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ヘイサクウカン  作者: シキジ
ヘイサクウカン 4章
14/37

1話:人のため、前向きになり、覚悟持て

ついに4章を迎えました。


ありがとうございます。


これからもシキジを宜しくお願いします。

3章のあらすじ


シュウキたちはモニターの部屋でDVDを観た。その映像には正体不明の黒く塗りつぶされた人が映っていた。


武器庫には危険な道具がたくさんあったため、見張りをつけることにした。シュウキとチュウゾウが見張ってたとき、トオがチュウゾウに呼ばれた。そしてトオは武器庫の中に入り、チュウゾウも中に入って閉じこもってしまった。しばらくして扉が開いたが、そこでチュウゾウが死んでいた。


審議では、トオが殺したか否かで話し合ったがチュウゾウの契約、


「物を手のひらで掴むことの禁止」


で、契約を発動できず死んでしまった《事故》と判明する。


そして、ルール上犠牲者を選ぶのだが、トオを庇ってエマは


《人を傷つけることの禁止》


という契約を破って犠牲者として死んだ。




辺りには不穏な空気が漂っていた。最初に口を開いたのは、意外な人物だった。


トオ「…今までごめんなさい。僕、迷惑をかけた。」


トオはエマに切られた手の甲をおさえて言った。


ランコ「い、いえ、決してそんなことは…。」


トオ「僕は、エマさんに気づかされた。いくら自分を低く見たって、現状は何にも変わらないってこと。」


シュウキ「トオ…。」


トオ「僕は決めた。僕は、皆の役に立ちたい。僕はもう死にたくないし、死なない。チュウゾウさんやエマさんのためにも…ね。」


と、トオはまっすぐな目をして、笑っていた。


サイト「…僕だって同じさ。エマさんのあんな姿見たら、もうふざけてなんていられないよ。」


ヒカリ「サイトくん、君…」


サイト「…ごめん!」


と、サイトは頭を下げて言った。


サイト「僕があんな態度をしてたのはゲームマスターを撹乱させるためだったんだ。だけど、今回ので全部吹っ切れたんだ。…僕にも協力させてよ。」


イクタ「サイトくん…。」


メイカ「とりあえずここから出るっすよ。トオさんの手当てをするっす。」


今日は解散という形になった。


シュウキ(そういえば、食事は誰が作れるのか分からないな…。)


俺は食堂へ向かって、そこの奥にある扉に入った。


シュウキ(…誰もいないか。)


ここは最初の日に探索して以来入ってなかったが、いつ見ても驚くほどの食材の多さだ。


シュウキ(とりあえずこれを貰っていこう。)


俺は一粒一粒冷蔵されていたブドウをとった。どうやらこれが良い保存方法らしい。次の瞬間、何かを思い出した気がした。


──────────────────────


???「いいかシュウキ、ブドウはたくさんの果実がついてるよな?」


そいつは、ブドウを持って言った。


シュウキ「そうだけど…。」


???「じゃあ、ブドウの上と下では甘さが違うって知ってたか?」


シュウキ「そうなの?」


???「お前にはまだ早い話だけどな、俺は変えたいんだ。このブドウみたい差別待遇されてる世界を。」


シュウキ「?」


???「ははっ、少し恥ずかしいことを言ったな。」


──────────────────────


シュウキ「今のは…?」


おそらく俺が小さいときの記憶だが、あんな人とは知り合いではなかったはずだ。


シュウキ(少し整理しよう。)


ここに来てから、あまりにもこういうことが多い。他にも欠如している部分は?


まず、俺は今17歳だ。ということは大体高校2、3年生だ。


…待てよ?俺の小学校は覚えているが…


《中学校はどこだ?》《高校は?》《…そもそも、俺は本当に行っていたのか?》


俺は自分に対して恐怖した。俺は、


《小学校卒業後からの記憶がない…。》


それと、


《2人の大事な人を忘れている気がする…。》


シュウキ(俺は一体誰なんだ…?)


