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ヘイサクウカン  作者: シキジ
ヘイサクウカン 2章
8/37

4話:ぼかされた真実と明白な犯人

前回のあらすじ


木狩は、城松が3日前から死んでいたことを密室トリックを使って説明する。


──────────────────────


宝井「…密室トリックですか?」


複坂「密室トリックかぁ…いやー、かっこいいね♪」


黒山「具体的にはどうやったんじゃ?」


木狩「城松の個室の中には色々な証拠が残っていた。」


五月雨「うん、3つか4つくらいあったよね。」


木狩「これはあくまで憶測だが…」


《密室トリック紐解き》


木狩「まず、鍵の種類はつまみ式で、縦にすると解錠、横にすると施錠ということを踏まえる。」


黒山「一般的な鍵じゃな。」


木狩「そしてつまみの上にあるものをつけた。」


愛田「あるもの?」


証拠9,《砲丸》と証拠10,《糸》と証拠11,《セロハンテープ》 を使用


木狩「セロハンテープで糸をつけた砲丸だ。」


最上「それでどうするんだ?」


証拠12,《面が2つない箱》を使用


木狩「次に面が2つない箱を使って砲丸を支えるんだ。」


幕明「そうか…!そしてドアを閉めて箱を抜いちゃえば…。」


木狩「ああ。密室の完成だ。」


黒山『待てぇーーぃ!!』


──────────────────────


【対議開始】


木狩「ど、どうしたんだ?」


黒山「その仕掛けだけだと、犯人が中にいるままになるはずじゃ!」


木狩「外から箱を外したんだ。ほら、ドアの下は少し隙間があるだろ?そこから箱を押したんだ。」


黒山「じ、じゃが!その仕掛けを作るのに時間を要するはずじゃ!」


木狩「糸の長さの調節や、仕掛けが作動するかの確認、殺人の時間も含めれば確かに時間が足りなくなるかもな。」


黒山「しかも3日前に殺されたとしても夜ご飯の後からじゃ。よって、《就寝時間までに》これを行うのは不可能じゃ!」


鍵生成…


《就寝時間のルール》


木狩『その言葉、俺が解く。』


【対議終了】


──────────────────────


木狩「いや、就寝時間までとは限られないぞ。」


黒山「ど、どういうことじゃ?」


木狩「ルールを覚えているか?」


最上「確か…《就寝時間は個室で過ごすこと》みたいなニュアンスじゃなかったか?」


木狩「ああ。そうだ。」


複坂「あっ、なるほど♪」


愛田「えっ、どういうこと?」


木狩「つまり、《自分の》個室じゃなくても良いんだ。」


五月雨「そんな…ゲームマスター、本当なの?」


ゲームマスター「はい。」


黒山「じゃあ犯人は城松の部屋に居て、仕掛けの準備をしたということか…。」


五月雨「他に何か証拠はあるかな?例えば《本来なくてはいけないものがなくなってた》みたいな。」


木狩「それは…」


証拠7,《なくなったUSB》を使用


木狩「USBメモリがなくなったことだな。」


最上「確か、それを取ると誰かが死ぬんだったか?」


複坂「あれぇ?最上さんってあの場にいたっけ?」


宝井「私があらかじめ全員に伝えておきました。」


複坂「ふーん♪」


木狩「そして、問題点はなぜ取っても誰か死ななかったかだ。」


梶野「もしかしたら城松さんが死んだかも…。」


五月雨「さっきも話した通り、城松さんは即死だったはずだよ。」


木狩「答えは簡単だ。」


木狩(城松以外のこの中で唯一死んだのは…)


証拠5,《ハト》を使用


木狩「死んだのはハトだ。」


愛田「ええっ!?」


木狩「更に言えば、それはおそらく偶然だ。」


幕明「そっか…。偶然でハトが死んじゃったのは悲しいけど、これで他の人が死ななかっただけ良かったよ。」


複坂「…ふふっ、いいこと思い付いちゃった。」


梶野「えっ?」


複坂「ねえねえ!僕犯人分かっちゃった!」


黒山「本当か!誰なんじゃ?」


複坂「ね?…最上さん?」


最上「え…。」


五月雨「…一応聞くけど、なんでそう思ったの?」


複坂「だってさ…城松さんの頭の状態って全部最上さんが言ったことでしょ?」


木狩「…前提が崩れていくってことか?」


宝井「…あの、いいですか?」


複坂「何さー。良いとこなのに。」


宝井「確か皆さんにアリバイを伺いましたよね?」


愛田「あっ、そうだったね。」


宝井「自由行動の時、アリバイが全体的になかったのはわずか1人でした。でも、まだ一さんに伺ってなくて。」


一「…アリバイ…ない。」


宝井「では、2人ですね。」


木狩(もう1人ってまさか俺じゃないか!?)


