表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘイサクウカン  作者: シキジ
ヘイサクウカン 3章
10/37

2話:空白の時間を埋めて、空白の時間をを創る。

前回のあらすじ


会議を終えたシュウキたちは、DVDのある部屋へ向かうことにした。



ランコ「これです。」


と、ランコさんはDVDを指差して言った。


エマ「…確かに、全員の名前が書いてあるな。」


イクタ「とりあえず、観てみよう。」


と、イクタは自分のDVDを取って席に座った。


ここは1つの席にモニターがあるため、各自で別々の映像を観ることができる。


イクタに続くようにして、自分のDVDを取って席に座って行く。


ヒカリ「あっ、ヘッドホンがあるよ。」


サイト「おお、いいね♪」


俺もヘッドホンをつけてモニターの上にあるプレイヤーにDVDを入れた。


──────────────────────


俺が住んでる地区の映像が流れた。俺の地区は小さく、人口が少ない。だからこそ、そこの地区では皆顔馴染みで、俺も1人1人のことを大事に思っていた。


…それだけの映像だったらどれほど平和だったろうか。


次の映像は、そこの地区で一つの家が爆発した映像だった。そして爆発の時に、《黒く塗りつぶされた人が3人いた》。恐らく画像編集だろう。


その爆発で起きた火はどんどんと燃え広がり、その地区を覆うほどの大火事となった。


シュウキ(な、なんだよこれ…。)


俺に起こった感情は、怒りでも、悲しみでも、絶望でもなかった。


…《焦りだ》。


なぜここなんだろう。これからどうしよう。


…どうやってここを出よう。


次に流れたのはニュースだった。キャスターが言った。


「次のニュースです。◯◯区で大規模な火事がありました。死亡者は20人を越えました。」


その後に、死亡者の写真が表示された。その中で知らない人はいなかった。親がいなかったことが幸いかもしれない。ただ気になったのは、黒く塗りつぶされた人が2人いたことだ。


…俺は正直驚いた。てっきりあの3人が爆発を起こしたものだと考えてた。しかし、その内の2人が死んでいる。


残りの1人が裏切ったのか、それとも別なのかは推理のしようがない。


映像はそこで終わった。


──────────────────────


映像が終わって初めて、自分が汗をかいてることに気がついた。


俺は恐る恐る周りを見ると、同じく汗をかいてる人、涙を流す人、顔色が悪くなってる人などがいた。


全員観終わったため、一度その場で集まった。


チュウゾウ「くそ!なんなんじゃあれは!!」


メイカ「これは…ひどすぎるっすよ。」


案の定、全員口数が減っていた。


イクタ「…みんな、その映像で《気になるもの》はなかった?」


シュウキ「…俺の映像には黒く塗りつぶされた人がいた。」


ヒカリ「あっ、私のにもあった。」


どうやら全員の映像に1人以上いたみたいだ。


…ただ、3人もいたのは俺だけだったらしい。


エマ「…正直、観なければよかったな。」


サイト「いや、そうとも言えないよ♪」


と、サイトは続けた。


サイト「その黒く塗りつぶされた人、もしかしたらゲームマスターかもしれないよ♪」


ランコ「確かにそうですが…」


サイト「皆は、このDVDを動機を作らせるためって思ってるぽいけど、これは《一つの手がかり》なんじゃないかな?」


シュウキ「確かにな。一応全員の映像の中身を知りたいんだが…教えたくない人は手を挙げてくれ。」


そういうと、次々と手を挙げてった。


挙げなかったのは俺とチュウゾウさんとエマだけだった。


エマ「わたしのは、塗りつぶされた人は2人出た。2人のうちの1人が突然倒れて、もう1人が病院で倒れたほうを見ていたってものだ。」


チュウゾウ「ワシのは、塗りつぶされた人が1人しか出ておらん。そいつは工事現場のようなとこでこき使われとって、同じ現場のやつらに殴り殺されるってやつじゃ。」


俺も自分の映像について話した。


イクタ「これらの情報だと全く分からないね。」


サイト「ただ共通点としては、塗りつぶされた人が死んでるってことだね♪」


シュウキ「これで生き残ったのがゲームマスターだとしたら、ゲームマスターの仲間はたくさんいたってことか。」


メイカ「つじつまは合うっすね。」


ヒカリ「でもこれが確実ではないから、過信はいけないね。」


エマ「ああ、そうだな。」


話はそこで終わり、後は自由行動となった。しかし、あの映像を観たあとだ。個室に帰る人がほとんどだった。俺もその1人だ。


シュウキ「…くそ。」


俺は眠りに落ちた。



もはや、朝起きて食堂に行くことが習慣となった。


イクタ「あっ、シュウキくん。おはよう。」


メイカ「おはようっす。シュウキさん。」


ランコ「おはようございます。」


シュウキ「ああ、おはよう。」


そのとき、調理場から声がした。


エマ「シュウキか?ご飯は少し待っててくれ。」


シュウキ「俺は大丈夫だ。無理はしないでくれよ。」


エマ「ふふっ、分かってる。」


シュウキ(…思ったより昨日のショックは少ないようだ。)


