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ヘイサクウカン  作者: シキジ
ヘイサクウカン 3章
12/37

4話:0点が1人でも居れば、他をかけても0点となる

前回のあらすじ


武器庫の見張りをしていたシュウキたちだったが途中で、トオとチュウゾウが武器庫の中に立てこもってしまった。

しばらくして、扉が開き、血まみれになったトオと、棚の下敷きになって、死んでいるチュウゾウがいた。



シュウキ「…トオ、何があったんだ?」


トオ「…ご。」


シュウキ「トオ?」


トオ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」


俺はとりあえず近くの椅子に座らせた。


シュウキ「…とりあえず落ち着け。深呼吸しろ。」


サイト「さーて、見張りどうかな♪…あれ?」


イクタ「…トオくん、その格好って。」


シュウキ「トオ、しばらくそこに居てくれ。…サイト、イクタ、武器庫の中を見てみろ。」


サイトとイクタは武器庫の中を覗いた。


イクタ「うっ、これは…」


サイト「ふふっ、いいね♪殺人ゲームがはかどってるよ♪」


イクタ「じゃあ皆に伝えて…」


シュウキ「待て。まだ伝えなくていい。」


サイト「へー♪なんで?」


シュウキ「カオルの一件の時だが、全員が死体を確認するまでは捜査時間が始まらないと思うが、どうだ?」


イクタ「確かにそうだけど、今までトオくんは見てないよね?」


サイト「確かにそうだけど、なんかゲームマスターは、トオくんのことをひいきしてるよね♪」


シュウキ「全員集合の時も、トオは来なくていいと言った。トオは《全員の例外》だと思うんだ。」


ゲームマスター「その通りです。」


と、モニターがついた。


イクタ「今の話、全部本当?」


ゲームマスター「はい。ただ、1つだけ訂正がございます。」


シュウキ「訂正?」


ゲームマスター「全員がご確認されるか、3人以上の方が発見して10分経過した時点で捜査時間開始となります。」


サイト「じゃあ僕を含めて4人が確認しちゃったから、どちらにせよ、もう捜査時間が始まるね♪」


ゲームマスター「…もう皆様を集められるのですが、どうしますか?」


イクタ「どうする?シュウキくん。」


シュウキ「ああ。集めてくれ。」


ゲームマスターは全てのモニターをつけて言った。


ゲームマスター「皆様、武器庫で黒山様のご遺体が発見されました。これから3時間を捜査時間とさせていただきます。」


そして、モニターは消えた。


…それから少ししか経ってないが、全員集まった。


ヒカリ「チュウゾウさん…。」


メイカ「また、死体が…もう嫌なのに…。」


エマ「…ランコさん、あまり見ないほうがいいと。」


ランコ「…血が。うっ。」


ヒカリ「…それと、なんでトオくんがここに?しかも血まみれで。」


シュウキ「それはまとめて話す。」


イクタ「じゃあ、捜査を開始したいところなんだけど…シュウキくん、大まかな経緯を教えてくれないかな?」


エマ「シュウキに経緯を?なぜだ?」


サイト「これは事件って言うほど大規模なものじゃないんだよ♪」


シュウキ「証拠も、事件の全容も、全てこの武器庫の中にあるってことだ。」


俺は、チュウゾウさんがトオに来てくれと言ったこと、トオとチュウゾウさんが武器庫の中に入ったことなど、俺が知ってる範囲のことを話した。


メイカ「じゃあ、トオさんが全てを知ってるってことっすね?」


シュウキ「ああ、そうだ。だが、トオはあの状態だ。」


と、椅子に座ってるトオを見て言った。


トオ「…いつも、僕がいると誰かが不幸になる…なんで?なんでなんでなんでなんでなんで…?」


エマ「あれは…少し時間がかかりそうだな。」


トオと一緒にいる人は、ランコさんとヒカリとメイカになり、その他の人は捜査という振り分けになった。


エマ「見て分かる通り、棚が倒れて下敷きになってる。死因もそれだろう。」


イクタ「この棚、思ったより重いね。」


シュウキ「ああ。いくら筋力のあるチュウゾウさんでも、下敷きになったらこうだからな。」


サイト「確か、この棚って毒薬が置かれてた棚だよね♪」


エマ「あの毒薬は恐らくヒ素だ。《触れるだけでも危険なもの》だ。」


シュウキ「そうだ、1つだけ気になることが。」


サイト「どうしたの?」