宝井「しかし、3日前に絞れたということは…」


と、宝井は何かを探す素振りを見せたが…


宝井「あれ、ない?」


愛田「あっ、メモ帳ってわたしが持ってたね。」


宝井「あっ、そうでしたね。」


愛田「えーと、3日前にアリバイが無かったのは4人…いや、一くんで5人だね。」


五月雨「それがあれば犯人を絞れるね。」


愛田「その5人は…梶野さん、幕明さん、木狩くん、わたし、そして一くんだよ。」


黒山「ワシは五月雨と探索をしておったぞ!」


最上「わたしは宝井と梶野と…隣に誰かいたな。」


複坂「それ、僕だよ?」


幕明「複坂くん…最上さんにアリバイがあるって知ってたのに疑ったの?」


複坂「…あっ!」


梶野「…。」


木狩(…待てよ。まさか、犯人は最初から俺たちにヒントを残していたのか?)


五月雨「…木狩くん?」


木狩(でも、これを…この事件を本当に解いてしまって良いのか…?)


五月雨「…木狩くん、分かったんでしょ?犯人が。」


木狩「…ああ。…《分かってしまった》。」


愛田「えっ、本当!?」


俺は間違いであることを信じて犯人を指差した。


木狩「お前なんだろ?…《幕明》。」


幕明「…。」


梶野「…うっす。」


木狩「…えっ?」


梶野「違うっす!!幕明さんは殺してない!殺してないんだ!」


五月雨「そういうことか…。梶野さんもしかして《幕明さんを庇ってた》んだね?」


梶野「…!」


黒山「で、でもアリバイ無しが5人もいるんじゃろ?なぜ幕明だと言い切れる?」


木狩「…金庫の中のハトだ。」


宝井「ハトですか?」


木狩「幕明はハトが居なくなったと言っていたな?でも本当は居たんじゃないか?」


幕明『イリュージョン!!』


──────────────────────


【対議開始】


幕明「…呆れてものも言えないよ。僕は真実を言ってるだけだよ。」


木狩「じゃあどのように居なくなったか聞かせてもらおうか。」


幕明「僕は1人で探索してたんだ。そして、ハトを肩に置いたんだけど急に飛んじゃって…。」


木狩「だけど誰もハトが飛んでるところを見てないんだ。」


幕明「それはたまたまだよ。」


木狩「ちなみにどこを探索してたんだ?」


幕明「僕はUSBメモリのある部屋だよ。調べたら、《USBメモリがなくなってた》ことに気づいたんだ。」


鍵生成…


《USBの犠牲となったハト》


木狩『その言葉、俺が解く。』


【対議終了】


──────────────────────


木狩「さっきの話を聞いてたのか?」


幕明「…。」


木狩「USBメモリがなくなったからハトが死んだんだぞ。ハトが飛ぶことなんてない。」


幕明「ふー…。降参だよ。」


五月雨「認めるんだね?」


幕明「…まあね。」


愛田「幕明ちゃん…どうして?」


幕明「外に出たかったんだ。家族が…待ってるから…。」


黒山「幕明…。」


梶野「なんで…そんな嘘をつくんすか?」


最上「嘘?」


梶野「自分は分かるっすよ、幕明さん…。」


幕明「…。」


梶野「幕明さんは、自分が死なないように城松さんを殺したんす。」


複坂「なるほど、泣かせる話だねー…。」


木狩「…。」


やっぱりこの事件は解いてはいけなかったんだと察した。


木狩「梶野は本当に城松を押して、城松に怪我を負わせた。これは間違いないと思う。」


梶野「…自分は城松さんが怖かったっす。」


最上「なんでだ?」


梶野「自分は、城松さんに包丁を突き立てられたんす。」


宝井「…え?」


複坂「じゃあ殺そうとしたのは城松さんの方だったんだ♪」


