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終末の時計 Armageddon Clock  作者: 著:水無月龍那/千歳ちゃんねる 原作・GM:烏山しおん
5:Temple of the False God
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SCENE3 - 1

 桜花はひとり、部屋に居た。

 白髪の少女と灰色の猫を見送って、彼女達の事を少しだけ考えていた。

 彼らが何を追っているのか、どこへ行こうとしているのか。

 彼女達は話してくれなかった。

「まあ……いいか」

 小さく零れた呟きはほんの少しだけ、寂しげだった。


 ――とん、とん。


 部屋にノックの音が響いた。主は、呼び寄せた葛城の私兵だ。

「はーい」

 部屋に素早く視線を走らせ、出発の準備ができている事を確認しながら返事をする。

 服装は、できるだけ動きやすく。

 荷物は、安全な場所に宅配を。

 ついでに念のため。と、顔を隠せる仮面――やや派手すぎるが、ここでは寧ろその方が良いらしい――を持ち。

 最後に、鞘に収められた一口の刀を握る。


 その刀に。それが繋ぐ遠い故郷へ向けて、桜花は呟く。

 彼の予感は正しかった。

「やはりナチスは、とんでもない事を企んでいました」

 遠い故郷に向け、誓いを新たにする。


 とん、とん。


 ノックの音がする。

「はーい! いつでもいけますよ」

 急かすノックに小走りで駆け寄り、ノブを手にする。

「お待たせしました。さ、いきましょ――」

 そのドアを開ききる事無く、彼女の声が途切れた。

 廊下には、仮面をつけた男が立っていた。

 彼女は言葉を失ったまま、男を見る。


 見上げる桜花の瞳に映り込むのは、仮面の奥から覗く瞳。

 そこには。宝石のような紅い輝きが滲んでいた。

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