シュウキ「…《棚が倒れた音がしなかったんだ。》」


エマ「まさか、ここには防音設備があるのか?」


イクタ「試してみよう。」


と、イクタは武器庫の外へ出ると、扉を閉めた。



シュウキ「イクタ!聞こえるか?」



少しして、扉が開いた。


イクタ「どう?聞こえた?」


サイト「なんかしゃべってたんだ♪」


エマ「全く聞こえなかった。」


シュウキ「俺も声を出したが、聞こえたか?」


イクタ「いや、全然だよ。」


サイト「じゃあ、防音設備があるんだね♪」


俺は《触れても危険な毒薬》と《武器庫の防音設備》をメモした。


イクタ「他の証拠…なさそうだね。」


エマ「死体を見ることができたら話は別なんだがな…。」


シュウキ「じゃあ、棚を立てよう。」


棚を4人がかりでやっと立てられそうだったが、


シュウキ「これは…?」


イクタ「…《棚が不安定》だね。」


棚がぐらぐらとしていて、今にも倒れそうだった。


エマ「とりあえず、少し横に動かして立て掛けておこう。」


俺たちは、棚を横に少しずらして、壁に立て掛けた。


サイト「ふー、重かったね♪」


エマ「…。」


イクタ「エマさん、どうかな?」


エマ「さっき言った毒薬が《足に付着》してるな。」


シュウキ「足に…。」


俺は《不安定な棚》と《足に触れた毒薬》をメモした。


エマ「それ以外は本当にないな。あまりにも状態が悪すぎる。」


サイト「じゃあ、戻ろっか♪」


俺たちは残りの4人の所へ向かった。


メイカ「大丈夫っす、大丈夫っすよ。」


と3人はトオを慰めていた。


シュウキ「…どうだ?」


ヒカリ「あっ、シュウキくん。」


と、ヒカリが近づいて、トオに聞こえないように言った。


ヒカリ「ダメだよ。トオくん、あれからずっと喋らない。」


シュウキ「…そうか。」


俺は一応、何かないか探してみたが、なにも見つけられないまま…


ゲームマスター「皆様、三時間が経過しました。モニターに審議の場所を指定しますので、そこに集合してください。必ず、全員くること。」


シュウキ「…行こう。」


この先に待ち構える悲しい結末へと…


シュウキが獲得した証拠


《触れても危険な毒薬》

チュウゾウに倒れた棚には、触れるだけでも危険な毒薬があった。


《武器庫の防音設備》

武器庫には、外と中の音を完全に防ぐ防音設備があった。


《不安定な棚》

棚とは言えないくらい、不安定で、少しの振動でも倒れてしまいそうだった。


《足に触れた毒薬》

チュウゾウの死体の足には毒薬が付いていた。


──────────────────────

指定された所には、俺を含めて8人全員いた。


サイト「さ、行こっか♪」


俺たちは、部屋の中に入った。


ゲームマスター「皆様、お集まりいただきありがとうございます。

これより、第3回の審議を開始します。」


《第3回審議─開始─》


ヒカリ「えーと、今回わたしたちは役に立てないかも…。」


ランコ「ごめんなさい。」


イクタ「ううん、気にしなくていいよ。」


シュウキ「じゃあ本題に入るが、今回の事件は至って単純だが難しい。」


メイカ「と、言うと?」


シュウキ「こっちで見つけられた証拠はわずか3、4個だ。 しかも、これらでは事件の真相には近づけない。」


エマ「つまり今重要なのは、トオの協力だ。」


トオ「…。」


サイト「…ねぇ、1つ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」


ランコ「どうしましたか?」


サイト「今回の事件って、チュウゾウさんは契約で死んだのかな?」


エマ「はっきりとは言えないが、契約で死んだ可能性は低いと思うぞ。」


サイト「ふーん♪じゃあさ、《トオくんを犠牲》にしようよ♪」


ヒカリ「…え?」


サイト「契約以外って判断しても、誰か1人は死なないといけないんだし♪しかも、トオくんがチュウゾウさんを殺したんだったら、犯人のトオくんを殺さないといけないんだよ♪」


イクタ「確かにルールでは、そうだけど…。」


シュウキ「トオは本当にそれでもいいのか?」


トオは、静かにうなずいた。


エマ「おい、トオ!何かしゃべってくれ!じゃないと、お前が死ぬんだぞ!?」


トオ「…僕が殺した。僕は、死ぬべき人間。」


シュウキ(…トオが明確に喋らないかぎり、真相は掴めない。)