梶野「自分は、城松さんを殺したと思ったんす。そして逃げてしまって…。」


黒山「城松が居なくなって不自然だと思わなかったのか?」


梶野「どうせ複坂さんが偽装したものだと思ったんすよ。」


複坂「えー?そんなことしないよ♪」


五月雨「多分、梶野さんが逃げた後に起き上がった城松さんを目撃した幕明さんは、梶野さんが殺そうとしたと察したんだね。」


木狩「そして、城松をハンマーで殺して犯人を自分にした。」


最上「城松は瀕死状態だった。ほっといても死んでいた可能性が高い。そうなると梶野が犯人になる。梶野を庇って自分を犯人にして犠牲にするなんて…。」


愛田「じゃあ幕明ちゃんは、梶野ちゃんを庇うために…?」


木狩「それもあったと思うが、幕明、他の目的ってもしかして…《審議の延滞》なのか?」


宝井「審議の延滞とは何ですか?」


五月雨「つまりは城松さんの死体を隠すことで、次に事件が起こった際の審議を、城松さんの処理がまだだから《先延ばしになる》ってことかな?」


幕明「…どうかな?」


梶野「えっ?」


幕明「すべて君たちの推理に過ぎないよ。僕が梶野ちゃんを犯人にして自分が生き残るためっていう可能性もあるよね?」


黒山「なんか頭がこんがらがってきたのう…。」


木狩「…一度話をまとめよう。」


─事件の流れ─


事件の発端は3日前に遡る。夕食の後、城松の提案で俺たちは自由行動にした。しかし、これは城松の作戦だったかもしれない…。なぜならこの事件は紛れもない、今回死んでしまった《城松が企てた》ものなんだ。


まず、城松は梶野をUSBのある部屋に呼び出した。なぜ梶野なのかは今となっては分からないがな…。恐らくその時に、城松は梶野を動揺させる目的で《USBを取った》んだ。自分が死ぬかもしれないというリスクがあるにも関わらず…。


同時に、犯人の近くに居た《ハトが死んだ》んだ。犯人は驚いただろうな。


しかし、城松としては作戦通りだった。梶野を動揺させ、自分は死ぬことが無かったからな。あとは包丁やらなんやらで梶野を殺すだけだった。しかし城松にとって最悪の事態が起こったんだ。


なんと梶野が抵抗をして、城松の体が飛ばされたんだ。そして、城松は《テーブルの角に頭を打ち付けた》んだ。その時、《城松は気絶してしまった》。


梶野は気が動転して、《城松を殺してしまった》と思ったんだろうな。梶野は城松が持ってた凶器などを奪って逃げたんだ。


犯人の視点で見てみよう。犯人は突然ハトが死んだのはおかしいと思い、何かあったのかと急いで探索したんだろうな。そして、城松が倒れてる姿を見てしまった。犯人が本当に死んでるか確認する前に、城松が《最後の力を振り絞って立ち上がった》んだ。


恐らく城松はその時、梶野の名前を呼んだんだと思う。それを聞いた犯人は咄嗟に、《梶野がやったんだと察した》んだ。犯人は手当てをするという口実で急いで器具室へ向かった。だが、犯人が持ってきたのは《ハンマー》だ。


犯人は、《立ってる状態の城松をハンマーで殴り殺した》。その時に返り血があったと思うが…恐らくどこかのタイミングで着替えたんだろうな。城松は《頭が陥没して即死した》らしい。ただ、犯人はその瞬間驚くようなことを考えたんだ。


それは《審議の延滞》だ。つまり、次に事件が起きても、城松の事件の審議が優先されて、その事件の審議が行えないと思ったんだ。


そのため、現場の証拠隠滅を行った。俺たちに誰か死んだと思わせないためにだ。しかし犯人は一つのミスをしてしまう。それは、《テーブルの血に気づけなかった》ことだ。テーブルは時限式だったため、《一定時間たったら仕舞われる仕掛け》だったからだ。そのせいで俺たちに城松が死んだと思われてしまったんだ。


