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終末の時計 Armageddon Clock  作者: 著:水無月龍那/千歳ちゃんねる 原作・GM:烏山しおん
5:Temple of the False God
202/202

ENDING

■ case:xxx


 UGN中央評議会の円卓を囲む影。

 その中に霧谷の姿もあった。

「お疲れ様、“リヴァイアサン”。詳しい話を聞きたい所だけど……難しいわね。とりあえず作戦成功おめでとう」

 肩にフクロウを乗せた少女が霧谷に労いの言葉をかける。

「ありがとうございます」

 言葉ではそう言ったものの、目にはまだ緊張を緩めた色は無かった。

「……まだ、何か懸念点がありそうね」

「はい」

「当てて見せましょうか?」

 肩のフクロウを軽く撫でて、少女が椅子に座り直す。

「“あれが最後の敵とは思えない” 違う?」

「その通りです。カオスガーデンからの報告書では“イーター”とも称されているその隕石が、一つだという可能性の方が低い」

 しかも、と霧谷は言葉を続ける。

「その次の襲来がいつになるのか――今回の隕石接近をも予測し得なかった我々に、地球上から次の隕石、イーターの襲来を止める手段は殆ど無いと言って良いでしょう」

 ですから、と霧谷は手にした書類を示す。

「最悪でも、地表に到達する事だけは避けなければなりません」


 「Albatross」と書かれた表紙を捲り、霧谷は言う。


「――例え、何かにぶつけてでも」





■ case:xxx


「“プランナー”、何をしておられるのです?」

 不思議そうに問うエージェントに、都築京香はいつものように微笑みを浮かべたまま、キーボードを叩く。

 ディスプレイに表示されていくのは、文章のようでいて、プログラムのようでもある。

 計算式。文字列。図形。グラフ。それらが次々に打ち込まれ、表示されては流れていく。

「隕石が撃破された瞬間から、情報が光速で伝達されたと仮定し、再襲来の予測時間を計算しています」

 エージェントは宇宙を思い浮かべ、その広大さに思い当たった所で困惑した顔をした。

「勿論、宇宙全てを対象にしていては時間がかかります――敵が存在している確率の高そうな惑星位置を数千パターンに絞り込んで計算しています」

「……はあ」

 エージェントらしからぬ、雲を掴み損ねたような返事は、カタカタと叩かれていくキーボードの音に紛れて消えた。

 部屋に響く打鍵音。しばらくしてそれは鳴り止んだ。

 彼女の細い指がマウスに触れると、隣にあったプリンタが数十枚の紙を吐き出し始めた。

 

 数センチの厚さになったその紙束をとんとんとまとめたプランナーは、それをエージェントへ差し出した。

「これを建設部門に回してください。記載の通りにせよ、と」

 ずしりと重く、まだ暖かいそれを受け取り、まじまじと見つめる。

「建設へ……、ですか」

 敵の予測時間を計算していたはずではなかったのか。一体何を作るつもりなのか。

 その疑問を持ったままの瞳でプランナーを見上げると、彼女はその質問を読み取ったのか、微笑んで答えた。


「ええ。建設です。――スペースコロニーを作ってもらいます」

こうして舞台は宇宙に続く。

これにて完結です!

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