その後にも人が来た。


チュウゾウ「ふあぁ…眠いのう。」


サイト「あっ、今日のご飯何かな♪」


ヒカリ「うーん、まだ寝てたいなぁ…。」


そしてエマが言った。


エマ「みんな、ご飯ができたぞ。」


ランコ「ありがとうございます。エマさん。」


そして全員ご飯を食べ始めた。


イクタ「そうだ、武器庫の見張りの表ができたよ。」


と言って、ポケットから紙を取り出して広げた。


サイト「わあ、ありがとう!…って今日も僕たち!?」


イクタ「最初はやっぱり、見張りを提案した僕のほうがいいかなって。」


シュウキ(そういうところはイクタらしいと言うか…。

ああ、俺とチュウゾウさんは明後日か。)


そうして食事の時間を過ごした。


チュウゾウ「じゃあ、トオにご飯を届けてくるぞ。」


ヒカリ「あれ、そういえば昨日の夜は届けたの?」


エマ「ああ。どうやら個室に戻った人がいたが、わたしはトオのご飯を作ってチュウゾウさんがそれを届けたぞ。」


メイカ「あれ、武器庫の見張りは?」


イクタ「あっ、ごめんね。僕もサイトくんも昨日のが少しショックすぎてね…そのまま帰っちゃったんだ。」


サイト「そうそう。ショックだったなー♪」


ランコ「で、でしたら武器庫はその時は誰でも…。」


シュウキ「ああ、武器を盗むことができたってことだな。」


イクタ「じゃあ、見張りのときに確認してくるよ。僕もサイトくんも武器庫の中を見たことあるからね。」


チュウゾウ「ああ。よろしく頼むぞ。」


話はそれで終わり、昼ご飯まで自由時間になった。


俺は特に探索の心当たりもないので、図書室に向かった。


図書室にはヒカリとメイカがいた。


ヒカリ「あっ、シュウキくん!」


メイカ「あっ、こんちはっす。」


シュウキ「…またここで調べものか?」


メイカ「そうっすよ。…いまだにここが忘れられないっすよ。」


シュウキ「…そうか。」


俺はその時、あることに気がついた。


シュウキ「そういえば、芳香剤の香りがなくなってるな。」


ヒカリ「えっと、どうやら《遺体もなくなってる》みたい。」


メイカ「少し覚悟して金庫を開けてみたんすけど、跡も形もなかったっす。…カオルさんは、審議だった場所が開かなくなってて確認できなかったっす。顔にタオルをかけようと思ったっすけど…。」


シュウキ「リョウスケさんは?」


ヒカリ「私も、せめて顔に何かかけてあげようって思ってリョウスケさんの個室を開けようとしたけど開かなかったよ…。」


シュウキ「遺体がなくなる、か…。」


ヒカリ「そうだ、シュウキくんはこれからどうするの?」


シュウキ「ええと、暇だから一緒に居てもいいか?」


メイカ「ああ、いいっすけど…」


と、メイカは突然小声で言った。


メイカ「…ハーレムを狙ったっすね?」


シュウキ「なっ!そ、そんなつもりじゃ…」


メイカ「ふふっ、冗談っす。」


シュウキ「そ、そんな冗談言うやつだったか?」


メイカ「あれ、言ってなかったっすか?自分、冗談好きなんすよ。」


シュウキ(一緒に居ると心臓に悪いな…。)


