1話:その少年はまるで、浮世で笑う夢魔の複製だった。
こんにちは、シキジです。
5章の開幕です。全体的に短くなる予定なので、1話1話の文字数も少ないです。
5章は「トリッキー」をイメージしています。読者様の予想を覆せるように頑張りたいと思います。
これからもシキジを宜しくお願いします。
4章のあらすじ
ゲームマスターの悪巧みによって、《報道ゲーム》が始まった。シュウキは野次馬という、何も効果がない役職だった。メイカは被害者、イクタは第一発見者、サイトは殺人鬼という役職を与えられた。
そして、サイトの提案によりシュウキたちは、地下室の試練である《玉集め》を命からがらクリア。さらにゲームマスターから、試練はあと2つだと告げられる。
すべてが順調だと思われたのだが、そこでメイカが殺されるといった事件が起きてしまった。その犯人はイクタのもう1つの人格、《アツキ》だった。
アツキはイクタと真逆の性格で、残虐で自己中心的なサイコパスだった。さらに、アツキとサイトは協力関係だった。
イクタは、ゲームマスターと《真実を少し話すこと》を約束し、イクタの契約である《契約を全員に知られることの禁止》を声に出して叫び、なんとか審議が終わったが、重たい雰囲気がシュウキたちを襲っていた。
俺達は、モニターが消えても動けなかった。
ランコ「イクタさんは…何も悪くないじゃないですか…。」
トオ「イクタくん、僕たちに相談してくれれば良かったのに…。」
シュウキ「…恐らく、無理だったんだ。相談してしまえば、その瞬間にアツキになって大量虐殺する。」
ヒカリ「…わたし、誰に怒れば良かったの?アツキなんて人、初めて知ったし…。」
サイト「ははっ!アツキくん、いい性格だったのに…死んじゃった♪」
サイトは笑みを浮かべていた。
シュウキ「…。」
トオ「…。」
もう、ここにいる全員がサイトのことを100%信用しなくなった。サイトはそれに気づいたのか、無表情で言った。
サイト「もう…分かってるんだろ?僕が《裏切り者》だってことにさ。」
ヒカリ「本当に、君が裏切り者なの?」
サイト「そうだよ♪僕はゲームマスターと繋がってる…グルなのさ♪」
ランコ「じゃああなたは、ゲームの真相も、ゲームマスターの正体も…?」
サイト「まあ…ね♪」
シュウキ「お前は何が目的なんだ!?皆が苦しんでるんだぞ!?」
サイト「ははっ!《それが楽しい》んじゃん♪」
シュウキ「何…?」
トオ「君には、今すぐ、この場で、このゲームの真相を全部吐いてもらうよ!」
サイト「はぁ?誰相手に言ってんのさ。そう簡単に言うわけないじゃーん!」
シュウキ「じゃあ、お前に聞きたいことがある。」
サイト「なーに?」
シュウキ「俺は武器庫を隅々まで調べたはずだった。その時は隠し部屋なんてなかった。だが、お前は、審議の前に隠し部屋を見つけた。…開く条件はなんだ?」
サイト「じゃーん!これなーんだ?」
と、サイトは《リモコン》のようなものを見せびらかした。
サイト「これで扉を開閉出来るんだー♪僕はこれを使って、《わざと》皆に隠し部屋を見つけさせたんだよ♪僕って偉い!」
ヒカリ「そのリモコンはどこにあったの…?」
サイト「え?最初からあったよ♪」
トオ「最初からってどういうこと?」
シュウキ「そうか。武器庫が開いたとき、最初に武器庫に来たのはお前だった。そのときに盗ったのか。」
サイト「そうだよ♪だから、皆このリモコンの存在どころか、隠し部屋の存在そのものに気づかなかったんだ♪」
ランコ「まさか、そのときに隠し部屋から何か…」
サイト「ああ、これのこと?」
と、サイトはバタフライナイフを持っていた。
サイト「いやー!お陰さまでこんな素晴らしいものをゲットしちゃったよ♪」
サイトは戦いの技術と力がある。現に、ライオンと犬型の化け物を退治したくらいだ。…俺達4人がかりでもサイトを捕らえられないだろう。武器を持っていたら尚更だ。
サイト「そうだ…♪もう人数が少ないからさ、《ルール変更》といこうか♪」
ヒカリ「ルール…変更?」
サイト「今までの殺人ルールはぜーんぶ無し!新しいルールは、僕vs君たち4人!もし僕が死ねば、君たちに《ゲームマスターとの直接抗議権》をプレゼント!」
トオ「直接抗議権?ゲームマスターと直接話せるってこと?」