そのとき、俺の中である考えができた。ある意味、賭けの一言だ。


シュウキ「トオ、もしかして、《チュウゾウさんはトオを守った》んじゃないか?」


俺は、トオに語りかけるように言った。


トオ「…!」


メイカ「なぜそう思ったんすか?」


シュウキ「それは…」


証拠3,《不安定な棚》を使用


シュウキ「チュウゾウさんの上の棚は、うまく立たないほど不安定だった。それに、武器庫には2人きりだ。それが起こる可能性はある。」


イクタ「…万が一そうだとしても、チュウゾウさんが契約以外で死んでしまったことには変わりないよ。」


シュウキ「だけど、変わることもある。トオ、少し真実を話してくれ。」


トオ「…かばってくれた。それが真実。」


トオはそれ以上話してくれなかった。


シュウキ「ありがとう。少しは真実にいけそうだ。」


ランコ「少しずれてしまいますが、他の証拠とは何があるのでしょうか?」


証拠1,《触れても危険な毒薬》と証拠4,《足に触れた毒薬》を使用


シュウキ「触れるだけで危険な毒薬がチュウゾウさんの足に付いてた。」


サイト「あの棚は毒薬を収納するものだったからね♪棚が倒れて、毒薬が付いても仕方ないよ♪」


ヒカリ「今気づいたけど、シュウキくんは棚が倒れる音とか聞いてなかったの?」


証拠2,《武器庫の防音設備》を使用


シュウキ「どうやら、武器庫には防音設備があるらしい。」


メイカ「なるほど、だから聞こえなかったんすね。」


イクタ「他に証拠はなかったよ。」


エマ「ここから真実に向かうには…。」


シュウキ「想像しかない。今は俺の想像で推理してみよう。」


─事件の流れ─


まず、俺とチュウゾウさんは武器庫の見張りをしていたんだ。チュウゾウさんはどうやら、トオについてきてくれるように頼んだらしい。そして、トオは実際に来た。


そこで見張りをしていたんだが、まあ、色々あってな。トオが武器庫の中に入ってしまったんだ。それを追いかけるようにチュウゾウさんは中に入ってった。俺も追いかけようとしたが、チュウゾウさんに止められて鍵を中から掛けられてしまった。


それから時間が経って、トオが出てきて、チュウゾウさんは死んでいた。俺は《武器庫の防音設備》のせいでその一部始終の音が聞こえなかったっていうのがまず、確実な事実だ。


ここから俺の想像だ。中では、トオとチュウゾウさんの2人だけだった。2人で争ったりして、トオが棚の前に来たときに《不安定な棚》が倒れてしまった。


チュウゾウさんはとっさに、トオをかばうために棚の下に入り、棚を支えたんだ。


もしかしたら、チュウゾウさんは棚を処理できたかもしれない。だが、そこで悲劇が起こったんだ。


それは、《毒薬が足に付いてしまった》ことだ。チュウゾウさんは毒薬の効果を受けて、弱体化してしまった。それでも、トオに離れるように言った。


トオが離れたら力が尽きて、棚の下敷きになった。毒薬のせいもあってか、チュウゾウさんは死んでしまった。


──────────────────────


シュウキ「まあ、これは憶測だ。」


ランコ「つじつまは合っていますね。」


ヒカリ「それだと、トオくんはチュウゾウさんを殺してないね。」


サイト「…ふっ。」


イクタ「サイトくん?」


サイト「ははっ。あのさぁ、かばったかどうかなんて必要ないことじゃん。大事なのは契約で死んだかどうか。契約で死んで無いんだったら、犯人を殺すだけ。」


メイカ「…その言い方はひどいんじゃないっすか?」


エマ「…トオ、さっきの推理が合っているかどうかだけ言ってくれ。」


トオ「…。」


ヒカリ「トオくん…。何も言わないと、トオくん死んじゃうんだよ?」


エマ「…お前。」


と、エマの表情が怒りに近づいていた。


ランコ「エ、エマさん。そんなお怒りにならなくても…。」


エマ「トオ!!」


トオは体を強ばらせた。


エマ「わたしは、命を無駄にするやつが大嫌いなんだ。…その上で聞くが、お前は死にたいから黙ってるのか?」


トオ「え…っと…」


エマ「これは言っておくぞ。チュウゾウさんはトオをかばったというのがさっきの推理だが、もしそれが本当だったら、チュウゾウさんは、トオに生きてほしいってことなんじゃないのか?」


トオ「…!」


エマ「わたしはそう思うぞ。それに、わたしには被害者の意思を汲み取る義務がある。」


サイト「エマさん。あのさー、そこで死亡フラグ立てないでよねー。」


シュウキ「だけど、トオから直接話を聞くまでは終われない。」


サイト『ファイアウォール起動♪』


──────────────────────


【対議開始】


サイト「別にいいじゃーん。そんなの聞かなくたってさ。トオくんを犠牲にするのに変わりはないんだし。」


シュウキ「それもそうだが、トオがチュウゾウさんを殺してないとすると、トオは無駄死にになる。」


サイト「まあ、どうでもいいけどさ♪でも、トオくんが殺してないかどうかなんて分からないでしょ?」


シュウキ「…確かに、チュウゾウさんの状態はひどくて、トオが殺したとしても、痕跡は残らないだろう。」


サイト「でしょ?一番安全なのは、トオくんを殺すことだ。」


トオ『…ごめんなさい。』


シュウキ「トオ?」


トオ「…これは信じて。《僕は殺してない》。」


シュウキ『その言葉、使わせてもらう。』


【対議終了】


──────────────────────


次回に続く…。

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