そんなミスも露知らず、犯人は事件の隠蔽に入った。まず、城松の体を図書室の金庫の中に入れる。その後に返り血がかかった服を自分の個室で着替えたんだと思う。その状態で辺りを歩くのはリスキーだからな。


次に《大量のドライアイスと芳香剤》を入れた。これは《城松の体を腐らせず、匂いを誤魔化すため》だ。その時に《凶器のハンマー》と、《自分が犯人だと分かりやすくするためにハトを入れた》。


次に、城松がまだ生きてるという偽装工作を行った。犯人は城松の個室に《城松は個室の中にいると思わせるメモをつけた》。まあ本文は、「うちは、もう嫌なんや。こんな、いつ殺されるかわからんデスゲームなんか。もう、構わんでくれ。」だったと思う。


そして犯人は器具室から《砲丸、糸、セロハンテープ、そして面が2つない箱》を持ってきた。糸を切るためにもハサミも持っていったと思う。これらを使って城松の個室を密室にしようとしたんだ。


しかし、もちろんその前の隠蔽も楽ではなかった…時間が足りなくなってしまったんだ。ただ犯人は、ルールの穴を見つけた。それは、《就寝時間は個室で過ごすのであれば誰のものでも良い》ということだ。


犯人は個室を密室にするためにまず、《つまみ式の鍵に糸をセロハンテープでとめた砲丸をつけた》。糸は、鍵から床までの長さより少し短くした。そうすることで、砲丸が落ちると、鍵が回って閉まるようにした。次に、《面が2つない箱の上に砲丸を乗せた》。なぜその箱なのかは後で犯人に聞くとしよう。そして何度か仕掛けが作動するかを確認しつつ城松の個室で夜を就寝時間を過ごしたんだ。


後は就寝時間後に、箱の上から砲丸をずらさないようにしつつ、個室を出て下のドアの隙間から箱を押して外した。砲丸は落下して鍵がうまく閉まったんだ。その際、音が出たかどうかわからないが、多分誰にも聞かれなかったと思う。後は俺たちと合流するだけだ。


しかし、たった一つのミスで俺たちに事件を気づかせてしまったその犯人…


それは、幕明まくあけ かおる、お前以外に考えられない!


