1話:部屋は解放されるが、心は解放されず
こんにちは、シキジです。
皆様のご愛読によって、無事に3章を開始することができました。
ヘイサクウカン終幕まで、見守って頂けると嬉しい限りです。
これからもシキジを宜しくお願いします。
2章のあらすじ
シュウキ(木狩)たちは地下室の「動物園のようなところ」を攻略して順調に思えたが、ゲームマスターのルール変更によって、地下室にリスクがあることを知った。
それによってマナ(城松)は個室に閉じこもったと思われたが、そのときからすでに殺されていた。
犯人はカオル(幕明)だったが、動機や仕掛けを明らかにしないまま、彼女の契約である
「涙を流す」
を暗闇の中で破って死んだ。カオルと仲の良かったヒカリ(愛田)とメイカ(梶野)は悲しみに暮れた…。
…
メイカは少しの間泣いた後に言った。
メイカ「…もう大丈夫っす。心配かけたっすね。」
ヒカリ「…無理もないよ。」
ヒカリも悲しみをおさえる雰囲気だった。
ゲームマスター「審議が無事に成功いたしましたので、扉をまた2つ解放します。」
と言い残してモニターが消えた。
イクタ(五月雨)「…どうしようか?シュウキくん。」
シュウキ「あ…」
と俺はカオルの言葉を思い出して…
シュウキ「…とりあえず、一緒に行動しよう。イクタ。」
そこまで知り合えてない人を名前で呼ぶのはまだ抵抗があるが、カオルの意思を尊重しようと思った。
俺はイクタと行動することになった。
俺たちが向かった先には、モニターがいくつもある部屋だった。
エマ(最上)「このモニター、何に使われるんだろうな?」
シュウキ「…12台あるな。恐らく全員で何かを視聴するところだ。」
ランコ(宝井)「あっ、木狩さん。」
イクタ「ランコさん、名前だよ。」
ランコ「あっ。えーと、シュウキさん?」
シュウキ「どうした、ランコさん。」
イクタ「あれ、シュウキくんってさん付けてたっけ?」
シュウキ「無意識だったが、さすがに年上を名前で呼ぶのは勇気がいるからな。」
俺より年上なのは、ランコさんとチュウゾウ(黒山)さん、そして今はもういないがリョウスケ(無藤)さんだ。
…名字だと呼び捨てできる俺はおかしいのだろうか?
ランコ「ここに名前が書かれたDVDがあったのですが、これは…?」
見ると確かにDVDが9枚くらいあった。
エマ「不気味だな。」
シュウキ「…とりあえずここに残しておこう。」
俺たちは解放されたもう一つの部屋に向かった。
俺はそこについた瞬間、驚愕した。
シュウキ「ここって…!」
イクタ「うん。間違いなく《武器庫》だね。」
サイト(複坂)「あれ、二人とも♪」
シュウキ「…サイト、ここに来たのはお前が最初か?」
サイト「おお、名前だ♪うん。多分そうだよ、シュウキくん♪」
イクタ「…何か盗ってないよね?」
サイト「ああっ!ひどいなー、イクタくんは♪何も盗ってないよ♪」
シュウキ「一緒に来い。」
サイト「うん?」
シュウキ「ここに長居すると怪しまれるぞ。」
サイト「ああー…そうだね♪元から怪しまれてるけど。」
俺たちは一度食堂に戻った。
ヒカリ「あっ、シュウキくん。」
シュウキ「2人はなにしてたんだ?」
メイカ「自分たちはここにいたっすよ。」
イクタ「そっか。あと見てないのはチュウゾウさんだね。」
ヒカリ「チュウゾウさんだったら、トオ(一)くんを個室まで送りに行ったよ。」
サイト「トオくん…って誰だっけ?」
イクタ「サイトくん…冗談ならシャレにならないけど。」
サイト「ごめん、ごめん♪冗談だって♪」
イクタ「うん、シャレにならないね…。」
と、そのとき
チュウゾウ「うん?皆集まって何してるんじゃ?」
