ENDING2 - 1
研究所から脱出を果たした四人と子供達は、崩れ行く研究所をただ眺めていた。
「――ねえリンド」
ぽつりと、口を開いたのは有樹だった。
「なんだ?」
「リンドはさ。これから……どうするの?」
ぐ、と思わず言葉に詰まった。
だが、迷いは捨てなければならない。
カオスガーデンにあるという、浅島研究所へ向かわなければ、ならなかった。
「俺は……俺の故郷へ、行く」
「……そっか」
少年の返事は、簡潔だった。
「ユウキ……」
思わず少年の名を零した。
「ん。なんだよリンド。そんな変な顔しちゃってさ」
リンドを見下ろす有樹は、穏やかに笑っていた。
「リンドはさ、約束してくれたじゃない。傍に居るって」
「だが……!」
「でも」
二人の言葉が、重なった。
「僕を守る為に、一人にしなくちゃいけない事もあるんでしょ?」
「……そう。そう、だな」
リンドも。笑った。笑って、みせた。
「僕は、皆を家にちゃんと帰しておくからさ。安心していってきなよ」
少年は笑っていたが。その声は少しだけ、震えているように聞こえた。
「――ユウキ」
「うん?」
俺は今、何を言おうとしたのだろう。と我に返った。
別れの言葉?
また帰ってくるという約束?
いや、今はどれも言うべきものではない。
ふるり、と首を振った。
「いや、何でもない。――行ってくる」
「うん、いってらっしゃい」
「――ツカサ」
「うん?」
「ミア」
「何?」
「キリ」
「うん」
有樹に背を向けて、リンドは仲間と共に歩き出す。
「行こう」
自分が生まれ育った故郷。
カオスガーデンへ。