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終末の時計 Armageddon Clock  作者: 著:水無月龍那/千歳ちゃんねる 原作・GM:烏山しおん
3:Fact or Fiction
113/202

ENDING2 - 1

 研究所から脱出を果たした四人と子供達は、崩れ行く研究所をただ眺めていた。

「――ねえリンド」

 ぽつりと、口を開いたのは有樹だった。

「なんだ?」

「リンドはさ。これから……どうするの?」

 ぐ、と思わず言葉に詰まった。

 だが、迷いは捨てなければならない。

 カオスガーデンにあるという、浅島研究所へ向かわなければ、ならなかった。

「俺は……俺の故郷へ、行く」

「……そっか」

 少年の返事は、簡潔だった。

「ユウキ……」

 思わず少年の名を零した。

「ん。なんだよリンド。そんな変な顔しちゃってさ」

 リンドを見下ろす有樹は、穏やかに笑っていた。

「リンドはさ、約束してくれたじゃない。傍に居るって」

「だが……!」

「でも」

 二人の言葉が、重なった。

「僕を守る為に、一人にしなくちゃいけない事もあるんでしょ?」

「……そう。そう、だな」

 リンドも。笑った。笑って、みせた。

「僕は、皆を家にちゃんと帰しておくからさ。安心していってきなよ」

 少年は笑っていたが。その声は少しだけ、震えているように聞こえた。

「――ユウキ」

「うん?」

 俺は今、何を言おうとしたのだろう。と我に返った。

 別れの言葉?

 また帰ってくるという約束?

 いや、今はどれも言うべきものではない。

 ふるり、と首を振った。

「いや、何でもない。――行ってくる」

「うん、いってらっしゃい」

 

「――ツカサ」

「うん?」

「ミア」

「何?」

「キリ」

「うん」

 有樹に背を向けて、リンドは仲間と共に歩き出す。

「行こう」

 自分が生まれ育った故郷。

 カオスガーデンへ。

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