7話:過去は全てに足枷をはめる。
前回のあらすじ
ゲームマスターの正体がシュウキの実兄である、ユウヤだと判明した。
ユウヤ「…思い出したか、シュウキ。」
ユウヤは不敵な笑みをして言った。
シュウキ「…なぜ兄貴が?」
トオ「…えっと、ユウヤくん…だったっけ?」
ユウヤ「いや。俺のことはいつも通りゲームマスターと呼んでくれ。」
ランコ「えっと、ゲームマスターの正体がシュウキさんのお兄さん…ということですね?」
ユウヤ「うん。いかにも。」
シュウキ「どうして兄貴がこんなゲームをするんだ!」
ユウヤ「冷静になれよシュウキ。それは推理していけば解ることだ。」
ヒカリ「…とりあえず、他のことも話していこうよ。」
シュウキ「…そうだな。」
とりあえず、1つ目の謎は解いた。次に2つ目だな。
…裏切り者の正体だ。
シュウキ「裏切り者の正体に近づこう。」
トオ「そうだね。…ゲームマスター、結局のところ裏切り者ってどういう意味?」
ユウヤ「…裏切り者は、《敵》とは違うかもな。」
ヒカリ「敵じゃない?」
ランコ「つまり裏切り者はゲームマスター側ではない…そのためにすでに《死んでいる可能性》も?」
ユウヤ「否定はしない。所詮、《裏切り者もゲームの参加者》だ。」
シュウキ「…ということは。」
証拠12,《名簿の正体》を使用。
シュウキ「この名簿のどこかに居るということか。」
ユウヤ「まあ、それどころか、12人の誰かなんだがな。」
シュウキ(これは、裏切り者について色々知る必要があるな。)
シュウキ「裏切り者は、《前回のゲームに居たか》?」
ユウヤ「うーん…。結論からいうと、《三角》だ。」
トオ「三角?はいか、いいえのどちらでもない?」
ユウヤ「質問が不十分だ。」
シュウキ(不十分…?)
ランコ「裏切り者は《1人》ですか?」
シュウキ「…そうか!ゲームマスターは裏切り者は1人と言ったことは無かった!」
ユウヤ「…《いいえ》。いい質問だ。」
ランコ「じゃあ、2人?」
ユウヤ「《はい》だ。」
シュウキ「俺達12人の中に裏切り者は2人居たということか。」
トオ「あのプレートはなに?」
ユウヤ「…前回のゲームの参加者の名前だ。名簿にも×と書いてあるはずだ。」
シュウキ(そういう意味の×だったのか…)
ヒカリ「…。」
トオ「ヒカリさん?」
ヒカリ「…これにどうしても答えてほしい。《裏切り者には自分が裏切り者という自覚がある》の?それと、《今までのゲームの参加者は一定して12人》?」
シュウキ「…何?」
ヒカリがなぜその2つの質問をしたか分からない。だが…
ユウヤ「答えたくはないが、サービスだ。…1つ目はいいえだ。《裏切り者には、裏切り者の自覚はない》。2つ目ははいだ。《ゲームは常に12人だ》。例外はない。…もうしばらく答えないからな。」
ヒカリ「…やっぱり。」
シュウキ「ヒカリ、どういうことだ?」
ヒカリ「…裏切り者は、《わたし》だ。」
シュウキ「…。」
薄々分かっていた。《愛田のプレート》があった時点から…。しかし、
シュウキ「お前は確実に前回のゲームの参加者だよな?どうして《自覚がない》?」
それはユウヤの質問の答えから導かれる事実だ。
ヒカリ「…そんなことより、なんで《プレートの数が11個か》を考えてみて。」
ランコさんは何かを察したのか、口を開いた。
ランコ「…確かに、プレートは11個で、ゲームの参加者は12人。なぜ1人分足りないのでしょう。」
トオ「言われてみれば…そうだね。なんでなんだろう。」
シュウキ「…そういうことなのか?」
ランコ「シュウキさん、分かったのですか?」
シュウキ「多分な。」
証拠1,《愛田のプレート》を使用。
シュウキ「…愛田と書かれたプレート。あれは《1つで2人分》だからだ。」
正確には《愛田●●の部屋》と書かれていた。●●には《兄妹》が入るということだ。
トオ「…そうか!《ヒカリさんのお兄さん》だ!」
ランコ「兄妹でこのゲームに…!」
ヒカリ「…だったら、もう分かるんじゃない?《裏切り者の正体》。」
シュウキ「…?」
いまいちピンと来なかった。
シュウキ「まだ分からない。証拠が…」
ヒカリ『伐採の時間だ。』
──────────────────────
【対議開始】
シュウキ「ヒ、ヒカリ…?」
ヒカリ「…分からない?そんなはずはない。」
シュウキ(ヒカリの様子がおかしい。…なにがあった?)
ヒカリ「裏切り者の1人はわたし。じゃあもう1人はどんな人だと思う?」
シュウキ「…多分、前回のゲームの参加者か?」
ヒカリ「その名前は?」
証拠2,《塗りつぶされたプレートと手記》を使用。
シュウキ「プレートが前回の参加者の名前だとしたら、塗りつぶされたプレートのやつだ。正確な名前までは分からないが…。」
ヒカリ「じゃあ、前回のゲームはどんなルール?」
シュウキ「それは、今回と同じと言っていただろう?」
ヒカリ「じゃあそのルールって?」
シュウキ「簡潔に言えば、誰かを殺して、審議を乗り越えればここから出られる。」
ヒカリ「それだけじゃない。今回の例外を除いて、他にどんな脱出方法がある?地下室は除いて。」
ランコ『助言させてください!』
ランコ「ルールでは、このゲームの《終了条件》が…どうでしたっけ?すみません、肝心なところを…。」
シュウキ『その言葉、使わせてもらう。』
【対議終了】
──────────────────────
シュウキ「…そうか。《2人になったら強制終了》するんだったな。」
ヒカリ「じゃあ、前回はどんなことが起きて、今回にどう影響した?…もちろん、分かるよね?」
─前回のゲームの流れ─
まず、愛田兄妹や、もう1人の裏切り者を含めた12人が2人になるまで殺し合いをした。その結果、2人になったのはヒカリと、もう1人の裏切り者だ。
その2人がどうなったか…もちろん、ここから脱出!…なんてできなかったんだ。
次のゲームで《裏切り者》として、ゲームを始めさせられることになった。前回のゲームの記憶を消された状態でだ。
つまり、裏切り者の正体は、《その前回のゲームの生き残り》だ。
──────────────────────
シュウキ「そういうことか…。」
あの時、ゲームマスターが質問が不十分と言ったのは、前回にも裏切り者は居るが、今回の裏切り者と同一人物ではないからだ。
ヒカリ「…そして、もう1人。誰か分かる。」
トオ「本当!?一体誰?」
ヒカリ「プレートのあった部屋、わたしは農業に関係するところだった。そして、あの塗りつぶされたプレートの部屋、本がたくさん並べられていた。」
ランコ「確かにそうでしたね。しかし、どれも情報には…」
ヒカリ「それが情報になるかどうかなんてどうでもいい。その本の《内容》だ。」
シュウキ「…!」
ヒカリ「全部、全部全部!」
ヒカリは俺を見て言った。
ヒカリ「…《推理小説》なんだよ。」




