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ヘイサクウカン  作者: シキジ
ヘイサクウカン 5章
25/37

7話:その少年はまるで、狂ったピエロを演じていた役者だった。

前回のあらすじ


シュウキは事件のまとめを始めた。



─事件の流れ─


事件の発端としては、およそ2週間前くらいだ。サイトは器具室の部品を組み合わせてパソコンを作った。そのパソコンを使って《遅延型の電子ウイルス》を送ったんだ。時間はかかるが、その代わりに潜伏性は優れていたんだろうな。


そしてイクタの審議のあと、サイトは自ら裏切り者と名乗り、あたかもルールを支配しているように見せた。だが実際はルールを使って、ゲームマスターを支配していたんだ。


ルールというのは、俺達4人とサイト1人との殺し合いだった。そしてサイトが死んだときにゲームマスターとの直接交渉権を手に入れることができるというものだった。


しかし、サイトはその2日後にルールを変更すると宣言した。内容は、《明日の午前にルールを消去して、午後にルールを復元する》というものだった。


俺達はそのとき、ルールの無い時間帯、つまりはルール消去されたときから復元されるまでの間でサイトを捕まえてゲームの真相、この施設からの脱出方法などを知ろうと思っていた。だが、その考えすらもサイトの思惑通りだったんだ…。


そしてその日がやって来た。サイトはあらかじめいくつかの準備を行っていた。カラオケボックスと食堂、そしてミシンの上にそれぞれメモを貼って、そのメモの一つででサイトの契約が《血を流すことの禁止》と分かったんだ。


そしてサイトの個室の、3つの封筒を準備し、ミシンのトリックに必要な《グラス》と《テープ》をもってきた。


ミシンのトリックを細かく説明しよう。まず《縫い糸が少ない状態》でミシンを準備し、《2本の帯》を少し縫い合わせておいて、テープでグラスをつける。最後にペダルを固定しておいて、棚の上に置いておき、棚の下の辺りに《マイク》を置けば完成だ。


ミシンは帯を自動的に縫っていき、帯が落ち、グラスが割れて、マイクがその音を拾うという仕掛けだ。ミシンを最も遅く縫うように設定しておけば、その分時間が伸びてより

時間のズレが生じやすくなる。実際にそういう設定になっていたからな。


そして、仕込んでおいた電子ウイルスが発動した。その機能は《停電》だ。15分ほどだが、それで監視カメラも、モニターも止まったため、ゲームマスターはその間、状況を知ることができなくなっていた。


サイトはその間、《針》を自分の手袋の中に仕込んだ。もちろん、ゲームマスターはそれを知らない。


そしてサイトは梯子通路に向かった。そしてサイトは《12時ちょうど》にルールを変更した。12時は《午前12時》であり、《午後0時》だ。つまり、サイトはルールを消去せずに復元だけ行った。よって、ルールが2種類混ざってる状態になったんだ。


その直後、サイトは飛び降りた。そしてゲームマスターに気づかれないように、針を自らの手のひらに刺したんだ。サイトは手先が器用なほうだったため、片手でも刺すことができたんだ。その瞬間にサイトの契約である、《血を流すことの禁止》が破られて、サイトは《落ちている途中で死んだ》んだ。


しかしゲームマスターの視点から見たら、サイトが頭を打ち付け、それと同時に血が流れたためどちらで死んだのか分からなくなってしまったんだ。


これで、ゲームマスターを《ゲームを支配している立場から引きずり下ろす》ことができたんだ。


ルールを2つ混ぜたのは、サイトが死んだら、俺達に直接交渉権を与えることができるし、審議でゲームマスターを罷免することができるからだ。


サイトが作った仕掛けはまだ続いていた。ミシンのトリックが発動したんだ。発動したのは午後1時半だ。グラスが割れて、マイクが音を拾った。音は当然、ステレオのあるカラオケボックスから出た。


俺達はそのとき、サイトを捕まえようとしていたため、グラスが割れた音を頼りにしてカラオケボックスまでたどり着いた。俺達はサイトはまだ生きているものだと思っていたが、全くお門違いだったんだ。


そして俺達はサイトのメモで誘導され、サイトの死体を発見した。


──────────────────────


シュウキ「…どうだ?ゲームマスター。俺達はお前のたどり着かなかった真実を突き止めたぞ。」


ゲームマスター「…はっ。」


トオ「…?」


ゲームマスター「はははははっ…!」


ゲームマスターは笑っていた。…楽しそうに。


ゲームマスター「…ここまで追い詰められたのはこのゲームが初めてですよ。」


ヒカリ「…これからどうするの?」


ゲームマスター「いいでしょう…!ルール通り、《直接交渉権》をお渡ししましょう。」


ランコ「本当ですか!?」


ゲームマスター「私と皆様で《最終審議》を始めます。内容は、《このゲームの全ての真相、私の正体、裏切り者は誰か》の3つの議題を話し合います。一番優秀だった人には、《新しいゲームマスター》となります。」


シュウキ「新しいゲームマスター…それって、ゲームを終了する権利も…」


ゲームマスター「はい。所持しています。しかし、この3つの議題のうち1つでも間違えれば、最終審議は終了。ゲームに戻って頂きます。」


トオ「でも、僕たちは何も情報を持っていないよ。」


ゲームマスター「なので、全ての部屋のロックを解除します。このゲームの情報に関わることもあるので、お探しください。それと、《その封筒》にも何か書いてあるのでは?」


シュウキ「…そういえば。」


俺は思い出したようにサイトの封筒の2つ目「審議の直後に読むこと」を開けて読んだ。


──────────────────────

どうだった?僕のトリックは。まあ、シュウキくんなら分かったよね♪あのトリックは苦労したよー!まあ、ゲームマスターの意識を散らせるためだったんだけどね♪


…実を言うとね、僕が今まで審議のときとかであんな風に振る舞ってたのは、このときのためだったんだ。


本当は皆と仲良くしたかったし、もっと話したかった。でも、狂ったキャラを演じるしかなかったんだ。もしかしたらそんな本当の僕こそ狂ってるのかもね。


最後の封筒にすごい情報あるから楽しみにね♪


──────────────────────


手紙には水で濡れたような跡があった。


シュウキ「…。」


言葉を失った。サイトの本心など考えもしなかった。…本当はこう思ってたのか?


ランコ「結局、最初からサイトさんは私たちのことを考えて行動なさってたんですね。」


ゲームマスター「…最終審議は3日後です。それまでに準備を。」


今やゲームマスターの声すらも虚しく響いていた…。

こんにちは、シキジです。


5章はいかがでしたか?サイトくんの性格が分かるような章でした。


6章は最終章になります。


もう1つ情報を。


ヘイサクウカン完結後、ヘイサクウカン2の投稿を新しく開始します。良ければ2も見て頂けるとこの上ない幸いです。


これからもシキジを宜しくお願い致します。

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