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ヘイサクウカン  作者: シキジ
ヘイサクウカン 6章
29/37

4話:映像は迷宮入りを促す。

前回のあらすじ


シュウキたちは、最終審議への調査の2日目で様々な証拠をメモした。


俺は起床すると、例の通りに食堂に向かった。


ヒカリ「今日も探索だね…。」


トオ「…うん。」


さすがに2日間の探索で疲労が溜まっているみたいだ。


シュウキ「…今日は早めに切り上げよう。いざ最終審議で、うまく思考がまとまらなければ意味が無くなるからな。」


ランコ「そうですね…。でも、気は抜かないように集中して調査しましょう。」


ランコさんの言葉に頷いて、俺達は調査を始めた。


まず地下室へ向かったが…


シュウキ「扉が閉まってるな。」


ゲームマスター「地下室はもう用済みだと思いまして、封鎖させていただきました。」


モニター越しにそう言った。


ヒカリ「うわっ!びっくりしたぁ…。」


トオ「ここに証拠があるかもしれない。開けてくれないかな?」


ゲームマスター「ここに証拠はございません。あなた方の手の届く範囲に、すべての真実があります。」


ランコ「信じても宜しいのですか?」


ゲームマスター「はい。保証しましょう。」


俺達はゲームマスターをとりあえず信じることにし、他のところへ向かった。


基本的に何もない部屋には本当に何もなかった。


武器庫には上に「夜風の部屋」という、カラオケボックスには「音浦の部屋」というプレートがあっただけだった。


俺たちが核心に迫ったのは、視聴覚室に着いたときだ。


ヒカリ「そういえば、ここには変なDVDがあったよね。」


トオ「…DVD?」


ランコ「そういえば、トオさんはその時居ませんでしたね。自分の大事な場所が襲われたりなど、外の世界で起こっていることがそこに記録されているのです。」


シュウキ「そういえば、どうしてあの時DVDの中身を言わなかったんだ?」


ヒカリ「ここだけの話、その時わたしは皆を完全に信用してなかったし、故郷とか、自分の情報をばらすのには抵抗があったからね。」


ランコ「私も同じような意見です。それに、あれを観た後、気分がすぐれなかったので…。」


シュウキ(大体俺も同じだ。)


トオ「僕も観てもいいかな?そのDVD。」


シュウキ「ああ。…俺達は観ないほうがいいか?」


トオ「いや、一緒に観よう。…覚悟はしているし。」


そしてトオは再生した。


──────────────────────


冬の時期なのか、雪が降っている。塗りつぶされた人が、そんな街を歩いている。


その街も繁華街というわけでは無さそうで、場末のようだった。


その人は徐々に体力を削られているらしく、千鳥足のようにフラフラだ。


そして…


バタッ


意識を失ったように倒れてしまった。しかし、誰もその人を見向きもしない。


ただ、雪の中に埋もれていくだけだった…。


──────────────────────


シュウキ(塗りつぶされた人は1人だけか。俺が3人もいたのはやはり異常なのか?)