…俺は気持ちを落ち着かせるために、個室に戻ろうと2階に上がったとき、トオに話しかけられた。よく見ると、左手に包帯が巻かれている。手当てした後のようだ。


トオ「あっ、えっと、シュウキさん?」


シュウキ「…トオか。どうした?」


トオ「1つだけお願いがあるんだけど…。」


シュウキ「お願い?」


正直、今の状態でされても厳しいが…


トオ「僕を…お、」


シュウキ「お…?」


トオは少しためらったあと、恥ずかしそうな顔で言った。


トオ「…おんぶ…して?」


シュウキ「…!?」


突然のことで驚いた。


シュウキ「…それはいいんだが、おんぶしてどうするんだ?」


トオ「一階に行ってほしいんだ。少し試したいことがあって。」


俺はとりあえずトオをおぶって一階に降りた。


シュウキ「…これでいいのか?」


トオ「うん、ありがとう…。」


少しほっとした声で言った。しかし、次は真面目な声で、


トオ「実は、これ、僕の契約なんだ…。」


と言って、携帯を俺に見せてきた。渡されなかっただけましだった。


シュウキ「えっと…《階段の昇降の禁止》か。」


トオ「うん。でも、僕の足でないなら大丈夫かなって思って。」


そういえば、審議の場所は全て2階で行われていた。そして、ゲームマスターの呼び掛けにトオが応じなかったのもこれが原因かもしれない。


シュウキ「結構な賭けだな。」


トオ「でも、こうして僕は生きている。僕はもう、迷ってなんていられないんだ。」


シュウキ「そうか…。」


トオ「シュウキさん。元気だしてよ。そして、一緒に前に進もうよ。」


シュウキ「…元気なかったの、顔に出てたか?」


トオ「いや。」


首を振って答えた。そして、


トオ「ただ、今、いつも皆を救ってたシュウキさんじゃないなって思っただけだよ。シュウキさんはシュウキさんだからね。」


シュウキ「…ふっ、そうか。ごめんな。」


正直、トオに慰められるとは思わなかったが、心が少し晴れた気がする。


シュウキ(俺は俺のままでいいのか。)