ヒカリ「?」


俺は図書室で昼までを過ごした。



本を読んでるときにメールが届いた。ヒカリもメイカも携帯から音が鳴ったため気づいたらしい。


──────────────────────


To:最上


From:全員


ひるごはんができたきてくれ


送,13:40


──────────────────────


シュウキ「ええと確認だが、昼ご飯ができた。食堂に来てくれ。ってことだよな?」


ヒカリ「みたいだけど、まさかエマさんって機械オンチ?」


メイカ「可能性はあるっすね…。」


俺たちは食堂へ向かった。


すでに全員食堂に来てるみたいだが…


ランコ「メール送信出来ましたね。良かったです。」


チュウゾウ「まさかエマが機械を使えないとはな。」


エマ「うっ、も、もうその話は良いだろ…。」


イクタ「そういえば、コンロの使い方知らなかったよね。でも料理上手だよね。」


サイト「エマさん、僕が機械の使い方を教えてあげよっか♪」


エマ「結構だ!早くご飯食べろ!」


ヒカリ「これ…いじられてる?」


メイカ「み、みたいっすね。」


シュウキ「…。」


俺たちは昼ご飯を食べ始めた。


ヒカリ「あっ、そうだ。イクタくん、武器庫どうだった?」


イクタ「ああ、うん。特に何か減ってるわけじゃなかったよ。サイトくんも確認した。」


サイト「うん!1つ残らずあったよ♪」


ランコ「サイトさん。その言い方ですと混乱しますよ…。」


エマ「それにしても、サイトがまさかしっかり見張りをするなんて…。」


サイト「エマさんは僕のお母さんか何かなの!?」


チュウゾウ「まあでも、とりあえず一安心じゃな。」


シュウキ「一応だが、皆は何をしてたんだ?」


イクタ「僕とサイトくんは武器庫の見張りだよ。」


チュウゾウ「ワシはトオにご飯を届けた後、食堂に戻った。」


ランコ「私はエマさんと一緒にメールについて…。」


サイト「ふふっ、エマさんはやっぱり機械オ…」


エマ「そ、それで!メイカとヒカリとシュウキはなにしてたんだ?」


ヒカリ「わたしたち3人は図書室で本読んでたよ。」


メイカ「ふふっ、男1人と女2人で色々…」


シュウキ「ただ本読んでただけだろ。」


ヒカリ「?」


イクタ「ええと…皆、自由時間は楽しく過ごしたね。」


そうして食事の時間は終わった。


その後もまた、自由時間となった。


俺はUSBメモリの《あった》部屋に向かった。


部屋に着いたが、ドアが一向に開かなかった。


シュウキ(どうして開かないんだ?)


シュウキ「ゲームマスター。」


ゲームマスター「いかがされましたでしょうか?」


シュウキ「ここの扉が開かないんだが。」


ゲームマスター「すでに用済みの部屋でしたので、施錠させていただきました。」


シュウキ「…そうか。」


ゲームマスター「それでは。」


シュウキ「ああ、ちょっと待て。もう1つ聞きたいことが。」


ゲームマスター「どうかされましたか?」


自分でも、どうしてこれを聞いたか分からなかった。元々、何か思い当たるところがあったのだろうか。


シュウキ「…好きな食べ物は?」


ゲームマスターもさすがにこの質問にはすぐに反応できなかったみたいだ。


ゲームマスター「…私に関することはお答えすることが出来ませんが。」


シュウキ「そうか。悪かっ…」


ゲームマスター「ただ、《3と5が入って、右下方向に辺がはみ出した四角と除法が組合わさったモノが作るもの》ですかね。」


シュウキ「…ありがとう。もういいぞ。」


そしてモニターは消えた。


シュウキ「結局、ゲームマスターの好きな食べ物ってなんだったんだ?」


俺は独り言でそうつぶやいて、武器庫に向かった。


サイト「あっ、シュウキくん♪」


イクタ「シュウキくん、どうしたの?」


シュウキ「いや、少し暇だからな。」


サイト「さては、ここの武器盗ろうとしてるなー?」


シュウキ「そんなわけないだろ。」


イクタ「暇だったら、ゲームコーナーだったり、トレーニングルームとかあるよ?」


シュウキ「後者は確実にないとして…ゲームコーナーは俺はそこまでなんだ。」


サイト「へーっ。じゃあゲームコーナーをもっともっと好きになろっか♪」


イクタ「サイトくんはゲームコーナーによく行ってるよね。」


サイト「そうなんだ♪僕、ゲーム大好きだよ。」


シュウキ「そうか、またの機会で。他のところ行ってくる。」


イクタ「うん、いってらっしゃい。」


サイト「わっ!シュウキくん冷たいね♪」


俺は次に食堂に向かった。


エマ「ええと、こうするのか?」


ランコ「そうです。その後は…あっ、シュウキさん。」


シュウキ「携帯の練習か?」


エマ「…バカにしてるな。」


シュウキ「してないぞ。」


エマ「バカにするならやってくれ。」


とエマは、そこまで言うならやってみろと言わんばかりに携帯を渡してきた。


シュウキ(…バカにしてないのにな。)


と携帯を取ろうとしたとき、


シュウキ(あ、危な!)


と、とっさに手を引っ込めた。


シュウキ「…すまん。用事があるんだ。」


と、足早にそこを去った。


俺の契約は他人の携帯に触れることの禁止。あのまま受け取っていたら…なんて考えたくないな。


…俺はゲームコーナーで時間を潰した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