メイカ「噂をすればなんとやらっすね。」
シュウキ「いや、俺たちも今集まったところだ。それに特に集まった意味はない。」
チュウゾウ「そうか。じゃ、ワシもここでゆっくりしようかのう。」
そして少しの時間が立って…
ランコ「皆様ここにいらっしゃいましたか。」
エマ「皆揃ってるな。」
と、エマが言った。
イクタ「皆いるから、久しぶりに会議しようか。」
《5日目─会議開始─》
サイト「1日目と比べて人数が少なくなったね♪」
エマ「不謹慎だぞ。」
ランコ「ですが、無念にもここまでで3人もお亡くなりになられたのも事実です。」
チュウゾウ「ううむ、どうすればいいんじゃ?」
ヒカリ「とりあえず、契約は全員守ったほうがいいね!」
メイカ「殺人に関しても、する気持ちを起こさないことっすね。」
シュウキ「それはもっともだな。」
イクタ「地下室についても検討してみようか。」
エマ「地下室か…脱出の見込みがあるのはそこぐらいだが、リスクがあるんだったな。」
チュウゾウ「確かそこで死ぬと、もう一人も死んでしまうんじゃったな。」
メイカ「少し危険な道っすね。」
イクタ「そうだね…決心はできないよ。だけど、行くしかないと思うんだ。」
ヒカリ「怖いけど、少しの希望があるのなら…。」
シュウキ「ああ。覚悟を決めよう。」
ランコ「地下室もですが、新しく開いた部屋についても話し合いましょう。」
サイト「あっ、武器庫だね♪」
イクタ「あと、DVDだね。」
シュウキ「まず武器庫から話そう。」
エマ「そこにあった武器は危険度がとても高いものだ。二流の暗殺者だったら使ってるものが多いな。」
ヒカリ「それってまずくない!?」
チュウゾウ「だったら、極力使わないとか言ってる場合じゃないのう。」
ランコ「でしたら、鍵を掛けてその鍵を破壊するというのは?」
サイト「あっ!いいねそれ♪」
シュウキ「おい。」
サイト「うん?」
イクタ「サイトくん、ピッキングできるよね?」
サイト「…ちぇっ、ばれたか。」
シュウキ「小声で言ってるつもりだろうが、聞こえてるぞ。」
メイカ「見張りをつけるべきっすかね?」
エマ「無難なのがそれだな。ちょうど今2人ずつ居る。2人1組で見張ろう。」
チュウゾウ「ワシはシュウキにしようかのう。力と頭脳を足して2で割ったらちょうどええわい。」
シュウキ「そ、そうか。」
サイト「じゃあ僕はイクタくんかな♪男同士の方が良いでしょ?」
イクタ「まあね。いいよ。」
メイカ「ヒカリさん、良いっすか?」
ヒカリ「もちろんだよ、メイカちゃん。」
ランコ「エマさんと良いですか?」
エマ「ああ。よろしく頼むぞ。」
イクタ「見張りは交代制にしよう。表は僕が後から作っておくよ。それまでは僕とサイトくんで見張ろう。」
サイト「ええー。」
ヒカリ「じゃあもう一つの部屋のDVDっていうのは?」
ランコ「合計12枚ありまして、皆様の名前が書いてありました。」
シュウキ「そこに、それが視聴できるようなモニターがあった。」
メイカ「じゃあ、これから皆でそこに行くというのは?」
サイト「いいね、そうしよっか♪」
イクタ「じゃあ見張りはその後だね。」
チュウゾウ「他に何かあるかのう?」
シュウキ「一ついいか?」
イクタ「シュウキくん、どうしたの?」
シュウキ「いや、USBメモリってどこにいったんだろうと思ってな。」
エマ「そういえばなくなったままだったな。」
サイト「あれがあれば、いい情報が入ったと思うのにね…。」
シュウキ「誰も行方知らずか…。」
イクタ「とりあえず、これからモニターの部屋に行こう。残念だけど、USBは諦めよう。」
《5日目─会議終了─》
俺たちはモニターの部屋に向かった。