トオ「…?」


ランコ「トオさん?」


トオ「ああいや、僕はこんな場所も知らないし、何かの情報を掴めた訳じゃないけど…。」


ヒカリ「…けど?」


トオ「塗りつぶしてあるってことは、何か観られたらまずい人物なのかな?」


ランコ「それに、暮らしていた場所が映される訳ではないのですね。」


シュウキ「…気が引けるが、他の人のDVDも観てみるか?」


全員悩みつつ頷いたので、俺達は一つ一つ見ていった。


その時、不思議なことがあった。


例えば、カオルとメイカのDVDを観たとき、《ほとんど同じ場所であり、塗りつぶされた人の数も共通していた》。なんなら、ほとんど同じような映像だ。


ヒカリ「どういうこと?DVD間違って同じの2回入れてないよね?」


確認してみても、カオルとメイカそれぞれのDVDだった。


また、サイトとエマも同様だった。


ランコ「これもですね。」


トオ「ペアとかなのかな?カオルさんとメイカさんとかサイトくんとエマさん…っていう。」


そして…


俺はあるDVDを観て言葉を失った。


…イクタのDVDだった。


そこには、《俺の住んでる地区の映像が流れた》。


シュウキ「…は?」


さらに、塗りつぶされている人の数がわずか1人のみだった。


シュウキ「これって…?」


これまでは場所が一致していたら、塗りつぶされている人の数も一致していた。それなのに、どうして俺とイクタだけ人数は違うのだろう?それに、映像も全然違った。


シュウキ(全く分からなくなってきた…。)


ランコ「シュウキさん?どうしたのですか?」


俺はこの状況を説明した。


トオ「…抽象的にいうと、シュウキくんとイクタくんはペアであり、ペアじゃないってこと?」


ヒカリ「うーん…もう分からない!」


ランコ「少し考えなければいけませんね。」


俺は全員分のDVDを観て他のところへ探索しに向かった。


…しかし、もう調べられる部屋が無くなった。


俺達は遂に全てを調べ終えたのだ。そのため、一度食堂に向かった。


食堂にて…


シュウキ「朝の通り、少し早いが探索の結果をまとめよう。」


ランコ「武器庫やカラオケボックスにもプレートがありましたね。プレートのある部屋は塗りつぶされたものを含めて、《合計で11部屋》でした。よって11人分みたいです。…私達の初期人数は12人です。なぜ、《1人少ない》のでしょうか?」


トオ「僕のDVDには《僕自身すら知らない場所》が映っていたね。あれはみんなにここを出る動機とかを与えるものじゃないとしたなら、《どういう経緯で置かれた》ものなんだろう?」


ヒカリ「カオルちゃんとメイカちゃん、サイトくんとエマちゃんは《ほとんど同じような映像》だったね。なんでこのペアなんだろうね。」


シュウキ「俺とイクタは《場所は同じだが、塗りつぶされた人数は違った》。《映像すら異なっていた》から、気になるポイントではあるな。」


俺は《プレートの部屋数》、《人数の差》、《知らない場所》、《DVDの経緯》、《同じ映像》、《シュウキ・イクタ間の違い》をメモした。


シュウキ「この後から自由行動にしよう。…無理はしないようにな。」


トオ「僕は探索するから、何かあったらメールで伝えるからね。」


ランコ「私は少し自分なりの考えをまとめておきますね。」


ヒカリ「少し疲れたから個室で休むよ…。」


そうして俺達は別れた。


シュウキ(…そうだ。)


俺はゲームマスターに訊きたいことがあった。


シュウキ「…ゲームマスター、お前の《好きな食べ物》をもう一度言ってくれないか?」


モニターが付いて、ゲームマスターが現れた。


ゲームマスター「…《3と5が入って、右下方向に辺がはみ出した四角と除法が組合わさったモノが作るもの》です。」


シュウキ「…もし、俺がそれを解くことができたら、真相に近づくのか?」


ゲームマスター「…なんとも。」


シュウキ「…そうか。それと、この手紙についてだ。」


俺は、最初に俺の個室にあった謎の手紙を提示して言った。


ゲームマスター「…それは、私も認識してないものです。…有力な証拠ですね。」


シュウキ(この手紙を読んで言っている。…この手紙が何か分かれば…。)


俺は、《ゲームマスターの好物》と、《手紙》をメモした。


もう、何も探索することはない。今までの証拠をまとめる。


俺は個室にこもって考えていた。


どのくらい経ったのだろうか。突然アナウンスが鳴った。


ゲームマスター「明日の9時に最終審議を行います。場所はその30分前にモニターに掲示しますので、時間通りにお越しいただきますよう、宜しくお願い致します。」


俺も疲労が溜まっていたのか、いつの間にか寝てしまったようだった…。

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