─────────────────────


木狩「…俺の推測も交えて話したが、何か異論はないか?」


愛田「幕明ちゃん…。」


幕明「…やっぱ凄いね。《ほとんど》合ってるよ。」


梶野「…ほとんど?」


幕明「さっきも言ったけどさ、僕の動機は審議の延滞やら、梶野ちゃんを庇おうとかじゃないかもよ?」


五月雨「じゃあ動機は何だったの?」


幕明「ふふっ、《教えないよ》。」


黒山「それはまたなぜじゃ?」


幕明「みんな忘れたの?僕はマジシャンだよ。マジシャンはね、トリックのタネも仕掛けもぼかしてしまうんだ。」


宝井「つまりどういうことですか?」


幕明「僕は、《この事件の動機も、きっかけもぼかして逝くよ》。」


木狩「とにかく、この審議を終わらせよう。」


──────────────────────


木狩「ゲームマスター、この事件は《幕明が城松を殺した殺人事件》だ。これが、俺たちの結論だ…。」


──────────────────────


ゲームマスター「…またまたご名答です。その通りでございます。」


梶野「…幕明さん。」


幕明「あはは、うまく行くと思ったんだけどなー。」


複坂「ねえねえ、話変えるけど良い?じゃあ変えるけどさ、梶野さんはなんで幕明さんがやったって分かったの?」


最上「それはわたしも思ったことだが、今このタイミングで言うのか?」


複坂「だって気になっちゃって♪」


梶野「あの密室トリックは図書室の本で、愛田さんと、自分と、そして幕明さんで見たものだったっす。」


愛田「わたしはてっきり他の誰かが読んだのかなって思ってたんだけど、今考えたらずっと私たち図書室に居たしね…。」


梶野「…幕明さんは最初から自分たちにヒントをくれてたんすね。でも、自分のせいで…幕明さんは…。」


幕明「自分のせいだと思うな!」


梶野「!」


幕明「僕が決めて、僕がやったことだなんだ。そこに理由なんてないんだよ…!」


黒山「…梶野、それが幕明の覚悟じゃ。」


梶野「でも、…でも!自分は信じたいっす!幕明さんが自分を助けてくれたって!…動機も、きっかけも教えてくれなくても、自分は信じたいっす!」


幕明「そっか…。」


ゲームマスター「お取り込みのところ申し訳ございません。」


幕明「…。」


ゲームマスター「犯人は幕明様でした。幕明様は、自らの契約を破ってください。理由としては、もし契約以外で死んでしまったらまた誰か死んでしまうからです。」


木狩「…ここの決まりだな。契約で死ねば誰も死ぬことはない。」


幕明「契約…か。」


ゲームマスター「しかし、そのまま発動するのは少し物足りないと察しております。したがって、幕明様にある権利を差し上げましょう。」


五月雨「権利?」


ゲームマスター「《私が受け入れることができる範囲での私への命令を一つ受け入れましょう》。」


複坂「へー、じゃあこのゲームを終わらせてって出来るの?」


ゲームマスター「それは受け入れかねます。」


木狩(命令を考えるのは幕明だが、それを受け入れるかどうかを決めるのはゲームマスターってことか。)


幕明「僕、決めたよ。」


梶野「ま、幕明さん?」


幕明「…あのさ、その前に皆に言いたいことあるんだけど。」


愛田「皆に?」


幕明「…皆名字で呼んだりするのやめない?」


宝井「…え?」


突然のことで皆は驚いていた。もちろん、俺もだ。


幕明「固っ苦しいじゃん、そんなの。それって、まだ顔色伺ってるの?って感じだよ。これが僕が前々から思ってたことだよ。…それが僕の最後の《皆への》お願いだよ。」


梶野「まく…カオルさん。」


幕明「ほらメイカちゃん、また名字で呼ぼうとしてたしょー?」


梶野「…。」


幕明「…もうそろそろ良いかな?」


愛田「…カオルちゃん、わたしまだ一緒にいたいよ。」


梶野「自分もっすよ!」


幕明「ごめんね、ヒカリちゃん、メイカちゃん。」


と、幕明…いや、カオルは決心したような顔立ちになった。


幕明「…《ゲームマスターへの》お願いはね、[10分間だけ周りの電気を切って]だよ。」


ゲームマスター「…監視カメラは暗視機能がありますのでそれでも良ければ。」


幕明「うん、それでいいよ。」


とカオルが答えた瞬間、プツンと、辺りが暗闇になった。まるで体の感覚でさえ麻痺してきそうだった。


幕明「メイカちゃん!ヒカリちゃん!皆!」


梶野「カオルさん…?」


幕明「ありがとう!僕、人生で一番最高の毎日を過ごせたよ!僕、外の世界に居ると楽しくなかったから!だから、ありがとう!」


愛田「…カオルちゃん。」


梶野「…ごめんなさい!カオルさん…!カオルさん…。」


幕明「メイカちゃん…どうしても自分を責めるなら、皆を助けてあげて。メイカちゃんはそれが出来る人だから…。」


と少しして、バタンと何かが倒れる音がした。


さらに少しして、明かりがついた。突然ついたために目が慣れなかったが、全員、カオルが倒れてることに気がついた。


梶野「カオルさん…。」


ゲームマスター「幕明様の契約、《涙を流すことの禁止》が破られました。そして、新しい部屋を解錠しました。」


と、言い残してモニターは消えた。


愛田「マジシャンは涙を見せない人なんだって、カオルちゃんが言ってたよ。」


梶野「…自分、カオルさんの最後の言葉、しかと受け止めたっす。この運を、全力で助けるために使うっすよ。だから、こっちも言いそびれたことを聞いてほしいっす…。」


梶野「…カオルさん、ありがとうございました。」


と、メイカは泣きながら答えていた。その場の静寂を打ち消すかのように…。

こんにちは、シキジです。


皆様によるご愛読のおかげで2章が完結することができました。本当にありがとうございます。


正直に申しますと、この小説は10人くらいしか読まれないだろうな…と思っていました。しかし読んでくださる方が想像よりも多く、とても喜びを感じました。


これからもっと知名度が上がることを期待して、3章の作成をさせて頂くので、またご愛読のほう宜しくお願いします。


これからもシキジを宜しくお願いします。


改めて、ここまでのご愛読ありがとうございました。

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