サイト「惜しい!つまりはゲームマスターとのラストバトルさ♪バトルでゲームマスターに勝てば皆はここから出られる。負ければ普通のルールに戻り、2人になるまで殺し合い♪」
ゲームマスター「復坂様、さすがにルール変更は…」
サイト「いーの!じゃないと、《君の目的》が達成されないでしょ?」
ゲームマスター「それは…。」
ゲームマスターは少しの沈黙の後、
ゲームマスター「…ルール変更を許可します。」
シュウキ「それと、ゲームマスター、イクタの約束はどうしたんだ?イクタは、ゲームマスターに《ゲームの真実を少し話すこと》を約束したはずだ。」
ゲームマスター「申し訳ございません。私なりに、どこを話そうかとまとめていました。」
ゲームマスターは話し始めた。
ゲームマスター「…私も元は《ゲームの参加者》でした。しかし、訳がありまして私はゲームマスターとしてゲームを運営する立場となりました。」
トオ「それって、《このゲームは何回も行われてる》ってこと!?」
サイト「それをバラすんだ♪」
ゲームマスター「はい。ルールも同じです。それと、私には《目的》があります。」
ヒカリ「目的?ゲームマスターの目的って何!?」
シュウキ(ゲームマスターの目的…。俺のこの手紙と関係してるのか?)
と、俺は部屋で見つけた手紙をこっそり見た。
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木狩へ
お前がこれを読んでいるということは、俺はまた失敗したのか。ゲームマスターから詳しいことは書かないように言われたから、手短に。
なんとしてでも生き残れ。それがお前の使命だ。もう、この惨劇を、お前が止めろ。
P.S.この願いはきっと、俺と、あいつの願いだ。
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シュウキ(これって、どういうことなんだ?)
ヒカリ「ねえ!サイトくん!」
サイト「目的は言わない言わない!ゲームマスターももう帰って!…それより、僕は君たちを殺す目的で行動するよ♪だから、今すぐ僕から逃げたほうがいいんじゃない?」
サイトはバタフライナイフを手に持って言った。
トオ「と、とりあえず逃げよう!」
俺達は一斉に走り出した。
…
ランコ「ど、どこに逃げたら…?」
ヒカリ「個室は?誰かの個室に…!」
シュウキ「いや、サイトにピッキングされるぞ。」
トオ「じゃあ、新しく解放されたところへ行こう!何か…逃げられる何かを探そう!」
俺達は3階へ向かった。
…
1つ目の部屋は裁縫道具がたくさん並んでいた。
シュウキ「糸とか針とかあるが、全部サイトを封じる策にはならなさそうだな…。」
ヒカリ「一応ハサミは持っとこうよ!…武器代わりにさ。」
トオ「そう…だね。」
俺達はハサミを1人1つずつ持ってそこを出た。
…
2つ目の部屋はカラオケボックスのようだった。
ランコ「マイクにマラカス…武器のようなものはないですね。」
トオ「今さらこんなとこ出たって…もう仲良くなれないよ…。」
シュウキ「トオ…。」
俺達は部屋を出た。
トオ「だめだったね…。」
ランコ「ええ…。全く良い物がありませんでしたね。」
俺達は、食べ物を食べようと食堂へと向かった。
…
サイト「やあやあ!皆を殺しに来たよ♪」
ランコ「え…?」
サイト「やっぱり居座るなら食堂だよね♪」
シュウキ「俺達を…餓死させるつもりか?」
サイト「まあそれでもいいんだけど…どう死ぬかは皆に任せるよ♪」
ヒカリ「私たちは死にたくないよ!」
サイト「大丈夫だよ♪今、ここで死ぬから…さ♪」
トオ「や、やばい…!」
俺達は会話をする余裕なくバラバラに逃げた。
…
俺は近くの個室に逃げ込んだ。
シュウキ「他の皆は無事か…?」
恐らく、皆個室へと向かったはずだ。なぜなら…
ゲームマスター「皆様、就寝時間となりますので個室にお戻りください。」
就寝時間だからだ。
サイトは恐らく個室に戻っただろう。
シュウキ(明日は早く起きないとサイトに殺される…。)
そんなことを思って眠りに落ちた。
…
就寝時間終了とともに俺は個室を出た。
他の3人も同じ事を思ったのか、外に出てきた。
トオ「今日はどこに逃げる?」
シュウキ「なるべくサイトへの対策をしたい。武器庫に行こう。」
俺達は武器庫に向かった。




