SCENE2 - 3
みあがドアを開けると、そこには物が乱雑に積まれた空間が広がっていた。
「ここは……ただの倉庫みたいね」
何かあるかしら、と電気をつけて荷物を少しどかしてみたり、箱を開けてみたりする。
大体は何に使うか分からない機械が殆どだったが、その中に衣服のような物が詰め込まれた箱を見つけた。
取り出してみると薄手のコートのようだが、内側に固い物が仕込んである。
軽く叩いてみると、こんこんと固い音がした。
「何かしら。衝撃吸収材……? これ着ておけば少しは何かの役に立つかしら……」
でも、と広げたコートに眉を寄せる。
「サイズが大きいわね……」
ショート丈とはいえ、大人用のコート。丈は合っても袖が長すぎた。
もっと小さいのないかしら、と箱の奥を探る。
いくつか取り出しては畳んでいくうちに、それなりに小さいサイズを見つけた。
「あ。これなら袖を少しどうにかすればいけるかしら」
袖を通して確かめてみる。ぶかぶかではあるものの、袖を少し折ればなんとかなりそうなサイズだったことを確かめ、満足げに頷く。
「何かの役に立つかもしれないし、これは持っていきましょう」
とはいえを着て歩くのはなんだか暑苦しい。一旦脱いで、袖を肩にかけて結んでみる。
「これならまあ……いいでしょう」
それ以外に何もない事を確認して廊下に出ると、ワンテンポ遅れて向かいのドアが開いた。
「お。みあ」
「あら司。何か見つかった?」
「ん。まあまあかな。そっちは……そのコートか」
「そ。司も何か探してみる?」
そっちの部屋には武器もあったわよ、と隣のドアを指す。
「マジで。見てみる見てみる」
司は迷う事なくみあの示したドアを開け、入っていく。
みあもその後ろからついていくと、司はあれこれと物色を初めていた。
動物が支配する島だからか、持ち運びに便利なナイフや、中距離、遠距離に適した火器が多い。みあには使いどころがなくてさっさと出て行った部屋だった。
「お」
司が声を上げて何かをがしゃりと取り上げた。
「何か見つかった?」
「うん」
その声はいつもより少し機嫌が良さそうだ。
「なにそれ……ライフル?」
「似たようなもんかな。ちなみにこれはグレネード」
しかもスイス製だ、とどこか嬉しそうに呟く。
「ふうん……」
いくつか異なる武器が並んでいるが、みあにはどれがなんだかよく分からない。
だが、いつにない司のそわそわした空気から、何か良いものなのだろう、という事だけは分かった。
「良いもの見つかった?」
「うん」
とりあえずこれだけ持っていってみる、と彼は先程見ていた物を肩に担ぎ、それに使うらしい弾をいくつか鞄に詰め込んでいた。
「しっかしこれだけ火器があるのは……やっぱり色々あるんだろうな」
ぐるりと部屋を見渡して、司がぽつりと言う。
「そうね。何に使う可能性があったのかは……もう分からないけどね」
「だな」
よし、そろそろ出るか。と司が鞄を軽く叩いて立ち上がる。
「他の二人はどうしてるかしらね」
「さあ。様子見に行ってみるか」
そうね、と二人で頷いて、その部屋を後にした。