トオ「えっと、もうひとつお願いが…」


シュウキ「…分かってる。」


俺は残ったブドウを渡した。


シュウキ「お腹減ってるんだろ?」


トオ「…ありがとう。驚いたよ。やっぱり推理が得意なんだね。」


シュウキ「あと、どうせなら探索していくか?新しいところもあるしな。」


俺とトオは新しいところへ向かった。


どうやら新しく解放されたのは1階と2階に1つずつみたいだ。俺たちは1階の方の扉に入ってみた。


シュウキ「ここは…?」


トオ「ただの部屋みたいだね。特に何かあるわけでも無さそう。」


ヒカリ「あっ、2人とも!」


ヒカリがこっちに突進してきたので、軽くかわした。ヒカリは後ろの壁に激突した。


シュウキ「どうしたんだ?」


ヒカリ「いたた…メールで呼んでたんだけど全然来なかったじゃん。だから心配で心配で…。」


確認すると、自分の受信フォルダに1件のメールがあった。


シュウキ「あっ、すまない。」


トオ「僕もだ。ごめんなさい。」


メイカ「まあ、良かったっすね。ひと安心っす。」


シュウキ「話を変えるようだが、この部屋は?」


ランコ「どうやら、本当に何もないようですが、防音性能があって、密閉性の高い部屋みたいです。」


シュウキ「また防音か…。」


トオ「まあ、何も無さそうだし、他のところに行ってみよう?」


シュウキ「そうだな。」


俺たちは2階の方へ向かった。道中、


トオ「あっ、ごめん。」


シュウキ「そうか、おぶるんだったな。」


俺はトオをおぶって階段を上がった。


そこの扉の先には…。


シュウキ「…階段があるな。」


トオ「つまり、3階があるみたいだね。行ってみよう。」



シュウキ「それって…。」


トオ「まただね…。ごめん。」


シュウキ「まあいいんだが。」



イクタ「あっ、シュウキくん。」


サイト「シュウキくん、ここに扉が4つあるんだけど、そのうち2つは開かなかったよ。」


シュウキ「あ、ああ。そうか、ありがとう。」


前のサイトのキャラとはかけ離れて違うことが分かった。


シュウキ「じゃあ、その2ヵ所に行こう。」


まず、1つめの場所は一本道だった。


トオ「特に何もない一本道だね。」


そこを通ると、扉が見えてきた。


中に入ると、はしごがあった。


シュウキ「降りてみよう。」


トオ「多分はしごは大丈夫かな。」


少し長いはしごを降りて出たさきは、


シュウキ「ここは、トレーニングルーム?」


一階のトレーニングルームだった。


トオ「これ、なんのために?」


俺たちはまた、はしごを昇って元の場所に戻った。


シュウキ「じゃあ、もう片方のところに行こう。」


俺たちはもうひとつの方へ向かった。


シュウキ「…何も見えないな。」


中は暗闇だった。だが、


トオ「いや、大丈夫だよ。」


シュウキ「?」


トオ「僕の特技は《暗視》なんだ。ここに来る前、ずっと暗いところにいたからね…。」


シュウキ「…何が見える?」


トオ「いや、ここは何も無さそう。ただ、暗いだけの部屋みたい。」


俺はトオを信じてそこを出た。


突然モニターがついて、ゲームマスターが言った。


ゲームマスター「皆様、一階の何もない部屋にお集まりください。」


と言い残して消えた。


シュウキ「よし、どうせならはしごを使うか。」


トオ「僕をおぶるの疲れた?」


シュウキ(ばれてたか…。)


俺とトオは、はしごを使って一階の部屋に向かった。


ゲームマスター「皆様、お集まくださいまして誠にありがとうございます。」


イクタ「話っていうのは?」


ゲームマスター「今回、私が皆様にゲームを追加したいと思った所存です。」


メイカ「ゲームの追加っすか?」


ゲームマスター「その名も、《報道ゲーム》でございます。」


ヒカリ「報道ゲーム?」


聞いたことのないゲームだ。


ゲームマスター「まず、皆様に職業をメールで送信します。その職業にはそれぞれ効果があります。」


ランコ「効果…ですか?」


ゲームマスター「まず、《殺人鬼》です。これを与えられた人は、3日以内にある職業を殺さないといけません。その役職は《被害者》です。殺せなかった場合は死にます。」


サイト「それをひいたら、もう覚悟を決めろってことだね。」


ゲームマスター「そして《被害者》を与えられた人が誰かに殺されない限り、このゲームは終わりません。自殺や契約で死ぬとこの効果は無効になります。」


シュウキ「つまり、殺人鬼は被害者を殺さないと殺人鬼は3日以内に死んで、ゲームは永遠に終わらないってことか…。」


ゲームマスター「次に《第一発見者》です。これを与えられた人は、職業が被害者の方の死体を、犯人以外で最初に発見しなければ死にます。」


ランコ「少し難しい職業ですね。」


ゲームマスター「次に《リポーター》と《カメラマン》です。この二人はペアとなり、一定距離離れると、2人とも同時に死にます。なので、就寝の際も同じ個室で。」


ヒカリ「男女だったら色々ヤバイね…。」


トオ「?」


ゲームマスター「次に《警察》です。」


サイト「警察…。」


ゲームマスター「これを与えられた人は、殺しを行うと必ず死にます。」


メイカ「つまり、警察はこのゲームに紛れて誰かを殺そうとしたらダメってことっすね。」


ゲームマスター「最後に《野次馬》です。これは特に効果はありません。」


イクタ「効果はないんだ…。」


ゲームマスター「職業は、常に携帯の機能で見れます。」


メイカ「質問っす。もし第一発見者が被害者を殺したら?」


ゲームマスター「第一発見者の効果は無効となります。」


他に質問はなかったが、突然のことで驚いたのは皆同じだった。

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