者、たかが旅人に姫が直々に案内してやるつもりか?」

「んー、まあそれはいいんだけどさ」


 言われてみりゃ、姫らしくないのかもしれない。

 でも俺は生まれ育ったこのリンネが結構好きで、外の人間に興味を持ってもらえたこと自体は嬉しいのだ……これといった特徴のない、小さな国だし。


「観光とか言われても、なんかあるか……?」

「あ、ですが姫様……この国はもとは勇者が生まれた村だったんですよ」


 えっ、初耳。

 俺があからさまにそんな顔をすると、マオルーグが驚きに目を見開くといった感じに俺を見つめてきた。


「き、気づいていなかったのか?」

「いやだってほら原型ないし……周りの国もだいぶ変わっててわかんなかったわ」


 頭に地図を浮かべてみれば、確かに地形的にその辺だったような……


「発展したんだな、カナイ村……」

「恐らくは勇者の功績だろうがな」

「マジか、知らなかったわ……まあどうせかなり経ってからだろうけど」


 ていうか、スカルグはともかくマオルーグが知ってるとは。


「知っているものだと思っていたぞ」


 生まれた地に転生したのだと思えば妙に納得がいく、と小声で付け足して。


「うーん、村の痕跡がないからな……ていうか、勇者の生家とか残ってないだろ?」

「え、ええ、まあ……」


 言葉を濁して控えめに頷くスカルグ。

 言わなくてもわかるぞ……特に勇者らしい物も残ってないボロい一軒家だもんな。


「ですが良い機会ですね。姫様もホーリス殿と一緒にリンネのことをもっと知ってみては?」

「そういうことなら護衛は我がつこう。仮にも王族が得体の知れない男と行動するならな」


 な、なんか今日のマオ、圧が強くない?

 と思っていたら今度はスカルグが考え込みながら口を開く。


「得体が知れなくはないのですが……」

「なに?」

「いえ、まだ確証がありませんね。私も護衛兼案内人として、頑張らねば……姫様にも勉強していただく良い機会ですし」


 こっちは妙に意味深?

 気になることを残してスカルグは「それでは」と一礼してそそくさと去っていく。


「……なんか知ってるのか、アイツ」

「さあな。知り合い……とは思えぬが」


 そしてスカルグがいない今、気になるといえば、もうひとつ。


「マオ……お前さっきホーリスに何か言おうとしたろ。話そらしてたけど」

「む」

「スカルグのことバカにされて、カチンと来たとか?」


 俺もちょっとムッときたもん、と言えばマオルーグの目が大きく見開かれる。


 スカルナイトの生まれ変わりだからかどうかは知らないが、あいつは確かに白くて細くて、おまけに今は気性も穏やかで、その見た目から侮られやすい。

 戦士らしい屈強な肉体がなくとも、風に揺れる柳のようにしなやかな体が繰り出す鋭い剣の斬撃は、前世で好敵手と認めた武人そのものなんだが。


「自慢の部下、だもんな?」

「……フン、当たり前だ。スカルナイトに限った話ではないがな!」


 知ってる、みんな強かったもん。

 そう返せば元魔王様は一瞬だけ口元を綻ばせかけて「何を今更」とそっぽを向いた。

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